平成24年6月号(第23号)     トップページ  年月別リスト  地域別リスト 
竹 原  広島県  竹原市本町 ほか  竹原市HP  竹原市竹原地区

伝統的建造物群保存地区
 竹原市観光協会HP
 

 竹原は製塩業で栄えた町である。江戸時代のはじめ、農地開拓の目的で海岸付近を干拓したものの、塩分が強くて農作に適さず大失敗に終わって悲嘆に暮れていたのだが、機転のきく人がいて、干拓地を塩の製造に転用すればと思い立ち、赤穂から製塩のノウハウを導入して塩の製造に取り組んだ結果大成功し、逆転勝利を得たというドラマチックな歴史を持つ町である。町並みは豪商の勇壮な町家が軒を連ね、しかも平入りや妻入りなど形状や意匠にバラエティがあり、まるで町並み全体が博物館のような様相を呈している。塩という商品がもたらす経済力がいかに強力であったかを物語っているようだ。また最近ではTVアニメ「たまゆら」の舞台になったことでアニメファンに人気を呼んでいる町でもある。

 @歴史民俗資料館  A大小路  B松阪邸 C竹鶴酒造    セピア色の画像をクリックして下さい。
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@歴史民俗資料館 江戸時代、この地に「竹原書院」という学問所があったが火災で焼失したので、昭和初期に「町立竹原書院図書館」としてこの洋館が建築され、現在は歴史民俗資料館として公開展示されている。よくある活用方法だが、使われ方が地味な印象を受ける。

A大小路 メイン道路の本町通りに出る路地で、春風館・復古館という重文が並んで建っている。この2つの建物は、江戸時代の文人である頼山陽の祖父と叔父が住んでいた住居である。塩がもたらした豊かな富は文化も花咲かせたようである。

B松阪邸 沢田屋という屋号で製塩に不可欠の燃料である薪や石炭を扱っていたが、その後塩田経営や回船業にも事業を広げ多角経営で大成功を収めた。総合商社のはしりなのだろう。入母屋屋根の妻側に唐破風をあしらえた意匠は、まるで芝居小屋のような華やかな趣を漂わせている。

C竹鶴酒造 ニッカウヰスキーの創始者である竹鶴政孝の生家である。もともとは小笹屋という屋号で塩の製造販売を営んでいたが、酒造りも営むようになった。妻入り3連棟の重厚な建物で、豪奢な商家が並ぶ本町通りの中でもひときわ目立っている。