平成24年4月号(第21号)     トップページ  年月別リスト  地域別リスト 
出 石  兵庫県  豊岡市出石町  豊岡市HP  豊岡市出石

伝統的建造物群保存地区
 

 出石は中世、但馬の中心地となった城下町である。城を築いたのは山名氏であり、応仁の乱の西軍大将となった山名宗全はこの地から出陣した。町並みは、南端の山麓にある城に通じる大手通りを中心に碁盤目状に町割りされ、古い町家が数多く残されているので「但馬の小京都」と呼ばれている。また江戸中期に信州から移封されてきた仙石氏によりそばの栽培が広められ、またその後盛んになった出石焼の磁器がコラボし、皿そばが名産となった。今では京阪神方面から日本海方面に観光に出かける人々にとって、昼食休憩をかねて皿そばを食べ古い町並み散策を楽しむために立ち寄る格好のスポットとなっている。古い町並みと、郷土食やグルメとの組み合わせは観光化成功の秘訣のようだ。

 @永楽館  A八木通り  B辰鼓楼 C出石酒造    セピア色の画像をクリックして下さい。
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@永楽館 明治期に建設された芝居小屋が改修され、演芸や催しものに活用されている。同じ明治の芝居小屋である四国の内子座を連想させる建物だ。出石にしても内子にしても今は山間部の小さな町にすぎないが、当時は地域の経済や文化の中心地として大いに賑わっていたことがしのばれる。

A八木通り 出石の町の中には、このスケッチのような昭和の町並みとでもいうべき路面型商店街があちこちに残っている。観光客化された町並みとは違って普段着の町の表情があり、親しみが持てる。郊外型大型店舗全盛の今日であるが、またこういった商店街が地域コミュニティの復活や高齢化社会対応の柱として注目される日がくるのかもしれない。 

B辰鼓楼 辰の刻(午前8時)に出石城への登城を知らせる太鼓が打ち鳴らされたためにこう呼ばれたという。今は観光客の人波であふれているこの道が、当時は大手門へ向かう武士たちの通勤の波が続いていたのだろう。街角にたたずんで想像の世界でタイムスリップさせてみた。

C出石酒造 創業が江戸時代という出石酒造。はがれかけた赤茶色の土壁が、年期を感じさせ味わいがあり古い城下町の景観を引き立てている。この建物で操業を続けるには、いまやいろいろと不便なことがあるのだろうけれども、下手に近代的な建物にたてかえたりせず、この景観を維持してほしいものだ。