平成27年8月号(第61号)     トップページ  年月別リスト 地域別リスト
七 尾
NANAO
 石川県 七尾市一本杉町 ほか 七尾市HP
七尾市観光協会HP
しら井HP
高澤ろうそく店HP
 七尾は、前田利家が信長の家来だった時期に、能登一国を拝領して、この地に小丸山城を築いて城下町として整備したことにより、それ以降、能登の中心地として発展した。

 しかし数年後、利家に加賀の国が加増され居城を金沢に移してからは、小丸山城は金沢城の支城的扱いになり、町の発展は金沢がメインになったようだ。一方、七尾は富山湾に続く七尾湾が天然の良港だったため、城下町としてよりも北廻り船を中心とした交易の町として大いに賑い発展した。

 今日の七尾は、城下町としての面影はほとんど消えて、JR七尾駅を中心に駅前広場や街路整備がされ、駅前付近の風景は、どこにでも見られる一地方都市の町並みになっている。ただ一本杉通りを中心としたあたりは、明治から昭和初期に建てられた商家が何軒か残され、北廻り船交易により栄えていた頃の町の空気が伝わってくる。
@北島屋茶店 Aしら井  B旧上野啓文堂 C高澤ろうそく店   
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  @北島屋茶店 明治後期に建築された町家。蔵造りでも塗屋造りでもないのに大火をくぐり抜けて現存している。二階の格子戸にあわせたような格子造りの看板が珍しい。隣接する町家は勝本邸(現 前田リフォーム)で、ともに国の登録有形文化財に指定されている。
A昆布海産物処 しら井 創業80年の老舗海産物店だが、建物は建て替えられているようだ。ただ、そっけないビルではなく、昔の町家景観を再現したデザインになっている。一本杉通りは古い商店街で、老朽化した建物も多いようだが、町並み景観を生かした建て替えのいい先例になるのではないか。

B旧上野啓文堂  昭和初期に建てられた当時流行の看板建築。万年筆・文具店だったため2階の窓が万年筆のペン先にデザインされている。現在は「歩らり(ぶらり)」という店名で暮らしの雑貨+カフェの店として営業が続けられている。国の登録有形文化財に指定されているが、それまでよく解体されなかったものだと思う。

C高澤ろうそく店 今では珍しい和ろうそくの店。明治中期に創業して現在も製造販売を続けている。意匠的には質素だが、ろうそく店だけに火災に対する配慮が強いのだろう、黒漆喰の重厚な蔵造りの町家である。