平成28年8月号(第73号)     トップページ  年月別リスト 地域別リスト
三雲市場庄
MIKUMO ICHIBASYO
 三重県 松阪市 市場庄町 ほか 松阪市HP

松阪市観光協会HP
 三雲市場庄は、伊勢街道沿いに立地し、伊勢神宮参拝客に向けた食品や旅行用品を販売して発展した商店街町である。市場庄という地名が町の性格をよくあらわしている。街道沿いの建物の玄関口に据えられている行灯に、「合羽屋」とか「蛸路屋」とか、昔の商いが推察できる屋号が記されており、参拝客の往来で賑わっていた時代の町の姿が想像できる。ただ商家といっても、専業商家ではなく、半農半営が大半だったようで、母屋と並んで米蔵をもつ家がそこここに存在する。

 この三雲市場庄をはじめ、「おはらい町」や「伊勢河崎」など、それぞれ町の性格は異なるが、いずれも伊勢神宮参拝客とともに生まれ発展した町であることが興味深い。江戸時代でも、参拝客が3百万人とも5百万人ともいわれた伊勢神宮の威力を実感できる。なお、旧三雲町は現在、松阪市に合併し名称が消滅した。優雅な名称なのでちょっと惜しい気がする。

①松浦武四郎誕生地 ②米蔵のある商家  ③旧いちのや ④三層入母屋造の家  
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  ①松浦武四郎誕生地 松浦武四郎は、伊勢街道沿いの商家に生まれた幕末から明治にかけての探険家で、「北海道の名付け親」としてその生家が保存され公開されている。生家の近くには「松浦武四郎記念館」が建設され、郷土の偉人として、その功績が紹介されている。
②米蔵のある商家  三雲市場庄の商家は、半農半営が多かったようで、現在の町並みの中にも米蔵が街道沿いに散在している。よく手入れされた立派なものが多く、町並み景観を特徴づけている。

旧いちのや 大正期に建築された町家を三雲町が借り受け、町並み保存活動をする「格子戸の会」に提供し、「いちのや」と名づけて町並み案内の活動拠点としていたが、三雲町が松阪市に合併したときに閉鎖されたようだ。活動の復活を期待したい。

④三層入母屋造の家 三層入母屋造の家は、全国各地の農村部で時々見かける。この家も農家のようだ。街道筋の商家と並んで、威風堂々としたたたずまいを見せていて、町並み景観を引き締めている。