平成30年3月号(第92号)     トップページ  年月別リスト 地域別リスト
塩田宿
SHIOTAJUKU
 佐賀県 嬉野市塩田町 嬉野市HP

塩田津町並み保存会HP

嬉野市塩田津
伝統的建造物群保存地区

 塩田宿は江戸時代はもちろん、奈良・平安の時代から整備されていた長崎街道沿いの宿場町として古くから存在していたようだ。また有明海につながる塩田川の舟運を利用した商業が盛んになり、在郷町としても発展した。
 さらに塩田は、陶磁器の材料になる陶土の集荷・製造・出荷の拠点でもあり、有田焼や波佐見焼の窯元へ陶土を供給している。
 現在の町並みは、長崎街道沿いの両側に蔵造りの商家がずらりと建ち並ぶ美しい町並みが形成されており、バイパス路も整備されているので自動車の往来も少なく、ゆったりと町歩きが楽しめる。
 こんな貴重な町並みでありながら、なぜか塩田宿を訪れる人は少ないようだ。近くに嬉野温泉や武雄温泉という集客力のある有名な温泉地があるのに、あまり注目されていないのはもったいないような印象を受けた。

@御 蔵 A西岡家住宅  B長崎街道 C第一分団所   
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  @御蔵(おくら) 江戸期に建築された藩の米蔵である。佐賀鍋島藩は、江戸初期に分家して佐賀西部地方に蓮池藩を置いて支配した。その役所が塩田宿の近くにあったようで、舟運の便が良い塩田宿に藩の米蔵がつくられ、その建物が現在も保存されている。
A西岡家住宅 西岡家は、塩田川の舟運を利用した廻船業で財を成した豪商。このスケッチは屋敷の裏側から描いたもので、敷地内に何棟の建物があるのかわからないくらい広大な敷地である。トンバイ塀(登り窯に使う耐火レンガ等で塗り固めた塀)のモザイク模様が美しい。

B長崎街道  長崎街道はカラー舗装で色分けされた歩車道が整備され、街道の両側には修景された蔵造りの商家が建ち並んで美しい町並みを形成している。右手前の店蔵は、国登録有形文化財の杉光陶器店で江戸末期の建物である。

C第一分団所 昭和15年に警防団屯所として建築された洋館風の木造建築。現在も消防団の詰所として使われている。向こう側には鉄板屋根をかぶってはいるが、茅葺屋根の民家が並んで建っており、町並み景観のいいアクセントになっている。