平成30年2月号(第91号)     トップページ  年月別リスト 地域別リスト
舞 子
MAIKOI
 兵庫県 神戸市垂水区東舞子町 ほか 舞子公園HP

舞子ホテルHP

 舞子は神戸市の西部に位置し、南側には明石海峡を望み、北側には六甲山系につながる丘陵地が控えた風光明媚な住宅地である。
 昔は鄙びた寒村に過ぎなかった神戸が、明治維新時の神戸開港により、海外貿易と、船便による立地を生かした製造業の隆盛により、飛躍的な発展を遂げた。これらの事業により財をなした人々は、リゾート地のような条件を備えた舞子の地に、次々と邸宅や別荘を構えていった。
 それらの邸宅群は、老朽化と市街地のスプロール化によって、今日ではその大半が失われてしまっているが、その文化的価値を惜しんで、保存されたり活用されたりしているものも現存している。
 平成に入って、舞子から淡路島に明石海峡大橋が建設され、海と山に挟まれた景勝地に現代的でダイナッミクな景観が付け加えられ、これら文化遺産の姿を引き立てている。
@孫文記念館 A旧武藤山治邸  B旧木下家住宅 C舞子ホテル   
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  @孫文記念館 神戸で活躍した華僑の実業家・呉錦堂の別荘として大正期に建築された。八角三層の楼閣は「移情閣」と名付けられ、国の重要文化財に指定されている。現在この建物は、呉錦堂と親交のあった中国の革命家・孫文の記念館として展示品とともに内部が公開されている。
A旧武藤山治邸 鐘渕紡績の社長だった武藤山治が、明治末期に居宅として舞子の海岸沿いに建てた木造二階建ての洋館。平成期に明石海峡大橋建設に伴う道路拡幅のため、狩口台を経て県立舞子公園内に移築・復元された。高層のリゾートホテルをバックに、ミニチュアハウスのようだ。

B旧木下家住宅  この建物は、神戸の貿易商だった又野氏の私邸として昭和16年に建てられたあと戦後、明石で鉄鋼業を営んでいた木下氏が譲り受け、現在は兵庫県に寄贈され舞子公園の一部施設として管理されている。洋館の多い舞子の邸宅街では珍しい純和風の数寄屋建築である。

C舞子ホテル この洋館は、日下部汽船社長の別荘兼迎賓館として大正期に建築された。現在は山陽電鉄がホテルとして経営している。外観・内装とも繊細で精緻は意匠が施されており、洋館の形をした日本の高級伝統工芸品という印象を受ける。