8月


12日
エルウィン・シュレーディンガー(Erwin Schoredinger)(1887〜1961)オーストリアの理論物理学者

ウィーンで生まれています。ウィーン大学に学び、その後、第1次世界大戦中は軍務に服していましたが、終戦後は、シュツットガルト大学教授、ブレスラウ (現ウロツワフ)、チューリヒの各大学教授を経て、M.プランクの跡を継いでベルリン大学教授となりました、が、1933年ナチスに追われオーストリアに帰りました。その後1938年にイギリスに渡り、ダブリン高等研究所教授をつとめ。1956年にオーストリアに帰りウィーン大学教授になりました。

彼は、1926年に、L.ド・ブロイの考えを拡張して波動方程式を導き、ハイゼンベルクらの行列力学に対して,物質の波動性に基づいた波動力学を打立てました (→シュレーディンガーの波動方程式 ) 。さらに行列力学と波動力学の数学的等価性の証明し、波動方程式の解である波動関数の物理的解釈の問題や、観測問題の哲学的研究など、量子力学発展に対して最大級の貢献をしました。1933年ディラックとともにノーベル物理学賞受賞しています。

ほかに生命現象が統計的因果律に支配されているという独自の考えを展開し,のちの分子生物学の発展に大きな刺激を与えたことでも知られています。
シュレーディンガーの猫
物理学上有名なたとえ話なのですが

観察者が、生きた猫を密閉した箱に閉じ込める。箱には猫といっしょに、青酸カリの入ったガラス瓶も入れられる。この瓶は、不測の事態が起こると(たとえば、半減期が1時間の放射性素粒子が崩壊したとすると)割れるようになっている。
猫が1時間後に生存している確率は五分五分である。60分たつと、観察者は箱を開けるのだが、そのとき、中の猫は生きているだろうか? それとも死んでいるのだろうか? ここで肝心なのは、「観測者が箱を開ける前まで」その猫は生きていたのか、はたまた死んでいたのか?という点である。

量子論の中の不思議な解釈のひとつにもとづけば、その正解は「イエス」となる。その箱を開けるまで、方程式上では、いわゆる「観察者の与える影響」がもたらされる前までは、猫は生きてもいるし死んでもいるとされる。つまり、猫の状態が実際に観測されるまでは、五分の確率がもう一方の五分の確率につぶされることはないし、そうすることもできない、という一種の数学的波動関数なのである。

ということなのですが・・・わかるような、わからないような
ビクトル・ドブロイ(1892〜1987)
フランスの理論物理学者。電子の性質に関して粒子性と波動性とを融合させた物質波の概念を提唱、シュレーディンガーの波動力学の先駆となった。
ウェルナー・ハイゼンベルク(1901〜1976)
ドイツの物理学者。主として原子力学を研究し、一九二五年量子力学の一形式マトリクス力学を創始した。
ポール・エードリアン・モーリス・ディラック(1902〜1984)
イギリスの物理学者。量子力学と相対性理論とを統合した新たな理論をうちたてた。著に「量子力学の原理」など。
波動力学
ルイ・ド・ブロイの物質波の考えを発展させてシュレーディンガーがつくり上げた量子力学の一体系。粒子の状態は波動方程式を満足する空間的なひろがりをもった波動関数として与えられる。のち行列力学と内容的には同等であることが明らかになった。
量子力学
素粒子・原子・原子核・分子など、微視的な粒子に関する古典力学とは異なる力学体系。一九二五、六年頃から、ハイゼンベルクの行列力学、シュレーディンガーの波動力学、ディラックの変換理論などにより統一的体係が築かれた。


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