6月


11日
ジャック・イブ・クストー(Jacques Yves Cousteau)(1910〜1997)フランス 海洋探検家

フランス南西部ボルドーに生まれました。海軍兵学校を経て航空士官学校に進みましたが、自動車事故にあい、巡洋艦士官に転向し、フランス海軍砲術官として勤務しました。

その後、海の中に広がる未知の世界に魅せられて研究を始め、エミール・ガニャンの技術協力を得て、1942年にはスキューバ(商標名アクアラング)を開発しています。

1950年から海洋調査に乗り出し海洋調査船「カリプソ」号で海洋調査の指揮をとるようになり、紅海の調査を皮切りに世界の海を回り、1953年には著書「沈黙の世界」がベストセラーになります。1956年には、海中の世界を紹介した同名の映画「沈黙の海」を制作し、カンヌ映画祭グランプリ、アカデミー賞を受賞しています。

1957年に海軍を隠退して、モナコ海洋博物館長に就任。深海潜水艦ディープスターやアージロネットを完成させました。又、深海底での観測に熱意を燃やし、1962年から海底居住実験「プレコンチナン計画」を実施、1965年には6人を水深100m地点に約1ヵ月滞在させるのに成功しました。

その他にも、テレビ映画シリーズ「クストーの海中の世界」をはじめ、「クストー海の百科」などの著作があります。

また、彼は海で観察を続けるうちにだんだんと自然破壊・海洋汚染の実態を知り。地球環境学者としての生き方を強めていきます。1992年の地球サミットに出席して環境破壊を警告し、核兵器にも強く反対して、母国フランスでの核実験再開に際してはだれよりも真っ先に激しく批判しています。

「世界でもっとも有名にして愛されたフランス人」と称賛されていましたが、1997年6月25日午前にパリ市内の自宅で他界しました。87歳でした。
クストー海の百科 むすび 目撃者のいない世界から抜粋
このシリーズは、海という多面的な世界を、特に重要と思われる全ての局面からながめたものである。これを普通の言葉で一言で言えば、数百年の長きにわたり、世界中の化学者の英雄的、世界中の科学者の英雄的、献身的な努力によって積み重ねられてきた事実と知識の宝庫を手にしたことになろう。また、調査船カリプソ号のダイビングチームの方々の個人的観察に追うところも多い。

私たちは、こうして手に入れた知識を、「心ない動物を殺生するものは、いつの日か殺人者として罰を受けるであろう」といレオナルド・ダ・ビンチの言葉や、「自然の自発的な活動の余地がない世界とは、考えるだに味気ないものである」というジョン・スチュワート・ミルのことばにもあるように、自然への愛情と献身を持ってかみしめねばならない。海という世界は、他の世界と同様、それを確かめようとするものがあって、初めて実在するものである。発見は創造についで重要な事柄である。私たちを取り巻く海を発見することによって、海を私たちのものとして創造しようではないか。

6月


11日
川端康成(1899〜1972)

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」

昭和期の小説家

大阪で生まれました。姉と2人姉弟で、父母は早く亡くなりました。幼いときから祖父母に育てられ、姉は叔父の家にあずけられて、同じ大阪にいながら別れ別れに育ちました。その姉も彼が小学校3年の時に亡くなっています。

彼は中学校3年のころから短い小説を書き出し、東京へ出て第一高等学校を出て、東京大学文学部に入学します、在学中の大正10年、級友らと第六次「新思潮」を刊行し、その二号に掲載した「招魂祭一景(しょうこんさいいっけい)」が菊池寛に認められて文壇に出ました。

そして、大正13年には横光利一、片岡鉄兵、今東光らと雑誌「文芸時代」を創刊し、新感覚派の運動を起こしました。そして昭和初期には、新興芸術派の中心的な存在となっていきます。

「伊豆の踊子」「雪国」「千羽鶴」「山の音」「みづうみ」「古都」などの名作をはじめ多くの作品を発表し、昭和43年には、日本人として初のノーベル文学賞を受賞しています。

批評家としてもすぐれており、三島由紀夫をはじめ多くの新人作家を見出しましたが、昭和47年3月急性盲腸炎のため入院手術、15日に退院しましたが。その翌月の4月16日の夜に、仕事部屋にしていた逗子マリーナマンションの自室でガス自殺で亡くなりました。72歳でした。
川端康成は、カジノフォーリーの踊り子で、後に映画女優になった梅園竜子のファンでした、あるとき彼が彼女に「雪国」を読ませて感想を求めたことがあったそうです。その答えはなんと「先生、こんないやらしいことなさったんですか?」だったそうです。

そのころのカジノ・フォーリーには、当時の新進作家が多く出入りしており。特に彼は、踊り子から「川端の兄さん」と呼ばれて良く楽屋に足を運んでいたそうです。彼の作品、「浅草紅団」はこの経験をもとに書かれた小説だということです。


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