衛生動物(04b)節足動物門 昆虫綱 鱗翅目
(c)2011, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan. (田園科学室)
Ref. 050901 イラガ |
イラガ 【イラガ科Limacodidae】 |
Monema flavescens |
(鱗翅目Lepidoptera, 昆虫綱 Insecta、節足動物門Arthropoda) |
(c)2011, ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan (田園科学室) |
![]() 図1:イラガ(幼虫)。2005年9月1日、神戸市西区、柿の葉裏面。 |
イラガ、幼虫とその刺症 (1 September 2005. Revised on 27 January 2011. ABA. Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan ) |
背面に独特の褐色紋がある。毒棘は肉質突起の表面に生えている。軽く触れただけで棘が刺さり、毒液が入って、瞬時に激しい痛みを感じる。 |
Ref. 030927 ヒロヘリアオイラガ |
ヒロヘリアオイラガ 【イラガ科Limacodidae】 |
Parasa lepida |
(鱗翅目Lepidoptera, 昆虫綱 Insecta、節足動物門Arthropoda) |
(c)2011, ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan (田園科学室) |
![]() 図1:ヒロヘリアオイラガ(幼虫)。2003年9月 27日、神戸市西区、柿の葉裏面。 |
![]() 図2:ヒロヘリアオイラガ(幼虫)。 尾端の毒針毛群生部(黒色)。 |
ヒロヘリアオイラガ、幼虫とその刺症 (27 September 2003. Revised on 27 January 2011. ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan) |
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昔、本種を見た記憶は無い。近年猛烈に勢力を増してきた。書物によれば、やはり外来種、1980年に九州から勢力を拡大、既に関東にも進出しているという。 食樹の範囲が極めて広く、果樹や庭園樹の食害だけでも大変な被害。刺症は、郊外だけでなく都市部でも発生する。神戸付近で見ている限り、凡そ人が植えた木があるところならどこでも被害の可能性があると言ってよい。 しかも年2回、初夏(5、6月)、初秋(8、9)に発生。柿などの農薬を撒かない果樹、公園の植栽樹、庭木、街路樹の幹・枝・葉にいる。木のぼり、茂みの通り抜けは危険。 桜の並木道で、路面に糞が敷き詰めたように落ちている場所が少なからずあり、風か何かの刺激で幼虫が降って来たことがある。葉桜の下での昼寝は厳禁。 肉質突起に生える毒棘に刺されると、瞬時に激しい疼痛があり、発赤、丘疹、腫脹が生じる。半日〜1日後に痛みは掻痒感に変わり、清潔に保てば約3日で自然治癒。 なお、本種は毒棘のほかに尾部付近に毒針毛群生部を2対もつ(図2)。大量に刺されば症状が長引く可能性は考えられる。 |
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Ref. 110729a ヒメクロイラガ |
ヒメクロイラガ 【イラガ科Limacodidae】 |
Scopelodes contracta Walker, 1855 |
(鱗翅目Lepidoptera, 昆虫綱 Insecta、節足動物門Arthropoda) |
(c)2011, ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan (田園科学室) |
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図1:ヒメクロイラガ、幼虫。ヤエザクラ樹上。2011年7月29日、神戸市西区。 |
ヒメクロイラガ幼虫、刺症に注意 (29 Julyr 2011. ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan) |
毎年7月、庭の八重ザクラ(品種名不詳)の葉を食べ、樹下に糞を敷き詰めたように落とし、やがて行列を作って幹を下降、付近の物、時には傍の金属製物干しざおにも繭を作る。 もちろん刺されると痛い。 図1よりもっと黒い幼虫の図が一般的。 |
Ref. 080617 チャドクガ |
チャドクガ 【ドクガ科】 |
Euproctis pseudoconspersa |
(鱗翅目Lepidoptera, 昆虫綱 Insecta、節足動物門Arthropoda) |
(c)2011, ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan (田園科学室) |
![]() 図1:チャドクガ(幼虫)。2008年6月17日、神戸市 西区、サザンカ。 |
![]() 図2:ドクガ性皮膚炎(症例1a):チャドクガ、 2008年6月7日、神戸市西区、59y♀。 |
![]() 図3:ドクガ性皮膚炎(症例1b):チャドクガ、 2008年6月7日、神戸市西区、64y♂。 |
![]() 図3:チャドクガ毒針毛。長さ0.1o前後。 |
チャドクガ、毒針毛による皮膚炎(症例1a、症例1b) (17 June 2008. Revised on 2 February 2011. ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan ) |
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2008年6月7日、チャドクガによるドクガ性皮膚炎(図2、図3)。 被害者は、庭木のサザンカの剪定中の夫婦。枝葉に付着していたチャドクガ幼虫の脱皮殻毒針毛が肌露出部である頚部に降り注いだ。 蕁麻疹様の皮膚炎。幸い両人とも軽度。擦らず、直後に微温湯シャワーで流水洗浄、患部を清潔に保った結果、1週間以内に軽快。 幼虫(図1)の体表の肉眼で見える長い毛は無毒、無害。多数ある黒斑に顕微鏡的長さ(0.1o前後)の毒針毛が膨大な数生えている。 毒針毛は細長い矢尻状で、短い棘を備え、ヒトに付着した場合、擦れば擦るほど皮膚に深く刺さる構造になっている(図4)。また、中空になっていて、内部は毒液で満たされ、毒は脱皮等で脱落後も有効。 成虫尾部にも毒針毛が付着していて、灯火に飛来して暴れると飛散、被害にあう。追いまわさず、部屋を暗くして窓を開け、外へ逃げるのを待つこと。 成虫は、産卵時、尾部の毒針毛のまじった毛を卵塊に擦り付けて覆う。したがって、卵塊に触れれば皮膚炎がおこる。 幼虫に直接触れればもちろんのこと、食草や付近の植物に付着した脱皮殻等由来の脱落した毒針毛も上記症例のように皮膚炎の原因となる。また、毒は長く有効なので、幼虫のいない時期でも剪定や生け花の際に被害が発生することがある。 なお、幼虫はチャやサザンカなどツバキ科の植物を食草としている。幼虫期の終盤まで葉裏や幹・枝に集合しているのを見ることが多いが、蛹化が近くなると広く分散する。 |
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Ref. 100502 ドクガ |
ドクガ 【ドクガ科】 |
Euproctis subflava |
(鱗翅目Lepidoptera, 昆虫綱 Insecta、節足動物門Arthropoda) |
(c)2011, ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan (田園科学室) |
![]() 図1:ドクガ(幼虫)。2010年5月2日、神戸市西区。 |
ドクガ、毒針毛による皮膚炎に注意 (2 May 2008. Revised on 2 February 2011. ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan ) |
ドクガは、ドクガ性皮膚炎の原因となる。この蕁麻疹様の皮膚炎は、一般に治りが遅く、色素沈着が残ったりしてやっかいである。 皮膚炎は、次の3つの場合におこる。 (1)灯火に飛来した成虫が暴れ、尾部の毛の束にまじる毒針毛が撒き散らされ、皮膚露出部に付着、手や衣服で擦り込まれた場合。 (2)幼虫の黒斑部に生える毒針毛に皮膚が直接触れた場合。 (3)幼虫や幼虫の脱皮殻から脱落して食草や周囲の植物等に付着した毒針毛に触れた場合。 (4)成虫は産卵時に毒針毛のまじる尾部の毛の束を卵塊に擦り付けて覆うが、この毒針毛に触れた場合。 幼虫の肉眼で見える長い毛は無毒、無害。毒針毛の長さは0.1o前後で顕微鏡によらねばその存在がわからない。(毒針毛、皮膚炎(症状)についてはチャドクガの項参照。) 若令幼虫は、集団がバラ科植物(ノバラ、モミジイチゴ、ウメなど)上に見られるが、終令になると付近の植物へ分散する。 終令幼虫は、食草の範囲(種類)が大幅に増えるので、広く分散し、予想外の植物上にも見られるようになる。姿に気付かないまま幼虫や脱落した毒針毛に触れて皮膚炎がおこる機会が増える。 ウルシ負けでもない、毛虫でもない、原因がわからず「草負けだ」として片づけた幼時の記憶にあるしつこい皮膚炎にはドクガ性皮膚炎が含まれていた可能性が高い。 |