6月


16日
バーバラ・マクリントック(Barbara・McClintock)(1902〜1992)アメリカ 遺伝学者

アメリカのコネティカット州のハートフォードで生まれました。彼女の父は、娘を女性としてではなく人間として育て、彼女のやりたいことは、何でもやらせました。4歳の時にはボクシングのグローブを買い与えたり、母親も、彼女に「女の子らしい」ことを教えようとした近所の主婦の干渉を排除したりしています。

その後、父の理解もありコーネル大学へと進学し、1927年に博士号を取得。同大学で講師をつとめ、その後、ワシントンD.C.のカーネギー研究所に転じ、同研究所コールドスプリングハーバー研究所で40年以上研究を続けました。

1951年にトウモロコシの斑(ふ)入り現象より、可動遺伝要素(モービル・ジェネティック・エレメンツ)を発見し、流動する遺伝子(トランスポゾン)の概念を確立しました。しかし、画期的論文もはじめは関心をひかず、長い間学界はそれを重要視しませんでした。一時彼女の論文は発生学や進化論の珍説奇説に埋没してしまいました。

DNAの発見にはじまるその後の分子遺伝学の発展のなかで、そのぬきんでた先駆性が認められるまでには、実に30年の長い年月を必要としました。

1982年には利根川進とともに生理学・生化学の分野ではノーベル賞に次ぐ権威のある賞といわれるルイザ・グロス・ホロビッツ賞を受賞し、翌年の1983年にはノーベル生理学・医学賞を受賞した。ノーベル委員会は、彼女の業績を「現代遺伝学の中で最も偉大な発見の一つ」と位置付けています。

その後も、90歳で亡くなるまで、研究に没頭しました。
発見から32年後の受賞の記者会見で彼女は「おやまあ」とひとこと言って姿をくらまし、戻ってきても「喜びは研究で十分味わった。そのうえ賞なんて」と短く語ったといわれています。


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