275aジャム/マーマレードの部(レシピ)
(c)2003-2011, ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan. (田園科学室)
農と食の学習 >田園科学室の料理レシピ(目次) >ジャム・マーマレード
甘夏の皮のアクと苦みの除き方 ('06年03月05日) |
(c)2006, ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan(田園科学室) |
【T】始める前に(注意) | |
甘夏の収穫期は、春(3-4月)です。既に秋には黄色い実がなっていますが、そのまま冬を越してから収穫します。庭に植えた背丈ほどの小さな木からでも、毎年30−50個が収穫できますから、生食だけでは食べ切れません。 | |
そこで、ここに書くような加工の基本を覚えておくと、甘夏を余すところ無く利用できます。 | |
ただし、買ってきた甘夏の場合は、無農薬であることが確かな場合を除いて生食以外の利用はしないほうが良いと思います。 | |
なぜなら、上記のような加工方法は、茹でこぼしや水洗を多用していますが、一方で乾燥や煮詰めといった水分減少・濃縮の過程を伴っているからです。 | |
恐れ過ぎなのかもしれませんが、農薬等が濃縮されないとも限りませんから。 | |
アクや苦味についても同様で、途中の味見で風味が抜けすぎたかな?と感じるぐらいに抜いておかないと、やはり後の水分減少・濃縮の過程でいやな味が濃くなってしまいます。 | |
本当に風味が抜けすぎた場合は、果汁を追加したりして補いができますが、アクや苦味が強く残り過ぎた場合は、廃棄せねばならないこともあり得ますので、十分注意して下さい。 | |
なお最初に皮を剥いて果肉を出してしまうと、その後延々と続く皮のアクと苦味抜きの作業中に変質してしまう可能性が大です。 | |
最初に丸ごと茹でれば、(1)アクや苦味を減少させ、(2)柔らかくして後のアク・苦味抜きの作業時間を短縮し、(3)その間の中身の変質を手間をかけずに防ぐことができます。 | |
したがって、丸茹ではとても重要なステップなので、省略しないほうが良いと思います。 | |
【U】方法(手順) | |
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図1:まるごと茹でる。約20分で火をとめ、1昼夜放置。 |
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図2:中身を絞る。横半分に切り、レモン絞りを用いる。粗目のザルで種を除く。 |
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図3:細切りにして茹でる。沸騰後3分で火をとめ、すぐに湯を捨て、水洗2回。 |
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図4:水を切ってさらに図3の茹でこぼし・水洗を計3回かそれ以上、苦味がやや抜けすぎたかと思うまで繰り返す。 |
【V】後の利用法 | |
先の中身(果肉・果汁)と合わせてマーマレード、また皮だけを砂糖漬けに加工すれば保存ができる。 | |
保存中のマーマレードや砂糖漬けを、そのまま食卓に出すほか、パン作りや朝鮮飴作り、干菓子作り等々に利用すれば楽しみがさらにひろがる。 |
砂糖漬(甘夏の皮の砂糖漬) ('06年03月06日) |
(c)2006, ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan(田園科学室) |
【T】作り方(手順) | |
*必ず、この頁の別項にある甘夏の皮のアクと苦味の除き方を参照して下さい。 | |
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図1:別項の方法でアクと苦味を抜いた細切りの甘夏の皮を10%以上20%未満の砂糖でごく弱火で30分煮て、1晩放置して甘みを煮含める。翌朝に再度弱火で10分沸騰させて次の作業へ。 |
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図2:ザルで汁を切り、熱いうちに耐熱紙を敷いた容器か網にのせ、乾燥機か天日で乾燥させる。雨、風、埃、虫、鳥などに注意。内皮が白く不透明なら干し過ぎだが透明感のある限り長く干す。 |
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図3:乾燥が適度のところまできたら、砂糖をまぶし、前と同じように再度乾燥させる。好みの硬さになったら密閉容器に蓄える。これを細かく刻んで、パン生地に練りこむと上品な香りと甘みがつけられる。 |
【U】注意 | |
煮含めとは、調味料を加えて煮たものを、火をとめてそのまま放置して冷まし、その間に食材に調味料を浸透させようとする調理手法です。 | |
砂糖10%以上20%未満とあいまいな表現に戸惑われるかもしれませんが、味をみながら砂糖を加え、先ずオレンジジュースよりは甘くし、次いでみかん缶詰のシロップ程度の甘さまで砂糖を加えて下さい。 | |
もちろんそれより甘くしても構いませんが、加えすぎるとジャムのようにベトベトして乾かなくなります。また、少なすぎると、すぐにカラカラに乾いて不透明になってしまいます。 | |
最終的にややしっとりしているほうが良い・・・このことを念頭に置いて作業を進めて下さい。そのまま食べても美味しいですが、パン生地に練り込むなどして利用すると、実に上品な風味が楽しめます。 | |
保存は、1週間程度なら室温(冷涼時)か冷蔵庫で大丈夫ですが、長期保存ならすぐにポリ袋か瓶に入れ、密閉して冷凍庫へ入れます。 |
マーマレード(甘夏のマーマレード) ('06年03月06日) |
(c)2006, ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan(田園科学室) |
【T】作る前に(注意) | |
(1)以下の記述は無農薬の甘夏を前提にしています。無農薬の確証がない場合は作らないようにして下さい。 |
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(2)甘夏のアクと苦味を除いておかないと、食べられたものではありません…というより体を壊すでしょう。 |
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(3)アクと苦味の除き方は下記のほか、この頁の別項も参照して下さい。 |
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(4)皮の割合が多すぎると、ボサボサしたものになり、マーマレードとは全く印象が異なるものになります。 |
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(5)用いた個数の半分かそれ以下の皮だけをマーマレードにし、残りの皮はこの頁の別項の甘夏の砂糖漬けにして冷凍保存することをお勧めします。 |
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(6)後日リンゴジャムを煮ながら砂糖漬けを加えれば市販品に近い感触のマーマレードになります。 |
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【U】作り方(手順) | |
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図1:丸ごと20分茹でて1晩放置。横に2分割。レモン絞り器で果肉と果汁を絞る。種は粗目のザルで濾して除く。じょうのう(袋)は捨てる。 |
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図2:皮は細切し、水洗して鍋に入れ、弱火で煮る。 |
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図3:沸騰後3分で火を止め、湯を捨てて水を満たし、水を2-3回交換。これを3-4度、皮の風味がやや物足りなくなるまで繰り返す。 |
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図4:アクと苦味を除いた皮へ種を除いた果汁と果肉を加え、それらの合計重量の50%までの砂糖を徐々に加えながら煮る。 |
・火はごく弱火。焦げないように攪拌することは必要だが、皮の形を崩さないように注意し、最小限にとどめる。 |
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・皮の割に果肉・果汁が少ない果物なので、全部の皮を煮るとボサボサのマーマレードになる。皮は個数の半分を使ぐらくらいにとどめるほうがよい。 |
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・市販品のようにペクチン豊富などろりとした感じのほうがよければ、刻んだリンゴを甘夏の皮と同量加えてから煮る。 |
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・とにかく細火で延々と煮て、終盤になれば残りの砂糖(先の砂糖をと合計すると材料の重さと同じ)を加え、必要なら好みの量のレモン果汁を絞り入れて適当な粘度になるまで煮る。 |
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・冷えると粘度は増し、甘味は弱くなることを念頭におくこと。 |
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図5:保存は、従来はほぼ例外なく瓶詰め。しかし、冷凍庫へ入れるならポリ袋の小袋に分けて入れ、それをいくつかずつ束ねて大き目の袋に入れ、冷凍庫へ。 |
・但し、ポリ袋は臭いが移るのを防げないのでその点は注意が要る。 |
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・そのまま食卓へ出して、パンに付けるのもよいが、パン作りや、干菓子作りや、朝鮮飴作りなどに利用するとさらに楽しみがひろがる。 |
ウメ(小梅)のジャム ('14年06月07日) |
(c)2014, ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan(田園科学室) |
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図1:水洗後、十文字に切れ目を。 | 図2:湯剥で皮を除去。 | 図3:用量の1/4砂糖を加え5分煮る。 |
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図4:パンチボウルでうらごし。 | 図5:果肉を濾しとり、種を捨てる。 | 図5:ジャムに仕上げ、瓶詰め脱気。 |
ウメを梅と小梅に大別することがある。小梅と呼ばれる一群の品種は、品種によって多少の差があるが概して小さな実をつける。 梅は一般に同じ木や同じ品種の花粉では受粉できない自家不結実性の品種が多いため、通常異品種を混植する。その際、受粉樹として小梅が選ばれることが多く、田園科学室でも植えている。 その小梅、多くの場合は同じ木や同じ品種でも受粉できる自家結実性のものが多いため、放っておいても毎年そこそこの収穫があり、重宝する。 小梅の梅干しや梅漬けはお弁当用に至極便利。そこで、ほぼ毎年、梅漬けを作るが、今年は稀に見る大豊作。そこで、梅漬けに加えて梅ジャムも作った。 ジャムを作る基本の3要素は素材中の(1)ペクチン、 (2)酸、 (3)糖で、どれかが足りなければゲル化しないので、補う。 特に(3)の糖を補うことはほぼ全ての場合に必要で、保存性を高める意味もあって、素材の半量〜等量という大量の砂糖を加える。 梅や小梅の場合、(1)ペクチンと(2)酸は十分過ぎるほどある。足りないのは(3)糖だけなので、最もジャムが作り易い素材の一つ。 このジャムには爽やかな酸味とフルーティーな香りがある。どちらも類い稀な…と言って良い。パンやトーストに付けて食べるのも良いが、何よりサラダドレッシングの隠し味として秀逸。また、水に溶いて氷を加えて飲むのも一興。 以下はジャム作りの手順と注意点。 (材料) (1)材料: ・梅(小梅)………今回は3s *熟す直前〜熟したもの ・砂糖……………900g (下処理) (2)梅は、流水で洗う。 *粒を手で拾い上げて、繰り返し容器を換えながら洗う。 (3)熟した梅は、木からとったりものも樹下へ落下したものにもへた(蔕)が無いが、 もし残っているなら、竹串の先等で取り除く。 *ゴミとへた(蔕)は、透明度の高いジャムの見栄えを著しく損なう。 (湯剥き) (4)梅に、縦十文字に種表面に達する深い切れ目を付ける(図1)。 *鋭利なペティナイフを使用。 *セラミック製が最良、無ければステンレス製。 *種を割らないこと。 (5)数粒〜10粒ずつ、ほんの一瞬沸騰中の湯をくぐらせ、湯剥きする(図2)。 *トマトの湯剥きと同じ要領。 (種抜き) (6)湯むきした梅をホーロー製の鍋に入れる。 (7)用量の約1/4の砂糖を加え、強火後中火で約3分煮る(図3)。 *焦がさないようにヘラで撹拌。 (8)大きなボウルを受け容器にして、上にパンチングのザルを置く。 (9)梅を掬いあげ、ザルに移す(図4)。 (10)ヘラで裏ごしの要領で、梅をザルになすり付け、果肉を受け容器に濾し取る。 (11)煮汁を玉杓子で振りかけては、梅になすり付けを繰り返す(図5)。 *ザルに残った種だけを捨て、濾し取った果肉と残った煮汁を鍋に戻す。 (煮つめ) (12)ヘラで撹拌しながら強火(後時々弱火)で煮る。 (13)約10分煮れば十分、但し絶対に焦がさないこと。 (仕上げ) (14)残りの砂糖を加える。 *ここから焦げやすくなるので注意! (15)強火(後時々弱火)で激しく撹拌しながら約15分煮る。 (16)粘度が増したか否かわからないほど僅かの粘度増しで十分。 *粘度増しが顕著なら煮つめ過ぎ。 (瓶詰め) (17ジャムの鍋の火をとめ、10分ほど置く。 *3〜5分撹拌は続ける。 *荒熱がとれるのを待つが、80℃を下回らない程度まで。 (18)待つ間に、瓶と蓋を煮沸消毒。 (19)木製のまな板にキッチンペーパーを載せ、引き上げた湯を切った瓶を置く。 *冷たい金属等に置くと瓶が割れる。 (20)瓶が熱いうちに、容量の90%程度のジャムを注ぐ。 *瓶とジャムの温度差が大きいと瓶が割れる。 (脱気) (21)緩く蓋をして、湯煎する。 *強く蓋をすると爆発して大事故になる。 *鍋に瓶とジャムの温度と同じ温度のお湯を準備してから加熱。。 (22)湯煎を続ける(20分〜40分)。 (23)蓋が熱くなってきたら湯煎を終了。 (24)瓶を木製のまな板上に戻し、蓋を強く締めつける。 (25)瓶を上下逆さまにして、静置(図6)。 (26)40℃(ぬるい風呂ぐらい)になったら、瓶を元の上下に戻す。 *室温まで冷めてしまうとゲル化したジャムが底に戻らなくなる。 |
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スモモ(プラム)のジャム ('14年07月08日) |
(c)2014, ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan(田園科学室) |
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図1:すもも(プラム)。熟〜熟間近。 | 図2:洗浄後、種を抜く。 | 図3:果肉(皮付)を集め、重量測定。 |
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図4:砂糖半量加え、果汁滲出後煮る。 | 図5:脱気のための湯煎。 | 図5:密栓後、当地して放熱。 |
スモモ(プラム)が大好き。子供のころ、熟するのを待ち切れず、未だ硬く酸っぱい実でも、ぽっと色がさしさえすれば、もう齧(かじ)っていた。香りが良い、糖と酸のバランスが何ともいえない。 完熟した実は、もちろんその日のうちに生食するのが一番。スモモは端から小さく齧(かじ)ってはダメ。丸ごと口に入れて、口の中で一気に潰(つぶ)す。これ以外の食べ方は考えられない。 やや硬いものは、僅か1、2日(室温で)追熟するだけで良い。その食べ方ができるようになる。 ただ、田園科学室の場合、完全に無農薬。実から吸汁する昆虫、ついばむ鳥、等々で傷まみれの実が数多くできる。 これらの実の被害個所をナイフで抉(えぐ)って捨て、残った部分でジャムを作る。こうすれば、色良し、香り良し、味良し、ヨーグルトに混ぜればさらに良しというジャムができる。 以下はジャム作りの手順と注意点。 (材料) (1)材料: ・スモモ(プラム)………今回は650g *熟す直前〜熟したもの(図1) ・砂糖……………350g (下処理) (2)スモモは、流水で洗い、。 *粒を手で拾い上げて、繰り返し容器を換えながら洗う。 (3果柄(元は花柄)を取り除く)。 (種抜き) (4)鋭利なナイフで、傷や昆虫の吸汁跡など不都合な部分を抉(えぐ)って捨てる。 (5)種を傷つけないようナイフで果肉を削ぎ取り(図2)、これをジャムの材料にする(図3)。 *ここで重量を測定、砂糖の使用量を計算する。 *砂糖は素材の50〜100%、ここでは約60%を使用。 (皮除去) (7)用量の約1/3〜1/2の砂糖を加え(図4)、果汁の滲出を待って加熱を開始。 *ホーロー鍋、耐熱ガラス鍋。 *焦がさないようにヘラで撹拌。 (8)沸騰5分後、大きなボウルを受け容器にして、上にパンチングのザルを置く。 (9)鍋の中身を掬いあげ、ザルに移す。 (10)ヘラで裏ごしの要領で、プラムをザルになすり付け、果肉を受け容器に濾し取る。 *ザルに残った皮を捨て、濾し取った果肉を鍋に戻す。 (煮つめ) (11)ヘラで撹拌しながら、強火(後時々弱火)で煮る。 (12)約10分煮れば十分、但し絶対に焦がさないこと。 *たえず撹拌。 (仕上げ) (13)残りの砂糖を加える。 *ここから焦げやすくなるので注意! (14)強火(後時々弱火)で激しく撹拌しながら約15分煮る。 (15)やや粘度が増した程度で十分。 *粘度増しが顕著なら煮つめ過ぎ。 (瓶詰め) (16)ジャムの鍋の火をとめ、10分ほど置く。 *3〜5分撹拌は続ける。 *荒熱がとれるのを待つが、80℃を下回らない程度まで。 (17)待つ間に、瓶、蓋、玉杓子等器具を煮沸消毒。 (18)木製のまな板にキッチンペーパーを載せ、引き上げた湯を切った瓶を置く。 *冷たい金属等に置くと瓶が割れる。 (19)瓶が熱いうちに、容量の90%程度のジャムを注ぐ。 *瓶とジャムの温度差が大きいと瓶が割れる。 (脱気) (20)緩く蓋をして、湯煎する(図5)。 *強く蓋をすると爆発して大事故になる。 *鍋に瓶とジャムの温度と同じ温度のお湯を準備してから加熱。。 (21)湯煎を続ける(通常20分〜量が多ければ40分)。 (22)蓋が熱くなったら湯煎を終了。 (23)瓶を木製のまな板上に戻し、蓋を強く締めつける。 (24)瓶を上下逆さまにして、静置(図6)。 (25)40℃(ぬるい風呂ぐらい)になったら、瓶を元の上下に戻す。 *室温まで冷めてしまうとゲル化したジャムが底に戻らなくなる。 |
トマトのピューレ ('14年08月12日) |
(c)2014, ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan(田園科学室) |
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図1:湯剥きし、不要部分を除去。 | 図2:刻んで、煮て、アクをとる。。 | 図3:5〜10分煮たら、裏濾し。 |
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図4:撹拌、煮つめは当初の1/4まで。 | 図5:脱気、煮沸は入念に。 | 図6:固く密封、倒置して放熱。 |
トマトが使いきれないほどある時は、煮つめてピューレにして保存するのも一法。パスタのミートソ−ス、ピザのソース、ブイヤベースの素材…等々に便利に使える。 ピューレには、単純に煮つめたもの、塩やローリエ(月桂樹の葉)を加えて煮つめたものなどなどが各所に紹介されているが、ここでは塩一つまみを加えて、約1/4まで煮つめた。 なお、ピューレは、ジャムと異なり、微生物の増殖を防ぐ高濃度の糖を付加されてない。したがって、保存瓶の消毒、脱気、密封を一層慎重に行い、冷凍保存するほうが無難。 作り方と注意点は以下のとおり。 (材料) (1)完熟トマトを使用する。 (2)使い残したもの、変形したもの、傷ついたものも使える。 (3)多少とも未熟な場合は、室温に置き、熟度が進んだら順次冷蔵庫へ溜める。 (4)仕上がり量は、煮始め時重量の1/4かそれ以下になるので、 あまり少量で作るのは効率が悪い。 (5)後の調理への使用を考えると、最低でも1.5sは必要。 (下処理、図1)) (6)湯むき: ・実の頂上に、鋭利な包丁で、十文字に浅い切れ目をつける。 ・1または数個ずつ、沸騰水に投入、切れ目の皮がめくれあがったら 引き上げて冷水へ投入、皮を剥く。 (7)不要部の除去: ・蔕(へた)をとる。 ・蔕付近の青く硬い部分、と白い芯を大胆に抉(えぐ)りとる。 ・虫の刺し跡、病変部、溝状の割れ、など不都合な部分を抉りとる。 (8)この段階で重量を測定、仕上がり時の量(1/4量)を計算しておく。 (刻み) (9)適宜刻んで(図2)、鍋に入れる。 *ホーロー鍋か耐熱ガラス鍋など、酸に強い鍋を使用。 (下煮と裏濾し) (10)5〜10分煮て、アクをとる。 (11)火を止め、火傷しない程度にまで冷ます。 (12)裏濾しして種や残りの芯を除く(図3)。 (煮つめ) (13)濾し汁に塩1つまみをを加える。 (14)中火か弱火で、焦がさないよう撹拌しながら煮つめる(図4)。 (15)下煮時の1/4か、それ以下まで煮つめる。 (瓶詰め、脱気) (16)瓶、蓋、玉杓子等の器具を煮沸消毒する。 (17)トマトと瓶ともに80℃程度のときに瓶詰め。 (18)蓋を載せ、膨張した空気が抜けるように極緩くしめる。 (19)湯煎(煮沸)する(図5)。 (20)約20分経って蓋が熱くなれば湯煎終了。 (21)引き上げて即蓋を強く締める。 (22)倒置して、室温で自然冷却(図6)。 |
ビワのジャム ('11年07月04日) |
(c)2011, ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan(田園科学室) |
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図1:ビワ、実生の木に生った小さな実。 | 図2:砂糖、レモン汁は数回に分けて加える。 |
1、材料 | |
注意:ジャムは、3要素が揃わないとできない。すなわち、果肉に含まれる@ペクチンとA酸、煮る時に加えるB砂糖。ペクチンが足りない場合はリンゴを加えるなどして補う。酸が足りない場合はレモン果汁を加えるなどして補う。砂糖の量はゲル化には55%の糖度が必要、また糖度65%以下では防腐効果が無い。なお、熱い状態での味見は甘みを強く感じるので判断を誤らないこと。 注意:低糖度ジャムは、単に砂糖の量を減らしているのではない。製造方法が全く異なる。 |
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(a)ビワ・・・・外皮・内皮・種の除去後1kg*ここでは実生(実から自然に生えた木)の小さな実。 (b)レモン果汁…適量*市販液ポッカレモン、変色防止の酢水を作るために使用 (c)砂糖・・・・適量(700〜1000g) (d)レモン果汁・・・1〜2個分*レモンをレモン搾りで搾って種を除く 2、作り方 (1)ビワは新鮮なものを使用。実の柄(木部)を外したら直ちジャム作りを開始。市販の実を使う場合は柄の付いていた部分を僅かに切って除く。 (2)流水、または十分な水量の水でビワを2〜3回洗う。花の残部の黒いもの等が浮いて流れる。 (3)市販レモン果樹(ポッカレモン等)を数振りして酢水を作る。変色を防ぐために不可欠。 (4)そこへ皮を剥いたビワをすぐに投げ込む。この時、花のあった部分(ヘソ状の黒い部分)はそのまま残しておくと後の作業が容易になる。 (5)別の容器に市販レモン液の酢水を作る。もちろん変色を防ぐために使う。 (6)指先(爪)を押し込む感じでビワの果肉だけを割る。種を包む内皮を傷つけないよう注意し、種を内皮に包まれたまま取り出すのがコツ。刃物を使って割ると内皮の除去が大変な作業になる。 (7)果肉を直ちに上記の酢水に投げ込む。 (8)作業は短時間で、かつ衛生的に終わらせるよう、最大限努力する。 (9)果肉をザルに引き上げ、重量を測定し、直ちに鍋で煮始める。砂糖と搾ったレモン果汁を加え始めるが、下記の要領を厳守。 (10)砂糖は、煮始めは5〜10%程度とし、以後びわと等量を上限にして、煮つめ具合を見ながら少なくとも4回に分けて加える。最初に全量を加えると、焦げたり甘過ぎたり、失敗の原因になる。 (11)レモンはレモン搾りで搾って種を除き、最低でもビワ1kg当たり2個程度は要る。しかし1度に全量を加えない。砂糖を加える度に1/2個分を加え、酸っぱすぎないよう注意。 |
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ユズのジャム(マーマレード) ('14年02月19日) |
(c)2014, ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan(田園科学室) |
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図1:皮にある不都合な部分(ヘタ、 病変部、着色部等)をナイフで 抉って取り除き、流水で水洗。 |
図2:皮を剥き、極力薄く刻む。多量の 水で煮て、ザルに上げて流水で水洗。 これを2回繰り返して苦味を抜く。大 きな容器に冷水を張って1時間浸し、 水を切る。 |
図3:実(中身)を2つに切り、種を含 んだまま晒の袋に入れ、同量の水 で30分以上煮る。袋を絞り、滓を捨て 煮汁の鍋に苦味を抜いた皮を入れ、 ヒタヒタ以下まで水を加えて煮る。レ モン汁を加え、徐々に砂糖を加え、 弱火で15%程度煮つめる。 |
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図4:瓶・蓋を5分煮沸消毒、取り出し て、できたジャムを入れ、緩く蓋をか けて湯煎する。ジャムが熱くなるまで 十分に行う。 |
図5:瓶を湯から上げ、蓋を固くねじ 込んで倒立させて、冷めるのを待つ。 |
図6:冷えたらラベルを貼って完成。 ポリ袋に密封して冷凍庫保存し、 必要となるごとに1瓶ずつ自然解凍 して使う。 |
徳島産のユズをたくさんいただいたので、その皮を主材料にしてジャム(マーマレード)を作った。 トーストに付ける、パンや菓子作りに使う、料理に使う、湯に溶いてユズ茶……とても重宝するが、心配なのは農薬の残量物。素姓のわかったユズを使いたい。苦味抜きの過程が残留物除去に役立つので、通常より念入りにした。 輸入柑橘は厳禁、ポストハーベスト(収穫後散布)農薬が使用されていることがある。 ジャムを作る、即ち煮てゲル化するために必要な要素は(1)ペクチン、(2)酸、および (3)糖、の3つ。しかし、材料によって、どれかの要素が不足している場合は少なくない。 ジャムを作る目的の1つは高い保存性を与えることなので、砂糖をゲル化に必要な量(濃度55%)を超えて過剰に加え、微生物の繁殖を妨げる濃度(濃度67.5%)以上にする必要がある。このため、上記(3)の糖はジャム作りにおいては必ず加えなければならない。 リンゴやイチゴは品種にもよるが、(1)のペクチンや(2)の酸の不足が無く、補充しなくても、(3)の糖、即ち砂糖を加えて丁寧に煮れば、簡単にジャムができる。 柑橘も、概して比較的簡単にジャムができる材料と言えるが、どの種類・品種であるかによって難易の差がある。 ユズ(柚、柚子)は、ジャム作りが簡単な材料の1つ。(2)酸は少ないのでレモン汁等で補充する必要があるが、ペクチンは全く補充の必要がない。使用する砂糖の量は、材料と同量程度だが、材料の重量をどの段階で測定するかは、下記手順の中で述べる。 手順は以下のとおり。 (1)皮にある不都合な部分(ヘタ、病変部、着色部等)をナイフで抉(えぐ)ったり削いだりして取り除き(図1)、流水で水洗。 (2)皮を剥き、極力薄く刻む(図2)。 (3)刻んだ皮を多量の水で煮て、ザルに上げて流水水洗(図無し)。これを2回繰り返して苦味を抜く。味見して、ほぼ苦味が消え「水っぽく感じるぐらで」丁度良い。大きな容器に冷水を張り、ここに1時間ほど入れておき、ザルで水きりしてから次(6)へ。 (4)実(中身)は地球儀の赤道に包丁を入れる感じで切る。これを種を含んだまま、晒(さらし)で包み、ひたひたの水を入れ弱火で撹拌しながら煮て約30分ペクチンを煮出す(図無し)。 (5)晒を絞って、汁を鍋に残し滓(かす)は捨てる。 (6)汁の入った鍋に苦味を抜いた皮を入れ、水をひたひたより下の水位まで入れる。この時に重量を測定して、これを材料の重量と見なす。 (7)弱火で焦がさないよう適宜撹拌しながら煮る(図3)。20分ほど煮てからレモン汁(図1の分量で3個)と砂糖を加え始める。砂糖は最終的には材料の重量とほぼ等しくなるまで加えるが、半量程度かそれ以下で長く煮ると焦がす失敗が減る。 (8)撹拌しながら、1時間ほど煮たら、蓋をして火をとめ、そのまま翌日まで置く。 (9)翌日、冷めた状態で重量を測定。これから砂糖量を引けば、どこまで煮つめたかがわかる。どの程度の粘度になっているかも確認し、その後に煮つめる時間と加える砂糖の量の見当をつける。 (10)ゲル化がうまく進んだら、ジャムを、瓶詰めする。 (11)ビン詰めの手順は:− ・瓶の消毒…瓶と蓋を洗い5分間煮沸、引き上げて水分を切る。 ・瓶詰め……瓶もジャムも暖かいうち(60〜80℃)にジャムを詰める。 (以下の過程を「脱気」という) ・蓋載せ……軽く蓋を閉め(密閉しない、すれば破裂する)。 ・湯煎………弱火の後中火で中身のジャムが100℃になるまで(図4)。 ・蓋閉め……清潔な布巾を当て、蓋を強く固く閉める。 ・冷却………瓶を逆さまに置いて自然に冷ます(図5)。 (12)品名・日付を書いたラベルを張る(図6)。冷蔵庫保存が無難。 (13)長く保存する場合は冷凍庫へ入れ、使用前に自然解凍する。 なお、瓶はなるべく小さいものを薦める。大きくても容量300mlまでにして次々に使いきらないと開封後に雑菌が混入する機会が増える。 |
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