10月


18日
アンリ・ベルグソン(Henri Bergson)

(1859〜1941)

フランスの哲学者。

パリで生まれました。各地のリセで教えたのち、1900年コレージュ・ド・フランスの教授となりました。第一次世界大戦中は外交使節としてスペインとアメリカを訪問。1914年アカデミー・フランセーズに入会。国際連盟の知的協力委員会の議長もつとめ、1927年ノーベル文学賞を受賞しました。

本来の時間は空間化されたものではなく持続であるという直観から出発し、独特の進化論的な生の哲学を打立てました。真の実在は純粋持続であり、持続が弛緩(しかん)すれば生命が物質化するが、持続の緊張は生命の飛躍となり、創造的進化となり、直観によってのみとらえられる、としました。

彼の「物質と記憶」は、20世紀初頭に西欧で絶大な理論書としてもてはやされ、不合理主義の典型としてソレルの「暴力論」やキュビズム、未来派の美学に大きな影響力を与えました。プルーストにも影響を与え、20世紀前半のフランスの知的世界の中心人物となっています。

彼は、第二次世界大戦中の1941年1月4日、ドイツ軍占領下のパリで世を去りましたが、彼がユダヤ人の血をひいているという理由で、葬儀らしい葬儀もいとなまれませんでした。追悼の式典がおこなわれたのは戦後二年が経ってからのことです。

主著「意識の直接所与についての試論」「物質と記憶」「創造的進化」「道徳と宗教の二源泉」。
「人類は自分でなしとげた進歩の重荷のもとで、なかば圧しつぶされ、うめいている。人類は自分の未来が自分自身の双肩にかかっていることを十分に知っていない。人類は、何よりもまず、自分が生きつづけることを望んでいるのかどうかを問いたださなければならない―。」(道徳と宗教の二源泉)
意識を持つ存在者にとって存在するとは変化することであり、変化するとは成熟することであり、成熟するとは限りなく自分で自分を創造することである。
「彼の仕事は、物を直かに見て、直かに考へる道が、どんな處まで人間を連れて行くか、彼自身さへ解らずに始めた天才的な試みであった……」―小林秀雄


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