地方性下関研究会に参加して

2015年5月28日から31日にかけて日本建築学会住宅の地方性委員会の恒例である春の研究会に参加してきました。40人を超える参加者で、福井大学や琉球大学の学生・院生の方も参加しており、にぎやかな勉強会となりました。準備は山口大学の中園先生と牛島先生によって行っていただき、2日目の見学会は盛りだくさんの内容で大変充実したものでした。
唐戸地区はいくつかの保存建物があり、この英国領事館はそのうちの一つです。2階にはカフェがあり、夜は英国のビール・スコッチが飲めるようになっています。 研究会の初日、研究会まで少し時間があったので真嶋先生と岡本先生とともに唐戸の魚市場にゆきました。市場内にすし屋などがあり、観光客でにぎわっていました。
   
唐戸の歴史的な建物のひとつである秋田商会のビルです。当時としてはめずらしい屋上庭園があり、そこに茶室が建てられています。 同じ唐戸で郵便局も保存建物の一つとなっています。中庭などを活用すれば経費的にも維持管理できそうな建物です。
   
 海岸沿いの大通りをはさんで山側に唐戸商店街があり、再開発やアーケードなど、かなりの公共投資が行われてきました。しかしながら・・ アーケードや再開発ビルでシャッターを閉じている店が多く見受けられました。立地的には悪くありませんが、集客力のある施設が求められます。
   
 ウォータフロントの核となる水族館は日建設計によるものと聞きましたが、気持ちの良いデザインです。ただし他の施設との一体性はありません。  水族館から東方向にウォータフロントが形成されています。ショッピングセンター、奥の魚市場と回遊性があるにも関わらず、全体計画がいまいちか?
   
 白雲台団地には51C型のある住棟が残っており、他方で20年ほどまえに早川研究室による建て替えが行われ、斬新なデザインが採用されました。 斬新なデザインは、住みこなせる住民があってはじめて生きるもので、市営住宅の建て替えとしては維持管理面で問題があります。写真は使用されないまま放置されているギャラリーです。
   
 下関駅近くの新地エリアでの空き家活用事例を見学しました。TUR8は障害者のデイサービス施設と食堂が運営されています。 mimihana cafe は病院をDIY改修によりリノベーションしたもの。いずれも建築雑誌の写真に載るようなものではありませんが面白い取組です。
   
 韓国との交流を示すグリーンモールから一筋入ったところにかなり大きな改良住宅群があります。店舗上に増築が進むなど、市の説明にはなかった迫力があります。  改良住宅の1階には大きな市場になっている住棟があり、昔はたいへんなにぎわいがあったようです。現状は営業している店はごくわずかで、閑散とした状況です。
   
長府は歴史的な趣を残したまちです。とはいえマンション建設をきっかけとして、地区全体に10mの高さ規制がかかったのは比較的最近のことで、この蛍遊苑は規制後の建設とのことです。   遊歩道の整備地区は石貼りのゆったりとした遊歩道として整備されています。電柱も地下埋設され、看板なども統一され、歴史的風情をかもしだしています。
   
農村部での空き家再生事例である歌野清流庵です。茅葺民家を交流施設として再生したもので、茅も会員の手によって葺き替えられたものです。  同じく農村部で納屋を学童保育施設に再生したものです。床はしっかり作りかえられています。市の社会福祉協議会が母屋の地域共生ホームも運営 
   
3日目は門司側に船で渡りました。門司は地方性北九州研究会で訪問しました。下関市と門司市が景観計画を共同作成していますが、ウォータフロントの個々の開発には問題も感じられました。   左のビルのレトロ展望室より下関側を見たものです。高層マンションが壁のように建設されていることがわかります。下関側は南の門司側を眺望できるということがマンションのウリとなるようです。
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