平成23年12月号(第17号)     トップページ  年月別リスト  地域別リスト 
鞆の浦  広島県  福山市鞆町   福山市HP
福山市観光協会HP
 

 鞆の浦は大阪湾から関門海峡にいたる瀬戸内海のほぼ中央に位置する港町だったため、近世には重要な流通基地だった。今なおその頃活躍した石造りの常夜燈や、階段状の船着き場である雁木を中心とした港湾施設が残され、豪商の古い町家とともに江戸時代の港町のたたずまいが保たれた珍しい町並みである。その貴重さに加えて、アニメ「崖の上のポニョ」のモデルとされた町として注目されたことも話題を呼び、今では観光客であふれている。ただ古い町並みが現代の自動車社会に対応できない矛盾が如実に表れているのも現実であり、埋め立てと架橋による開発計画がもちあがったが、反対運動が起こって訴訟に発展し、景観訴訟として東の「国立市マンション訴訟」と並んで全国的に注目されている町でもある

  
 @常夜燈と雁木  A太田家住宅  B平野屋 C鞆の津の商家    セピア色の画像をクリックして下さい。下枠にカラーで拡大表示されます。 
      
   

@常夜燈と雁木 鞆の浦一番のの観光スポット。川沿いの雁木(階段状の船着き場)はあちこちで見かけるが、海に残されているのは珍しい。右の蔵造りの建物は「いろは丸展示館」。

A太田家住宅 保命酒の造り酒屋で国の重要文化財に指定されている。保命酒とは酒に漢方薬をブレンドしたもので、現在の養命酒のような薬用酒である。維新前夜に京の政変で三条実美ら7人の公家が長州に落ちる途中この家に宿泊したため、玄関に「鞆七卿落遺跡」という看板もかかっている

B平野屋 古い町家が続く鞆の町のメインストリートの角にある履物店で、この建物は明治以降に改装されたらしく、洋風の看板建築である。今でも目を引くが、当時はずいぶんモダンで目立っただろう。左側の町家は同じ平野屋が経営する船宿で現在は「平野屋資料館」として公開されている。

C鞆の津の商家 江戸末期から続く商家で、建物の前の案内板に「魚網製造を中心に漁具・船具を北海道から東南アジアまで広範囲に販売する会社であった。」と記されている。近世から明治にかけてはグローバルに活躍した商人たちで賑わった町だったらしい。