12月


9日
ジョン ミルトン(Jonh Milton)

(1609〜1674)

失楽園(パラダイス ロスト)

シェークスピアと並び称されるイギリスの大詩人

裕福な公証人を父としてロンドンに生まれました。父の影響で敬虔な清教徒になり、ケンブリッジ大学在学中から古典研究と詩作にふけり高潔な思想と韻律に満ちた詩集により認められるようになりました。

当時イギリスでは、王党派が市民階級や清教徒を弾圧し内紛状態が続いていました。彼は1644年の清教徒革命でクロムウェルを支持し、外国語担当秘書官という共和国公職に就き、外交文書を作成する傍ら、共和制擁護者として論争の最前線に立ち、国王処刑の正しいことを弁護しました。

しかし、過労のため両目失明の悲劇に見舞われ、さらに、クロムウェルが急死、チャールズ二世が帰国して王政復古が成り、革命は無惨な失敗に終わってしまいました。王政復古後、王党派の報復を受け、一時身柄を拘束されてしまいますが、友人等の奔走もあり釈放されました。著書には焚書扱いになったものもあり、これ以来政治関係の冊子は公刊しなくなりました。

公職を退いた彼は、約5年の歳月をかけて、なんと口述でイギリス文学の最高傑作の一つとたたえられる叙事詩「失楽園」を書き上げたのです。そして、その後も「復楽園」「闘士サムソン」を全て口述筆記で完成させていきました。そして、神への信頼に基づく「忍耐」の重要性とそのもたらす栄光を書ききり、65歳で亡くなりました。
失楽園(Paradise Lost)
反逆の咎ゆえに麾下の堕天使の群と共に暗黒の淵に落とされたサタンは、自分たちの代わりに作られた、楽園に住むアダムとイブを「罪」へと誘惑する。サタンの神への復讐行為を通して、神と人間の深い関わり、神の与える試練、人間に対する救済の道、神の子による人間の罪の肩代わり。そうした神と人間の間に在るべき信頼の姿を描いた傑作。

復楽園(Paradise Regaind)
「失楽園」の続編ともいうべき話で、イエスがサタンのあらゆる誘惑にうちかち、アダムとイブによって失われた楽園の回復をもたらすという話ですが。商業的には成功しなかったといわれています。
ジョン・ミルトンは若き日にイタリアで幽閉中の盲目のガリレオに出会っています。当時ガリレオは地動説を唱えたことにより宗教裁判にかけられ、囚われの身でしたが、孫のような青年に望遠鏡で月面を眺めさせ、自らは見えない目であたかも見えるように説明したといわれています。
信教の自由を訴え、堕落した教会制度を弾劾した彼は、敵対者から「失明は天罰だ」とあざ笑われましたが、「失明という最大の逆境に厳然と耐え、乗り越えている自分は絶対に不幸ではない。惨めではない。私は勝利者である」との信念で乗り越えたのでした。


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