6月


5日
アダム・スミス(Adam Smith)(1723〜1790)イギリス 経済学者

スコットランドに生まれました。生まれた時には父が亡くなっており、母の手で育てられました。グラスゴー大学、オックスフォード大学に学び、グラスゴー大学の道徳哲学講座を13年間担当しています。その後、その後バックルー公の家庭教師としておもにフランスに滞在し、ボルテール、ケネーらと会って、フランスの思想に接しました。

帰国後は公の年金によって生活し1776年、有名な「諸国民の富の性質と原因に関する研究」(国富論)を著して、その名声を高めました。ここに学問としての経済学の土台が築かれ、彼は「経済学の父」と言われるようになりました。

この本の中で、スミスは経済でも自由が大切だととき、自由主義経済を主張しました。パン屋がパンを売るのも、肉屋が肉を売るのも、自由にしておけば競争しあって、安くて良いものを売るようになるという論です。

のち彼は、グラスゴー大学の総長に選ばれ、学者として一生を送りました。また、彼は終生独身であったそうです。

ジョン・メイナード・ケインズ(John Maynard Keynes)(1883〜1946)イギリス 経済学者

ケンブリッジに生まれました。ケンブリッジ大学を卒業してインド省などに勤めたのち、経済学の研究をし、大蔵省にはいり、第1次世界大戦後のパリ平和会議に大蔵省首席代表として出席し、敗戦国ドイツに対して過大な賠償をさせることに反対しました。

「貨幣改革論」「貨幣論」「繁栄の道」などの本を著し、ついで「雇用・利子及び貨幣の一般理論」を著し、経済学会に大きな改革をもたらしました。その考え方は資本主義を続けながら、失業を救うために自由放任政策を修正しようというもので、修正資本主義と呼ばれています。

彼の説は、近代経済学と資本主義国の経済政策を支えている、理論的な基礎になっています。
修正資本主義
失業、恐慌など資本主義の諸矛盾を国家権力の介入によって緩和し、経済の民主化と社会化をはかろうとする思想ないし政策原理。たとえばアメリカのニューディール政策など。

6月


5日
ルース・ベネディクト(Ruth Benedict)

(1887〜1948)

「彼等(日本人)は自分の行動を他人がどう思うだろうか、ということを恐ろしく気にかけると同時に他人に自分の不行跡が知られない時には罪の誘惑に負かされる」

文化人類学者

アメリカのニューヨークで生まれました。彼女が、2歳の時に父は原因不明の熱で亡くなり、母は、娘2人を連れて実家に戻り宣教師になって、各地を移動していたそうです。

各地を転々としていたせいか、彼女は学校では友だちができませんでしたが、彼女は優秀な成績をおさめ、奨学金で大学に入学しています。

その後、生化学者で後にコーネル大学医学部教授となったスタンレー・ロッシター・ベネディクトと結婚しましたが、子宝に恵まれず、あまり幸せな結婚生活ではなかったそうです。

そんな中、彼女は、人類学と出会い、F. ボアズの指導のもと研究を続け、なんと3学期間で、博士号を獲得してしまいました。そして、彼女は、研究に没頭し、講師として、各地で調査を続け、研究論文を発表していました。しかし、その研究熱心がたたってか、1931年に離婚しています。

彼女は、研究を続け、ヒトラーがアーリア民族優秀論を繰り広げた時などは、彼女とボアズは、いかなる形の民族主義をも拒否する姿勢を明確にしています、そして「人種−科学と政治」を出版。この本は70万部も売れ、以後、彼女はアメリカ人類学の最も優れた研究者として認められました。

そんな彼女のもとへ、敵国日本の研究依頼がアメリカ政府から来ました。アメリカは戦争中、日本軍、日本兵の取る行動に、そしてその価値観に大きく戸惑いました。そして、今後戦争を続けていく上で、また戦争が終わった後処理をする上で、日本人のメンタリティを学術的に研究すべきだという考えに達したのです。

彼女は、カリフォルニア州の日本人移民や日本人捕虜たちの話、ジョン・エンブリーの日本村落に関する研究書、日本で製作された映画、さらにはアジア諸国の文化研究の成果などから、現地調査以外のあらゆる調査を行い、複雑な日本社会を解明していきました。そして、彼女の研究成果は「菊と刀」という一冊の本にまとめられました

彼女はこの成功により、出版の翌年にはアメリカ人類学会会長となっています。しかし、1948年の暮れ、ついに日本の土を踏むことなく、冠状動脈血栓で61歳の生涯を閉じました。
  • 日本人は最高度に、喧嘩好きであると共におとなしく、
  • 軍国主義的であると共に耽美的であり
  • 不遜であると共に礼儀正しく
  • 頑固であると共に順応性に富み
  • 従順であると共にうるさくこずき回されることを憤り
  • 忠実であると共に不忠実であり
  • 勇敢であると共に臆病であり
  • 保守的であると共に新しいものを喜んで迎え入れる
  • 彼等は自分の行動を他人がどう思うだろうか、ということを恐ろしく気にかけると同時に他人に自分の不行跡が知られない時には罪の誘惑に負かされる
  • 彼等の兵士は徹底的に訓練されるが、しかしまた反抗的である
「菊と刀−日本の文化の型」の中で彼女は、日本人の行動規範は、恥にあるといっています。他人が自分の行動にたいしてどういう判断を下すか、その他人の判断を基準にして自分の方針を定める、日本の文化は恥を基調とする文化である。したがって人目がなければ、行為の善悪は問題にならない。実に矛盾に満ちた国民であると50年以上も前に彼女は語っています・・・日本人って変わらない民族なんですね。


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