平成25年12月号(第41号)     トップページ  年月別リスト  地域別リスト 
奈良町
NARAMACHI
 奈良県  奈良市柴新屋町 ほか  奈良市HP
奈良市観光協会HP
奈良まちづくりセンターHP
今西清兵衛商店HP
 

 奈良町は元興寺周辺一帯の地域をさし、そういう地名はないが古い町並みを残しているからか、“奈良町”と呼ばれ定着した呼称となっている。奈良は京都と並んで古都と呼ばれ、ともに世界遺産に指定された古い神社仏閣が数多く存在するが、古い町並みはと言えば、京都が神社仏閣とともに古い町並みを歴史遺産として保存することに力を入れているのに対し、奈良は町並み保存については淡白なようである。そのあたりの違いが町の魅力に如実に反映し、同じ古都でも京都には華やかさが感じられるのに対し、奈良は地味な町並みという印象を受け、観光客数に大きな差が生まれているのが実情だ。だから奈良町は奈良にとって貴重なエリアなのだが、訪れるたびに狭い路地のあちらこちらに観光客向けの安直な店が増え、猥雑な空間になりつつあるのが気がかりだ。

 @今西清兵衛商店  A奈良町物語館  B芝新屋町 C藤岡家住宅    セピア色の画像をクリックして下さい。
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@今西清兵衛商店 明治に創業の造り酒屋で、広い間口の塗屋造りに太格子がはまり、袖蔵も備えた堂々としたファサードである。隣接する今西家書院は室町期に建設された書院造りで重文の指定を受けているが、この建物は興福寺の坊官から今西家が大正期に譲り受けたそうだから、生業の繁盛ぶりがうかがえる。
A奈良町物語館 奈良町づくりセンターが空き家になっていた古い町家を改修し、観光案内所を兼ねたコミュニティセンターとして活用している。このあたり古い商家が軒を連ねていて、こういう町並みをみていると、奈良といえば神社仏閣の町という印象が強いが、昔は商業都市でもあったことがわかる。

B芝新屋町 町家の前の道は奈良から飛鳥を経由して伊勢に至る上街道で、この街道沿いには、今も古い大型商家が何軒も残されていて、昔は旅人でおおいに賑わった様子がうかがえる。また街道には城下町に見られる桝形が何箇所かあり、元興寺を中心とした軍事都市でもあったようだ。

C藤岡家住宅 国の重要文化財に指定されていて、最近解体修理がおこなわれたため新しい建物のように見えるが300年前のものである。江戸時代には薬屋を営んでいた商家で、広い間口と垢抜けした正面ファサードのデザインから察するところ豪商だったのだろう。