平成27年2月号(第55号)     トップページ  年月別リスト 地域別リスト
ひがし茶屋街
HIGASHI CHAYAGAI
 石川県  金沢市東山 金沢市HP
金沢市観光協会HP
自由軒HP
福嶋三弦店HP
金沢市東山ひがし
伝統的建造物群保存地区
 

ひがし茶屋街は加賀藩が整備した花街である。もともとは旅人が休息のためにお茶を飲む文字通りのお茶屋があったそうだが、江戸時代の後期に藩が花街として再開発したエリアである。政治と経済を円滑に動かすためには、いつの時代も接待が重要だったらしい。
 加賀百万石の花街だけに、ほこりや見栄があるのか、工芸品的な装いを持った上品な雰囲気の町並みで、現在も高級料亭として多くの店が営業を続けている。1階は「木虫籠(キムスコ)」と呼ばれる出格子が連なり、2階は明かり窓が組み込まれた手の込んだつくりの雨戸がはめられ、特徴的な景観を生みだしている。
 茶屋町といえば京都の祇園新橋が代表的だが、現在の祇園新橋は完全に夜の町で、昼間訪れるとほとんど人影がないひっそりとした町並みなのに較べて、ここでは昼間から観光客で溢れている。ひがし茶屋街には昔の料亭を改造したらしいスイーツショップがそこここに散在しており、女性を中心とした観光客を引き寄せる役割を果たしているのが大きいようで、祇園新橋にはない古い町並みの活性化方法といえるだろう。

@旧愛宕三番丁 A旧愛宕二番丁  B自由軒 C福嶋三弦店   
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@旧愛宕三番丁 三番丁は二番丁に比べ道幅が狭く路地感覚である。道の両側に建ち並ぶお店が、都会の裏町に良く見られるスナックや赤ちょうちんの行列だと、猥雑な雰囲気になるのだろうが、ここではベンガラ格子の茶屋が続いていて、しっとりとした落ち着いた空間を創り出している。
A旧愛宕二番丁 ひがし茶屋街の町並みは、東西に走る4本の通りで構成されていて、南から一番丁・二番丁・三番丁・四番丁と名付けられている。このうち二番丁がメインストリートで、道幅が一番広い。東の奥が卯辰山のグリーンで閉じられているので、華やかな茶屋街の景観を引き締めている。  

B自由軒 明治末期創業の洋食屋さん。茶屋町の入り口にある広場に面して建っている。2階の壁の上に切妻屋根の頭がわずかにかにのぞいているところを見ると、木造建築の通り面のファサードを全面装飾した、いわゆる看板建築のようだ。

C福嶋三弦店 茶屋町エリアの一本南側の旧観音町には商家街があり、昔ながらの商いを続けている老舗のお店が数軒残されている。福島三絃店もその一つで、三味線の製造・販売を受け継いでいる珍しい商家である。花街ならではの町並み景観だ。向こう側のお隣は柴原味噌店。