5月


16日
ディビッド・エドワード・ヒューズ(David Edward Hughes)

(1831〜1900)イギリス 電気技術者

ロンドンで生まれました。少年の頃両親と共にアメリカに移住しています。ケンタッキー州のバーズタウン大学で学び、1850年同大学の音楽教授になりましたが、やがて、音の伝達・拡大に関心を持ち、1854年教授を辞職しました。

1855年、一分間に250〜300字が処理できる印刷印刷電信機を発明し、これはフランスなどで広く使用されました。

1878年には炭素棒を二つの炭素塊の間に緩く挟んだ接触抵抗型送話器を発明しました。これはエジソンの送話器の性能をもしのぐ「マイクロホン」としてベル電話会社に買い取られ、電話の原型となり、重要な意義をもつものとなりました。

1877年からはイギリスに戻って亡くなるまでロンドンに居住しています。

5月


16日
野副鉄男(のぞえ てつお)(1902〜1996)

化学者

仙台で生まれました。その後、東北帝国大学化学科に入学。卒業後は新設の台北大学に勤め、1937年教授となりました。この台北時代に彼は、タイワンヒノキ材の精油を研究している内、融点が51〜52℃の痰黄色から白色のヒノキの香りのする結晶結晶を得て、これをヒノキチオールと命名しました。

その後、研究が進み、ヒノキチオールの化学構造が解明され、炭素7個が環状に結合(7員環)した芳香族化合物であることが明らかになりました。当時このような7員環を持つ物質は天然物にはほとんどなく、大変珍しい物質でした。

このヒノキチオールのような7員環の核を特にトロポロンと呼び、この骨格を持った化合物をトロポロン類(トロポノイド)と呼んでいます。このようなトロポロン類はヒノキ科特有の成分だそうです。

彼の研究成果は、1950年にロンドンで開かれたトロポロン研究会で全世界の注目を集めました。彼はこのヒノキチオールの研究業績により、昭和28年に学士院賞を、昭和33年に文化勲章を、また昭和47年には勲一等瑞宝章を受章しています。

ヒノキチオールが世界の科学者、医学関係者の関心を集めたのは、まずこの物質が非常に優れた殺菌作用をもっていて、この抗菌力によっていろいろな方面に有効な薬理作用を示すからです。この殺菌作用に関する医学的研究、臨床実験の報告はたいへん多く、たとえば白癬菌に対しては20ppm、大腸菌に対しては10ppm。チフス菌に対しては12.5ppmという、いずれも低い濃度で阻止力を示し、熱帯性潰瘍に対してはペニシリン、リバノールその他種種の療法が無効におわった例においてもヒノキチオールはきわめて満足すべき結果を得たことも報告されているそうです。
最近では、ヒノキチオールは、多くの生理作用や抗菌作用があることが判り、利用されてきています。
防腐剤としての効果があり、平成元年には化学合成品以外の食品添加物として認可されま、食品への活用が増加すると予測されています。

また、毛髪に対して、殺菌、消炎、細胞活性などが認められており、ヒノキチオール入りの養毛剤が市販され、医薬部外品として利用されているそうです。

さらに、皮膚病の原因細菌及び糸状菌に対し、優れた抗菌性を示し、現在では化粧品中等に調合され、医薬部外品として市販されています。


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