平成28年4月号(第69号)     トップページ  年月別リスト 地域別リスト
西 陣
NISHIJIN
 京都府 京都市上京区大黒町 ほか 京都市HP

 西陣は高級絹織物である西陣織の生産・販売で栄えた町である。かつては西陣織を営む町家が軒を連ねていたようだが、今日では大半の建物がビル化され、特に大通りに面した宅地は高層マンションが林立するマンション街に変貌しつつあり、「西陣」という地名もないので、「このあたりが西陣と呼ばれているところだ」という認識がないと、通り過ぎてしまいそうなエリアである。ただ、大通りからそれて、裏通りに入るとまだまだ、あちらこちらに古い町家形式の西陣織商家が残されており、それらを探して歩くという町並み探索の楽しみ方が残されている。

①大国町 ②薬師町  ③冨田屋 ④上七軒   
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  ①大国町 このあたりにも古い西陣商家が数軒、まとまって保存されている。そのせいか、広い西陣エリアの中で、この前の通りだけ200mくらいの部分が石畳で舗装されている。このスケッチの手前に「織成館(おりなすかん)」という古い商家を活用した西陣織物の展示場もあり、西陣の中心エリアのようになっている。
②薬師町 1階が連子格子窓で2階が虫子窓の古い町家がひっそりと残されている。間口が相当に広いので昔の西陣織の商家だろうか?西陣地区内には、この絵のような古い町家がポツリポツリとあちこちに分散して残されていて、保存されるのか、開発されるのか揺れているような印象を受ける。

③冨田屋 明治から続く呉服商家で、通りに面した場所に店を、その奥に住居や作業場を、という「表屋造り」と呼ばれる昔ながらの西陣商家の建築様式を残した数少ない京町家である。建物は国の登録有形文化財の指定を受け、現在は「西陣くらしの美術館」として有料で公開されている。

④上七軒 北野天満宮への参道沿いにある茶屋街である。室町時代に7軒の茶屋で営業を始めたことからこの名で呼ばれているそうだ。西陣織産業の盛衰とともに歩んできた町で、戦前は50軒ほどあった茶屋も今では10軒に減少し、観光客向けの飲食店舗等に改装しているところが目に付くが、古い町家の風情はしっかり残されている。