平成22年12月号(第5号)     トップページ  年月別リスト 地域別リスト
吹 屋
FUKIYA
 岡山県 高梁市成羽町吹屋 高梁市HP

高梁市観光協会HP

高梁市吹屋
伝統的建造物群保存地区

高梁の市内から、自動車で山道を1時間ばかり走り続けると、山の中に突然、石州瓦とベンガラ壁で褐色に包まれた集落が現れる。これが吹屋である。
 吹屋は江戸時代から銅山の町として栄えた。同時に江戸後期からは銅精製時にでる酸化鉄から、顔料であるベンガラの製造に成功し、その品質の良さから国内でほぼ独占的なシェアを得て、昭和初期まで隆盛した。
 戦後銅を掘りつくして銅山が閉山となり、ゴーストタウン化の危機に見舞われたが、ベンガラ商人たちが残してくれた豪壮な町並みが注目され、町並みの保存運動が起こり、重要伝統的建造物群保存地区への選定を経て、観光地としてよみがえった。
 足の便が悪い立地なので、観光客がどっと押し寄せるという状況ではなく、吉備高原の林の中で居住まいを正して静かに来訪者を迎えてくれているという空気感が漂っている。親しみの持てる町だ。

①旧片山家住宅 ②長尾醬油店  ③吹屋小学校 ④中町
 
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  ①旧片山家住宅 旧片山家は、吹屋における代表的なベンガラ商家。主屋に隣接する袖蔵には、水切り瓦となまこ壁がしつらわれ、主屋とともに吹屋のシンボル的な建物になっている。袖蔵は宝蔵と呼ばれているようだから、文字通りお宝が収蔵されていたのだろう。
②長尾醬油店 江戸時代から7代続く造り醤油商家で現在も操業している。過疎化が進んだ町ながら、昔からの取引先やネット販売で経営が成り立っているようだ。店頭に置かれた醤油樽を加工したらしい看板代わりの飾り棚が印象的だった。

③吹屋小学校 吹屋小学校は明治期の洋風木造建築である。町の繁栄を背景として建築された当時の最先端を行くモダンな建物だったのだろう。現在も小学校としてその役目を果たしているが歴史資料館とかに名を変えず、いつまでも小学校でいてほしものだ。

④中町 吹屋のメインストリートで、ベンガラ格子と赤い石州瓦屋根のベンガラ商家が軒を連ねている。なだらかな坂道がゆったりと湾曲していて、のんびり町並み散策を楽しむのにもってこいのロケーションだ。