平成26年1月号(第42号)     トップページ  年月別リスト  地域別リスト 
御手洗1
MITARAI
 広島県  呉市豊町御手洗   呉市HP

 呉市豊町観光協会HP

 呉市豊町御手洗

 重要伝統的建造物群保存地区

 

御手洗は瀬戸内海の呉の沖合に浮かぶ大崎下島にある港町である。周囲の島々に囲まれた天然の良港で、古くから瀬戸内海航路の潮待ち風待ちの港として賑わった。
 交易で町が発展するのにあわせて茶屋営業も盛んになり、単に茶屋で遊女遊びをさせるだけでなく、「おちょろ船」と呼ばれる小舟に遊女を載せ、沖に停泊する船の間を巡って遊女の出前をしたそうで、これが御手洗の特色となった。停泊する帆船の間をちょろちょろ漕ぎまわって客引きをする姿から、このような名前がついたのだろう。
 町並みは、江戸時代の商家や茶屋、明治から昭和にかけての洋館や芝居小屋などがまとまって残されていて、島のせいで自動車の往来が少なく、のどかな海とミカン畑の小高い丘に包まれたおだやかな町歩きが楽しめるところである。2012年に公開されたアニメ「ももへの手紙」の舞台になった町でもあるが、おなじくアニメ「崖の上のポニョ」のモデルになった「鞆の浦」ほど観光的には知られていないようだ。

@旧柴屋住宅 A七卿落遺跡  Bなごみ亭  C高燈籠   
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@旧柴屋住宅 昔、庄屋を務めていた高橋家の別宅ということだが、柴屋という屋号をもっていることからみても商家の雰囲気であり、また伊能忠敬が測量に来た時滞在した家だそうなので、船宿も営んでいたのだろう。中央の常盤通りを挟んで両側の町家とも柴屋のもので、豪邸である。
A七卿落遺跡 江戸時代の庄屋の屋敷だが明治維新前夜、京都での公武合体派と倒幕派の勢力争いに敗れた倒幕派の三条実美らが、長州へ都落ちする途中で立ち寄った場所として、県の史跡に指定されている。岬の先の眺望のいい立地なので、迎賓館的な使われ方をしていたのだろう。

Bなごみ亭 江戸時代の船宿の内部を改装し、旅館として営業している。すぐ目の前が防波堤をはさんで瀬戸内海の海で、2階の座敷からは行きかう漁船を眺めながら、盛りだくさんな新鮮な魚料理が味わえる。このあたりも伝建地区内なので、隣接する老朽化した建物にもいずれ手が入り、町並み景観が整えられるのではないか。

C高燈籠 御手洗の港には、江戸時代に造られた高燈籠と昔の波止場である雁木が残されている。高燈籠と雁木の組み合わせは鞆の浦でも見かけたが、こちらの方が古い町並みに包まれて、昔のたたずまいの雰囲気を強く残しているようだ。