衛生動物(03b)節足動物門 甲殻綱
(c)2011, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan. (田園科学室)

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Ref. 080619 フナムシ
フナムシ                    【フナムシ科Ligiidae】
Ligia ezotica (Roux, 1928)
(等脚目Isopoda,, 甲殻綱 Crustacea, 節足動物Arthropoda)
(c)2011, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan. (田園科学室)

図1:フナムシ。
2008年6月19日、仮屋(淡路、兵庫県)。

フナムシ、まれに咬症
(19 June 2008. Revised on 6 February 2011. ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan. )

 フナムシは、どこかゴキブリにも似た姿をしているが、昆虫ではなく甲殻類。

 ありふれた海岸の生物。釣りをしていると、こぼれた撒餌を狙って集まってくる。そして、ときどき手や足へ登ってきたり、衣類の隙間から潜り込んできて、驚かされる。

 しかし、咬まれることは稀。海岸でキャンプをしていて、テントの中で咬まれたのが唯一の体験。一瞬痛いが、瞬時に払いのけたせいか、特に目だった症状はなかった。

 釣りをしていた若い女性の、衣服に潜り込んで、背中や腹の皮膚を駆け回って大騒ぎになったことがある。幸い、咬まれた痕跡は無かった。数時間心に動揺があったことが被害と言えば被害。 

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Ref. 080911 ヒメスナホリムシ
ヒメスナホリムシ                 【スナホリムシ科Cirolanidae】
Excirolana chiltoni
(等脚目Isopoda,, 甲殻綱 Crustacea, 節足動物Arthropoda)
(c)2011, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan. (田園科学室)

ヒメスナホリムシ、軽い咬症をおこす
(11 September 2008. Revised on 26 January, 2011. ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan. )

この項工事中

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Ref. 080911 サワガニ
サワガニ                    【サワガニ科Potamidae】
Geothelphusa dehaani (White, 1847)
(十脚目Decapoda,, 甲殻綱 Crustacea, 節足動物Arthropoda)
(c)2011, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan. (田園科学室)

図1:サワガニ。
2008年9月11日、神戸市西区、明石川支流。

サワガニ、宮崎肺吸虫などの第2中間宿主
(11 September 2008. Revised on 26 January 2011. ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan. )

 純粋に淡水に産するカニ。宮崎肺吸虫、ウェステルマン肺吸虫、特に前者の第2中間宿主として重要。

 丸ごと加熱調理される限りにおいてはヒトが寄生虫に感染する危険性は皆無。実際、唐揚げや飴煮として賞味される。

 しかし、砕いて調理するなら体内の吸虫の感染型幼虫(メタセルカリア)が、飛散、食器や食物に付着して口に運ばれ、感染する可能性がある。

 興味本位の生食は最も危険。豪華な料理の装飾用に生の本種少数が添えられ、それを生食して宮崎肺吸虫症になった例が知られている。
 

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Ref. 110622 アカテガニ
アカテガニ                 【イワガニ科Grapsidae】
Chiromantes haematocheir
(十脚目Decapoda,, 甲殻綱 Crustacea, 節足動物Arthropoda)
(c)2011, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan. (田園科学室)
図1:アカテガニ。2011年6月20日、、円山川(兵庫県)。

アカテガニ、大平肺吸虫の第2中間宿主
(22 June 2011. ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan. )

 本種、アカテガニは河口域の芦原付近、但し、水辺よりも、外周のやや乾いた場所に棲息。近接する山際・人家付近にも見られる。

 大平肺吸虫の第2中間宿主。大平肺吸虫は、野生動物の肺吸虫で、確実な人体寄生例は知られていない。しかし、全く安全と考える根拠もない。
*下記クロベンケイガニを参照

 幸い、知る限りでは、このカニを食用とする地域は無いが、調理しないほうが賢明。

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Ref. 030620 クロベンケイガニ
クロベンケイガニ               【イワガニ科Grapsidae】
Chiromantes dehaani
(十脚目Decapoda,, 甲殻綱 Crustacea, 節足動物Arthropoda)
(c)2011, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan. (田園科学室)

図1:クロベンケイガニ。
2003年6月20日、円山川河口(兵庫県)。

クロベンケイガニ、大平肺吸虫の第2中間宿主
(20 June 2003. Revised on 26 January 2011. ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan. )

 本種、クロベンケイガニは河口域の芦原付近に棲息、極く近接する淡水域にも見られる。河口の芦原では一面に本種が群れている。

 大平肺吸虫の第2中間宿主。大平肺吸虫は、野生動物の肺吸虫で、確実な人体寄生例は知られていない。しかし、全く安全と考える根拠もない。

 ヒトを好適な終宿主(固有宿主)としない宮崎肺吸虫の場合、サワガニからヒト体内に入ると定着せず徘徊を続け、結果として深刻な病害を与える。

 大平肺吸虫にもそのような可能性が無いとは断言できない。被害が知られて無いのは、幸いヒトがこのカニを食用にしてないから、とは考えられないか?

 吸虫の感染型幼虫(メタセルカリ)の寄生率は極めて高率なので、このカニを愛玩用に飼育したり、弄んだり、釣り餌にしたりするのは避けるのが賢明。

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Ref. 081112 モクズガニ
モクズガニ                  【イワガニ科Grapsidae】
Eriocheir japonicus (De Haan, 1835)
(十脚目Decapoda, 甲殻綱 Crustacea, 節足動物Arthropoda)
(c)2011, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan. (田園科学室)

図1:モクズガニ。
2008年11月12日、明石市、明石川河口。

モクズガニ、ウェステルマン肺吸虫の第2中間宿主
(11 September 2008. Revised on 26 January 2011. ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan. )

 季節により、海と川を行き来するカニ。海から遡上、淡水(川)で育つ。成熟したカニは秋に川を下降、海へ戻る。

 図1のように、甲幅が10pに達することもある。

 ウェステルマン肺吸虫の第2中間宿主として重要。体内に吸虫の感染型幼虫(メタセルカリア)が寄生している場合がある。

 漁期は川では秋、海では冬。一般に賞味されるのは川を下降する秋でこの時期が最も美味。篭やモンドリで漁獲、余り一般的ではないが市中にも出回り、その濃厚な味を好む人も多い。

 丸ごと加熱調理される限り、ヒトへの寄生虫感染の危険性は皆無。

 包丁で叩き切って味噌汁に放り込む四国その他の郷土料理は非常に美味であるが、飛散したメタセルカリアが、食器や食物に付着して口に運ばれ感染がおこるので、あまり薦められない。

 なお、茹でるときは海水程度に塩を加え、必ず水から煮始めること。足が全部外れることがある。
 

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Ref. 110724 タイワンガザミ
タイワンガザミ                  【ワタリガニ科Portunidae】
Portunus pelagicus
(十脚目Decapoda, 甲殻綱 Crustacea, 節足動物Arthropoda)
(c)2011, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan. (田園科学室)
図1:タイワンガザミ♀。2011年7月24日、佐野(淡路)。

タイワンガザミ、美味な食用種で無毒、但しハサミに注意
(24 July 2011. ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan. )

 2011年7月24日夜22:00ごろ、アナゴの夜釣りで偶然釣れた。餌はサンマの切身。

 同様の経験は多々あるが、毎回ガザミだと思って味噌汁に入れるなどして食べてきた。今回、鈎を外す際に、ハサミを振りかざして激しく抵抗、挟まれた。動作は敏捷。

 咄嗟に振りはらうと、あっさり地面に落下。痛みは強かったが傷にはならなかった。

 クロベンケイガニ等の挟み方とは大いに異なる。振りはらうと皮膚を挟んだままツメがもぎ取られて残り、長く強く挟み続ける「悪質さ」は無かった。

 甲羅前縁の棘状突起、爪の長い節前縁の棘の数(本種では3、ワタリガニでは4)、体の色や模様等、冷静に観察すると明らかにワタリガニとは異なる。

 タイワンガザミの雌と判明。文献によれば、食用種、美味、近年は減少傾向のガザミに代わって多く漁獲されている、とのこと。


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Ref. 120130 ヤシガニ
ヤシガニ                   【オカヤドカリ科Coenobitidae】
Birgus latro
(十脚目Decapoda, 甲殻綱 Crustacea, 節足動物Arthropoda)
Written on January 30, 2012. (c)2012, ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan. (田園科学室)
図1:(左)ヤシガニ(正面)、(右)同(背面)。竹富島(沖縄県)、2011年8月23日、撮影T.Sasai氏。

ヤシガニ、強力なハサミと食中毒に注意
(Written on January 30, 2012. (c)2012ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan. )

 T. Sasai氏に「ヤシガニの写真を撮って来て」とお願いしたところ快諾下さった(図1)。

 ヤシガニは、名前も姿もカニに見えるが、実はヤドカリの仲間。しかし貝殻は背負わない。

 院生時代、石垣島出身の先輩K. Nosato氏がいて、彼からヤシガニの話をしばしば聞いた。

 美味、しかしそのハサミに指を挟まれようものなら、千切れかねないほど強力。

 時に毒化した個体がいて、食中毒をおこす。塩茹にした時の色で判別できるという人もいるが、その判定法に根拠は無いから信用しないほうが良いなど。

 一度味わってみたいのもだと思いながら、もう45年が経ってしまった。このまま、食べずに人生を終えるかもしれない。そんな気分になったので、「せめて…」と件の氏に写真をお願いした次第。

 文献によれば、
 (1)毒化の程度には地域差があり、
 (2)ハスノハギリなどの植物を食べて毒化する、
 …という。

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