平成26年12月号(第53号)     トップページ  年月別リスト 地域別リスト
丹波 立杭
TANBA TACHIKUI
 兵庫県  篠山市今田町上立杭 ほか  篠山市HP
丹波篠山観光協会HP
兵庫陶芸美術館HP
陶の郷HP

   丹波立杭は登り窯の立杭焼きで知られた陶器の里である。周囲を小高い山々に囲まれた盆地状のエリアに、真ん中には四斗谷(しとだに)川が蛇行し、その両側に田畑が開け、山裾には斜面に張り付くようにして集落が散在した、典型的な山里風景が展開されている。瀟洒な商家が並んでいたり、萱葺き屋根の農家が重なり合っていたりするような目を引く町並みは一切見当たらないが、昔から受け継いだ穏やかな山里風景と空気感は、それらに勝ると劣らぬ貴重なものだ。
 昨今の農村は、都市化か過疎化の二者択一を迫られており、どちらを選択しても山里風景は荒廃せざるをえないのだが、この地ではそのどちらにも向かわず、平安時代から続くといわれている陶器生産とともに、風土全体が貴重な遺産として保全されているようだ。
 時候のよい折など、集落のあちこちに60軒散在する窯元をのぞきながら、のんびりウォーキングを楽しむのにはもってこいのところである。
@英一窯 A尾中窯  B兵庫陶芸美術館 Cやきもの通り   
 ←画像をクリック 

  
@英一窯 立杭集落の北端にある窯元。県道に面して、石積みの擁壁で整備された駐車場があり、その奥の窯元の建物とともに里山の風景に調和している。陶器作品だけでなく、それらのたたずまいも見どころのひとつである。
A尾中窯 今田町上立杭尾中にあるのでこの名で呼ばれているようだ。窯元は大熊窯。現存する登り窯の多くは、山裾の窯元の家屋の裏手にあるので、全景を見通せるものが少ないが、この窯は県道に面し、川へと下る斜面に設置されているので、全体がくまなく把握できる。

B兵庫陶芸美術館 手前の川沿いに建つ三段の切妻屋根の建物は上立杭交流館で、その背後の小高い丘の上で木立に包まれるように建つのが兵庫陶芸美術館。どちらも新しい建物だが、丹波立杭の里山風景に溶け込むよう配慮されて建てられているようだ。

Cやきもの通り 坂道の露地の両側に点々と窯元が並んでいるので、このネーミングにしたようだ。上り坂の入り口の路面に「やきもの通り」と記された陶板が埋め込まれている。狭い道幅だが、ほとんど自動車が通らないので歩きやすい。