料理実例(詳細08)
(c)2008-12, ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan. (田園科学室)
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'081210a アイゴ、一夜干し |
アイゴ、一夜干し('08年12月10日) |
(c)2008, revised on Jan.14, 2012.ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan |
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図1:アイゴ、37cm(2012年1月) | ||
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図2:アイゴ、33p(2008年1月)。 内蔵を傷つけないよう3枚におろす。 |
図3:毒棘(背鰭)。毒棘は尻鰭、胸鰭 にもある。料理鋏で切り落として調理。 |
図4:完成した一夜干しは、ラップを 密着させ、ポリ袋に入れ冷凍保存。 |
アイゴの旬は晩秋〜冬。やや香りに癖があるが、一度美味しさを知ると以後は欲しくてたまらなくなる。 アイゴの一夜干しは最上級の酒肴。寒い季節なら小型でも美味。30cmに届かないものも持ち帰る値打ちはある。(注:沖縄ではアイゴ類「幼魚」による中毒の事例がある。) 一夜干しにするのは簡単。3枚に下(おろ)した身を、軽く塩をして、一晩干すだけだが、以下に注意する。 (1)釣った魚は、すぐナイフで絞め(シメ)る。 (2)鮮度保持と血抜きのため、クーラーボックスの氷に若干の海水を加え、 そこに浸けて持ち帰る。 (3)背鰭、尻鰭、胸鰭の棘には毒がある。必ず料理鋏で切り取った後で調理する。 毒は、食べても無害。死後の魚でも毒は有効で、刺されると長時間激痛に苦しむ。 (4)調理時、内蔵を傷つけないこと。嫌な臭いが付くことがある。 一夜干しの手順と注意点は、以下のとおり。 (1)真水(水道水)で洗う。 (2)鱗をとる必要はない。 (3)3枚に下(お)ろす。 (4)腹の骨を包丁で削ぎ取る。必要と思うなら、中骨を毛抜きで抜く。 (5)海水(約3.5%)より十分に濃い塩水(7%以上)を作り、 これに浸ける。 (6)塩水に浸ける時間は、身の大きさや塩水の濃さによって異なるが、 通常1分前後、長くても数分。塩は、表面にまんべんなく行渡れば十分。 深く浸透すると塩辛くなり過ぎる。 (6)塩は粗塩のほうが美味しい。岩塩も良いが高価。 (7)振り塩をして干しても良いが、干している間に塩がどんどん浸透して 辛くなり過ぎることもあるので、振り過ぎに注意が要る。 (8)引き上げて、キッチンペーパー圧して水気を吸い取る。 (9)猫や虫による被害を避けるため、必ず網籠(市販の「魚干し網」)に入れて干す。 ネコが網カゴに飛び乗って、ズタズタに裂かれた経験が、2度もあるので、 吊るす場所や高さの選択は慎重に。 (10)干す時間は、1晩。翌朝、日が高くなる前に取り込む。 (11)保存は冷凍庫(-18〜-30℃)で。 表裏両面にラップを密着させて空気と遮断、ポリ袋に密封する。 (12)保存は、1〜3ヶ月まで。 (13)焼いて食べるが、焼く前に皮に切れ目を入れて、反り返りを防ぐこと。 |
'140214a アイゴ、刺身 |
アイゴ、刺身('14年02月14日) |
(c)2014, Jan.14, 2014.ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japa |
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図1:3枚におろす。毒棘に注意。 鱗をとる必要はない。 |
図2:中骨のある血合を切り取る。 腹の骨や膜を削ぎ取る。 |
図3:刺身にする。 |
新鮮なアイゴ、特に冬のアイゴは、一夜干しと並んで刺身が美味しい。 どの魚でも言えることだが、刺身で食べるためには、釣った後にナイフで絞め、血抜きをして十分に冷たいクーラーに入れて持ち帰ることが何よりも大事。 アイゴの場合、帰ったらすぐに捌(さば)いていやな臭いの発生を未然に防ぐこと、捌く際にトゲに刺されて刺毒被害を避けること、この2点にさえ気をつければ、身に適度の弾力があるので極めて料理がしやすい。 刺身にする手順は、以下のとおり。 (1)真水(水道水)で洗う。 (2)鱗をとる必要はない。 (3)3枚に下(お)ろす(図1)。 (4)腹の骨を包丁で削ぎ取る。 (5)中骨のある血合を切り取る(図2)。 (6)腹の骨を削ぎ取る。 (7)腹の膜部を指や毛抜き等で丁寧に剥がす。 (8)刺身包丁で適宜切り分け、刺身にする。 |
'140131a アイゴ、レモン風味焼き |
アイゴ、レモン風味焼き('14年01月31日) |
(c)2014, Jan.14, 2014.ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan |
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図1:30pアイゴ。3枚におろす。 | 図2:骨をとり除き、皮を剥ぐ。 | 図3:刺身にする。 |
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図4:白ワインにレモンとともに漬ける。 | 図5:オリーブオイルで焼く。 | 図6:好みで、バルサミコス等を。 |
アイゴの旬は晩秋〜冬。やや香りに癖があるが、一度美味しさを知ると以後は欲しくてたまらなくなる。 アイゴの定番料理は一夜干しだが、新鮮なら刺身も美味しい。寒い季節なら小型でも美味なので30cmに届かないものも持ち帰る値打ちはある。(注:沖縄ではアイゴ類「幼魚」による中毒の事例がある。) ここではアイゴのやや癖のある風味が苦手な人のために、白ワインにレモンとともに漬けた後オリーブオイルでソテーしてみた。 ここでは、30pのアイゴに対してレモン2/3個を使って鮮烈な酸味を出したが、酸味が苦手ならレモンを最小限にするとよい。好みでバルサミコスなどを振って食べる。 (1)釣った魚は、すぐナイフで絞め(シメ)る。 (2)鮮度保持と血抜きのため、クーラーボックスの氷に若干の海水を加え、 そこに浸けて持ち帰る。 (3)背鰭、尻鰭、胸鰭の棘には毒がある。必ず料理鋏で切り取った後で調理する。 毒は、食べても無害。死後の魚でも毒は有効で、刺されると長時間激痛に苦しむ。 (4)調理時、内蔵を傷つけないこと。嫌な臭いが付くことがある。 レモン風味焼きの手順は以下のとおり。 (5)3枚におろす(図1)。 (6)骨をとり除き、皮を剥ぐ(図2)。 (7)刺身にする(図3) (8)レモンを薄くスライスし、刺身とともに白ワインに漬け込む(図4)。 *レモンの量は1切れ〜2/3個、好みで決める。 (9)冷蔵庫(0〜4℃)に入れ1晩置く。 (10)キッチンペーパーで挟んで水分を拭き取る。 (11)フライパンを用いオリーブオイルで焼く(弱火)。 (12)塩、胡椒を適宜振る。 (13)下面に適当な焦げ目がついたら、アルミホイルで覆い、火を止め、 余熱で1〜2分蒸し焼にする。 (14)好みのソースを振る(*ここではバルサミコス) |
'081223a アジ、たたき |
アジ、たたき('08年12月23日) |
(c)2008 ,revised on Jan. 15, 2012.ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan |
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図1:アジ、27cm、2009年12月。 | ||
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図2:アジ、26p、2008年12月。3枚におろす。 | 図3:骨をとり除き、皮を剥ぐ。 | 図4:葱、おろし生姜をまぶす。 |
アジのタタキ(叩または敲と書く)はカツオのタタキと並んで良く知られた料理。しかし同じタタキでも両者は様子が異なる。 カツオでは、皮付きの身を用い、皮を藁の火で炙る。しかし、アジでは皮を剥ぎ、火で炙ることはない。 これらは共にタタキ、即ち「肉を包丁で叩いて作る獣・魚料理」のはず。しかし、スーパーの店頭に並んだタタキは、両方とも、刻んだ香味野菜を振りかけた刺身。叩いた痕跡は全く無い。 ここでは、タタキの名の通りに、最終段階で軽く叩いて調理する。叩くと旨味が出て香味野菜との馴染みが増す。 手順と注意点は、以下のとおり。 (1)真水(水道水)で洗う。 (2)鱗を落とし、ゼンゴは包丁で削ぎ取る。 (3)3枚におろす。 (4)腹の骨を包丁で削ぎ取る。 (5)中骨毛抜きで抜くか、背身・腹身に切り分けて除く。 (6)皮を前方(肩口)から後方に向かって剥ぐ。 (7)冷凍保存するならこの段階。 ラップを密着させ空気を遮断、さらにポリ袋で密封する。 (8)食べる直前に、背身を5−8mmの厚さに、刺身の要領で引き切りか小口切り。 (9)腹身は、歯ごたえを残すため、「縦(頭・尾の方向)」に切る。 (10)まな板上に切った背身を置き、刻んだネギを振りかけ、 さらに適量の生姜を下(おろ)してふりかけ、全体を軽く手でほぐすように混ぜ合わせ、 縦5回、横5回程度、手を添えずに元気よく「叩き切り」にする。 (11)腹身を加え、軽くほぐすように混ぜ、小皿に盛りつける。 (12)少量の醤油をかけて食べる。 |
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'140731a アジ(豆アジ)、甘露煮 |
アジ(豆アジ)、甘露煮('14年07月31日) |
(c)2014 ,ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan |
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図1:豆アジ(8〜12p) | 図2:ゼンゴ、内蔵を除去、軽く焼く。 | 図3:落としぶたをして… |
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図4:蓋をして45分〜1時間煮る。 | 図5:砂糖を適宜追加、煮つめる。 | 図6:魚を裏返して容器に詰め保存。 |
アジ(豆アジ)の料理と言えば唐揚げ、南蛮漬けが定番。イワシに比べて骨が硬いこともあって、甘露煮にされることは少ない。 しかし、圧力鍋を使ったり、酢や梅を加えて長時間煮るなどすれば、甘露煮は定番料理より遥かに保存性に優れているので、大量に釣れた時に、お薦め。 なお、ここで言う豆アジとは、10p内外のマアジ、マルアジの幼魚。 甘露煮の作り方と注意点は以下のとおり。 (材料) ・アジ(豆アジ)…10p前後(図1)、今回は30尾。 ・茶………………500ml *湯を沸かし、急須に注いで、普通に茶を入れる。 *生臭さの減少などに役立つとされる。 ・水………………200ml ・酒………………150ml ・味醂……………100ml ・醤油(濃口)………100ml ・砂糖………………大匙4〜5 ・酢………………大匙1〜2 ・梅干し…………2個 *今回は梅ジャム大匙1を使用。 ・飴(黄金糖)………1粒 *煮つめ段階で入れる。 (魚の下処理) (1)ゼンゴ(稜鱗)、鱗、内蔵を取り除く。 (2)水洗いして水気を切る。 (素焼き) (3)フィシュ・ロースター(魚焼グリル)で、素焼きする。 *塩などを付けず、そのまま焼く。 *強火か中火。 *1度、丁寧に裏返す。 (4)尻尾がキツネ色になる程度(図2)の軽い焼きででよい。 *煮崩れを防ぐため、蛋白質を固め、水分を減らすのが目的。 (煮汁の準備) (5)ボウル中で、上記の茶〜梅干しまでの材料を鍋に入れて混ぜる。 (6)鍋にクッキングペーパー(リードなど)を敷く。 *包丁で切れ目を入れて底からのアブクが抜けるように工夫。 *まちがってキッチンペーパーを入れないこと(溶けてしまう)。 (7)調合した煮汁を入れ、煮立てる。 (魚を煮る) (7)煮立ったら、魚を並べて入れる(図3)。 (8)落とし蓋をする(図3)。 (9)蓋をする(図4)。 (10)1時間前後、煮る。 *最初約5分は煮こぼれに注意しながら強火で煮る。 *以後、弱火にして、ゆっくり、焦がさないように煮る。 *魚を触って崩すことがないように。 *煮汁の「ひたひた以上」を堅持(必要なら酒を追加)。 (煮つめる) (11)1時間前後経ち、煮汁が「ひたひた」までになったら、蓋と中蓋をを外す。 (12)味を見て、必要に応じて砂糖と醤油を追加して味を調える。 (13)飴(黄金糖)1粒を入れる。 (14)煮汁に粘度を感じるようになれば、煮つめを終了(図5)。 (保存容器に移す) (15)室温にまで冷えたら(荒熱がとれたら)、魚を1つずつ裏返して容器に詰める。 *魚の姿を損なわないよう注意深く。 (16)最後に鍋に残った煮汁をかける(図6)。 (保存) (17)密封して冷凍すれば長く保存できる。 *解凍は冷蔵庫内が望ましいが、常温(室温)放置でもよい。 |
'140815a アジ(豆アジ)、寿司(軍艦巻き) |
アジ(豆アジ)、寿司(軍艦巻き)('14年08月15日) |
(c)2014 ,ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan |
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図1:豆アジ。8月14日淡路。13cm前後。 | 図2:軍艦巻き、約20貫(個)。 |
豆アジが成長、9月ともなると18p級が混じり始め、骨が硬くなって、揚げても丸かじりするのが辛くなり、「そろそろタタキにでも」などと考え始める。 しかしこの時期(8月)はまだ13p前後、骨が軟らかい。2度揚げして南蛮漬け、酢や梅の助けを借りて甘露煮と…安易に丸かじり型料理に流れがち。 そんな時期、豆アジを捌きながら「市販の刺身1切れは何グラムある?」ふと考え始めた。 「うまく捌けば、豆アジ1尾から1切れ分はとれるかも」 「試しにやってみるか」 昔、徳島の稲妻さんに同県椿泊の小波止に連れて行ってもらった時、老齢のお父様が鮮やかな手並みで小さいアジを刺身にして下さった。 その時脳に刻み込まれた映像を再現しながら、挑戦。するとどうだ、思った以上に順調に捌ける。味もあの時の記憶に近い。量的な予想だけが外れ、1.5〜2尾で刺身1切れ分。 そうやって20貫(個)の軍艦巻きが完成。見栄えが悪いが、これが「意外性」というスパイスになって加わり、一層美味しくなった。 手順と注意点は以下のとおり。*20貫(個)分 (酢飯) (1)米1.5〜2合弱を炊く。 (2)寿司酢を合わせる。 *今回は市販寿司酢を合わせた。 (3)ラップを使い、手毬寿司の容量で「小さく・ふんわり」握る。 (海苔) (4)海苔全形3〜4枚を1枚ずつ瞬時火にかざして焼き海苔にする。 (5)これをまな板に載せ、3〜3.5p幅の帯状に切る。 *ペティナイフと定規を使う。 *木製なま板が使い易い。 (軍艦) (6)帯状の海苔を上記の握りに巻く。 *海苔が重なる部分に寿司酢の余分を塗って接着。 (タタキ) (7)アジ(豆アジ、13cm前後)、30尾を準備。 (8)3枚におろす。 (9)腹骨は削ぎ取る。 (10)背身と腹身に切り分け、その時中骨を切って除く。 (11)細ネギ(万能ネギ)5本程度を細かく小口切りにする。 (12)土生姜(小指頭〜母指頭)をすりおろす。 (13)生姜・ネギ・アジの身を混ぜる。 (14) 醤油を、味見しながら適宜垂らして混ぜる。 *入れ過ぎないこと。 (トッピング) (15)タタキを軍艦に載せる。 |
'080815a アジ(豆アジ)、南蛮漬け |
アジ(豆アジ)、南蛮漬 |
(c)2008, revised on Jan.15, 2012. ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan |
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図1:豆アジ。10cm前後ならまるごと、15p以上なら頭部を除いて使用。 | 図2:南蛮漬け。 | |
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図3:内臓、ゼンゴ等を取り除き、 水洗いし、水気を切る。 |
図4:塩胡椒し片栗粉をまぶす。 余分な粉は叩きおとす。 |
図5:2度揚げする。芯まで加 熱され多汁が保たれる良法。 |
一般に、小魚を焼くか油で揚げた後、酢(甘酢、酢の強い洋風ドレッシング等)にタマネギなどの野菜の薄切りと共に漬けこんだ料理を南蛮漬けとよぶ。 神戸付近の釣り人は、ベラや豆アジの南蛮漬けをよく作る。 なお、ベラはキュウセン。焼いて南蛮漬けにする。豆アジはマアジ等の10p以下または20p以下のもの。油で2度揚げして南蛮漬けにする。 なお、このホームページでは、使い道が多い15-20pのアジを豆アジではなく「小アジ」と呼び分けている。 豆アジの南蛮漬けの作り方と注意点は、以下のとおり。 (1)釣った豆アジは、海水を張ったバケツに入れ、撒き餌を吐かす。 (2)クーラーボックスの氷に海水を加え、ここにアジを入れ、氷絞め(ジメ)にする。 (3)真水(水道水)で洗う。 (4)鱗とゼンゴを包丁で除く。ゼンゴは刃(は)で削ぎ取る。 (5)腹を裂き、内蔵を取り除く。 (6)頭を残すか除くかは好みで判断。 (7)塩・胡椒を振り、片栗粉をまぶす。 (8)余分な粉は振り落とす。 (9)必ず2度揚げする。焦げずに芯まで熱が通り、多汁が保たれる。 (10)酢、砂糖などで、好みの酢を調合、タマネギの薄切りなどを漬けこむ。 (11)好みで、適量の唐辛子を刻んで加える。 (12)揚げ終わったものから順に、熱いうちに、酢に漬け込む。 (13)冷蔵庫(4℃-8℃)に入れ、最低でも半日、できれば丸1日以上 置いてから食べる。 (14)概ね15cm以下のアジなら、頭ごと・骨ごと食べられる。 |
'091202a アジ(小アジ)、フライ |
アジ(小アジ)、フライ |
(c)2009, revised on Jan. 15, 2012. ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan |
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図1:小アジ、18p前後。 | |
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図2:背から開いて、松葉作りにする。 | 図3:小アジのフライ。 |
豆アジは、晩秋から初冬にかけて18p前後まで成長する。こうなると、南蛮漬け以外に使途が広がり、器用な人ならタタキにもできるので、豆アジと区別して「小アジ」とよぶことにする。 ここでは、15-19pの小アジをフライにした。 フライを作る手順と注意点は以下のとおり。 (1)釣った小アジは、海水を張ったバケツに入れ、撒き餌を吐かす。 (2)クーラーボックスの氷に海水を加え、ここにアジを入れ、氷ジメにする。 (3)真水(水道水)で洗う。 (4)鱗とゼンゴを包丁で除く。ゼンゴは刃(は)で削ぎ取る。 (5)頭と内臓を取り除く。 (6)背から開き、松葉作りにする(図2)。 (7)腹の骨は包丁で削ぎ取る。 (8)キッチンペーパーで圧して水気を吸い取る。 (9)塩・胡椒を振って数分馴染ませる。 (10)小麦粉をまぶし、余分な粉は振り落とす。 (11)卵をくぐらせる。 *(10)(11)を天ぷらの衣で置き換えて(12)に移っても良い。 この方法は失敗が少ない。 (12)パン粉をまぶす。 (12)油で揚げる。 (13)揚げたての熱々を食べる。タルタルソース、トンカツソースなどが合う。 (14)香りは、レモンより酢橘。このために酢橘を冷凍保存してある。 |
'140320a アジ(ムロアジ)、酒塩干し |
アジ(ムロアジ)、酒塩干し |
(c)2014, ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan |
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図1:ムロアジ、30p前後。 | 図2:背開きにする。 | 図3:酒塩をくぐらせる。 |
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図4:魚干し網に入れて1晩干す。 | 図5:焼いて食べる。 |
釣りたてのムロアジ(30p前後2尾)をいただいた。身が深くて刺身が美味しい。しかし、その日は料理する魚が多すぎて、食べきれない。そこで、一夜干しを作って保存した。 一夜干しは通常「塩干し」にするが、ちょっと凝(こ)って「酒塩干し」にしたら、とても美味しく仕上がった。食塩濃度を高く、漬け込む時間を極めて短かくし、深くまで塩が通らないようにする。 味は極上。その辺で売ってるアジの干物とは格が違う。 酒塩干しを作る手順は以下のとおり。 1、「酒塩」 *上記2尾に対して (1)酒150ml。 (2)塩約24g(小匙4)。 (3)充分に撹拌、溶かす。 2、魚 (1)水道水で手早く流水水洗。 *長く洗うと魚が温まり身が柔らかくなってしまうので注意。 (2)ゼンゴ(稜鱗)と鱗を取り除く。 (3)背開きにする(図2)。 (4)内蔵、鰓(えら)を取り除いて手早く(しかし丁寧に)流水水洗。 (5)大きめのボールに酒塩を入れ、それを2〜3回くぐらせ、1〜2分待つ(図3)。 *長く置くと、塩が浸みこんで辛くなるので注意。 (6)キッチンペーパーで軽く挟んで水分を吸い取らせる。 (7)魚干し網に入れて1晩、軒下に干す(図4)。 *ネコが飛びついて荒らすことがあるので、吊るす場所に注意。 *新しいキッチンペーパー上に皮を下にして置く。 (8)翌朝に取り込む。 *日中気温が15℃を超える季節なら、必ず日の出以前に取り込む。 3、保存 (9)ラップを密着させて包み、さらにポリ袋に密封して冷凍庫に保存する。 *冷凍庫は-18℃〜-30℃ポリ袋の中の空気も追い出す。 上記でもわかるとおり、文字通り「一夜」干すので、夕方に調理するのが良い。それまでの時間はチルドルーム(0〜4℃)に丸ごと(内臓を持ったまま)保存する。 |
'140718a アナゴ(マアナゴ)、櫃(ひつ)まぶし |
アナゴ(マアナゴ)、櫃(ひつ)まぶし |
(c)2014, ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan |
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図1:アナゴ(35〜45p)。 | 図2:背開き、中骨を除去。 | 図3:白焼き。 |
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図4:タレを作り、潜らせて3回程焼く。 | 図5:頭以外を適宜刻む。 | 図6:酒で薄めたタレで短時間煮る。 |
幼時、ウナギが1尾しか釣れなかった場合、それを家族で味わうには、かば焼きを作り、刻んで、タレで軽く煮て、家族分の熱いご飯に混ぜた。 アナゴの場合、1尾しか釣れなかったとしたら、茶碗蒸しの具。十分な量釣れたら、アナゴ丼やアナゴ寿司。中途半端に釣れた時は、幼時のウナギの料理を思い出して、櫃(ひつ)まぶしにする。 今回はアナゴ丼に足るほど釣れたが、娘のリクエストで櫃(ひつ)まぶしにした。アナゴは隠れた高級魚と言われるだけあって、香ばしく美味至極。 作り方と注意点は下記のとおり。 (アナゴの準備) (1)35〜45p、1〜2尾が1人前。 *今回(図1)は7尾、約4人前。 (アナゴを捌く) (2)アナゴを木製のまな板に置き、目うちする。 *即ち、頭を錐(きり)で固定する。 (3)先の尖った鋭利な包丁で背開きにする。 *良く研いだ小出刃(3寸出刃)など。 *切り出し小刀も使い良い。 (4)先ず頸部から背骨左沿いに後方へ、尾端まで包丁を引いて、開く。 *右利きの場合。 (5)次に頸部から背骨右沿いに後方へ、尾端まで包丁を引いて、背骨を外す。 (6)内蔵を捨てる。 (7)頭部も中央で開き、水洗い。 (白焼きする) (8)魚焼き器(フイッシュロースター)に入れ、原則として強火で焼く。 *弱火で時間をかけて焼くと乾いて硬くなってしまう。 (9)肉厚部と頭部に火が通ったら白焼きは終了。 (タレを作る) 材料:(今回の場合総量1カップ程度) ・酒……………100ml ・味醂…………30ml ・濃口醤油……60ml ・砂糖…………60g ・ショウガ……・適宜(小指頭大程度) (10)軽く煮立ててアルコール分を飛ばす。 (11)繰り返し味を見て、濃厚で甘味の勝った甘辛のタレになるよう、 醤油と砂糖を交互に増量しながら調節する。 (12)開口部の広い容器(浅いボウル)に入れておく。 (付け焼き) *=蒲焼き (13)白焼きが終わったら順次熱いうちにタレをくぐらせる。 (14)再びロースターに入れ、なるべく強い火で焼く。 *弱火にすると乾いて硬くなる。 (15)これを(2〜)3回繰り返す(図4)。 (頭をタレで煮る) (16)残りのタレに適宜酒を加え薄める。 (17)アナゴの頭を切り離し、タレで軽く煮てタレの味を増強する。 *頭は別途利用するか、捨てる。 (アナゴを刻む) (18)アナゴを包丁で刻む(図5)。 (19)通常5oぐらいの小口切り、但し焼きあがりが硬い場合さらに小さく。 (ご飯と混ぜる) (20)刻んだアナゴをタレに浸す、または浸して軽く煮る(図6)。 (21)丼か大ぶりの茶碗に盛った熱いご飯に適量を載せる。 *スプーンで適量のタレも。 (22)薬味等(錦糸卵、ネギ、刻み海苔、山葵…)を別の小容器に準備する。 (食べ方) (23)次の順で食べるか、好みの方法で食べる。 ・薬味を使わず、全体を混ぜてそのまま食べる。 ・好みの薬味または多種の薬味を混ぜて、食べる。 ・熱く濃いお茶か出汁(すまし汁)をかけて食べる。 |
'121002a イワシ(ウルメイワシ)、若干(暖季) |
イワシ(ウルメイワシ)、若干(暖季) |
(c)2012, Oct. 02, 2012, ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan |
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図1:ウルメイワシ、17cmまで、 2012年9月27日、淡路。 |
図2:腹を裂き、内蔵をとり除いて、 流水水洗。 |
図3:濃い食塩水(10%以上)に約5分、 キッチンペーパーで吸い取る。 |
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図4:キッチンペーパ―を3回取り換え、 出て来る水分を吸い取らせる。 |
図5:3回目のペーパーの時、全体を ラップで覆い、冷蔵庫内に置く。 |
図6:半日〜1日で完成。焼くか 図のようにして冷凍保存する。 |
ウルメイワシは、干物にするのが最も一般的。しかし、暖かい季節に釣った場合、干している間に虫がついたり、湿度が高かったり雨が来たりして腐敗が心配になることもしばしば。 そこで、冷蔵庫内でキッチンペーパーに水分を吸い取らせる方法で、若干を作ってみた。ここでは、頭が付いたまま作ったが、もちろん好みで頭を除いてもよい。 最も注意が要るのは以下の3点。 ・鮮度良く持ち帰ること ・サビキの餌を食べているので内蔵を除くこと ・清潔な手と調理器具で素早く調理すること 手順は以下のとおり。 (1)釣ったイワシは、海水を張ったバケツに入れ、撒き餌を吐かす(10分以内)。 (2)1〜2回、海水を掻きまわすと鱗が勝手に剥がれて好都合。 (3)クーラーボックスの氷に海水を加え、ここにイワシを入れ、氷絞め(ジメ)にする。 (4)ボール等に入れ、真水(水道水)で流水水洗。 (5)水洗しながら掻きまわし、鱗を完全に除く。 (6)腹を裂き、内蔵を取り除く(腹に撒餌があるので、必ず除くこと、図2) (7)頭を残すか除くかは好みで判断。 (8)ボール等に濃い食塩水(10%かそれ以上)を30尾当り1カップ程度作る。 (9)イワシを入れ、手で優しく掻き混ぜて、全体に食塩水をまぶす。 (10)約5分置くが、2回ほど、手で優しく上下を反す。 (11)キッチンペーパーを2重に敷き、イワシを並べる(図3)。 (12)上側にも同様にペーパーを掛ける(図4)。 (13)紙・イワシ・紙・イワシ・紙…と重ね、5分経ったら新しい紙に換える。 (14)さらに紙を交換、即ち3回目の紙になったら、全体をラップで包む(図5)。 (15)この状態で、冷蔵庫中(4℃)に置く。 (16)半日〜1日経てば完成。 (17)取り出して焼くか、冷凍保存(−18℃以下、図6)。 (18)乾きが不足気味の場合、ほど良い色に焼いた後、電子レンジで 適宜(30秒ほど)加熱するとよい。 (19)冷凍保存は、ラップを密着させて完全に包んだあと、ポリ袋に密封(図6)。 |
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