平成23年3月号(第8号)     トップページ  年月別リスト 地域別リスト
脇 町
WAKIMACHI
 徳島県 美馬市脇町大字脇町 美馬市HP

美馬市観光協会HP

美馬市脇町南町
伝統的建造物群保存地区

 脇町は、藍という草からとる藍色の染料の生産販売で繁栄した町である。この藍の商いを中心に、吉野川の水運と撫養(むや)街道の陸運との交通手段とを利用した商業都市として、江戸時代から明治期にかけて大いに発展した。当時は綿織物が衣料の主流だったため、化学染料のないこの時代には、藍は染料として生活必需品だったようだ。
 袖うだつをあげた瀟洒な商家が軒を連ねた町並みを見ていると、藍が米や塩と同様、大衆の日常生活に広く浸透し、藍が大きな富を生む源泉であったことが想像できる。うだつは一般的には防火のためといわれているが、脇町の袖うだつは二階の軒裏とうだつの間に空間があり、軒裏を走る火炎の防止には役立ちそうにない。うだつの上に本瓦ぶきの屋根を載せ鬼瓦までしつらえた重厚な意匠は、むしろ富や威勢の象徴としての役割を果すことが主だったのだろう。
 この特徴的な町並み景観を活用して、観光を中心とした新しい町づくりに取り組む試みが始められている。

①南町 ②吉田家住宅  ③袖うだつ ④脇町図書館付近  
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  ①南町 袖うだつを上げた商家が連なる脇町の代表的な町並み。袖うだつは一階の袖壁から立ち上げたものと一階の屋根庇の上に載せたものと二通りあるようだ。一階の連子格子も太格子と細格子の二種類が見られる。
②吉田家住宅 江戸時代の建物で、吉田家は脇町最大の藍商家。母屋の裏には広い作業場があり、吉野川の船着き場に続いている。吉野川からの船荷を直接敷地内に取り込んでいたようだ。

③袖うだつ うだつは、岐阜県の美濃で見られるような二階の屋根の棟と隣家の棟の間に立ち上げたものが一般的だが、脇町のものはすべて、一階の屋根庇と二階の軒裏との間に立ち上げた袖うだつである。豪華なつくりで、防火目的というより完全に意匠装置である。

④脇町図書館付近 このあたりにも、もと商家だったのだろう、間口の広い格式の高そうな建物が連なっている。一階の通りに面した部分には連子格子が続き、二階には虫籠窓と豪華な袖うだつが上がり、重厚な町並みを形成している。