田園科学室
イチゴの栽培(詳細1)
(c)2005-2011, ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, JPN (田園科学室)

農家の仕事作物栽培例イチゴの栽培(目次)>詳細1


090302a 追肥
イチゴの中耕・除草・追肥('09年03月02日*通常は11月末〜1月末の作業))
(c)2009, ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan (田園科学室)
図1:中耕・除草。畝(ウネ)の上面、特に
イチゴの根本の固くなった土を嘴でつつく
ようにして細かく砕き、同時に草を除く。
図2:肩を削り、縁(へり)も削る。固く
なった表面の土を谷へ削り落す。落した
土は、鍬で叩くなどして、細かく砕く。

1、実施時期

 
定植後のイチゴの追肥は、中耕と除草を兼ねて、通常11月末〜1月末に行う。

2、中耕・除草

 中耕とは、固くなった表土を砕いて水や空気の通りを良くすること。小さな圃場なら草引き鎌等を用いて丁寧に行うと良い。イチゴの根本付近の土を、細かく砕いて草の根を浮かせ引き抜きやすくしてから、草を除く。なお、深く耕し過ぎてイチゴの根を傷つけないよう注意する。

3、畝の整形を念頭に

 畝(うね)の肩や縁(へり、側面)の固くなった表土も適当な農具(草引き鎌や半月鍬等)で谷へ削り落し、鍬で叩き圧して細かく砕いておき、最後に鍬で持ち上げて、(1)肥料の上を覆い、(2)畝の肩と(3)畝の縁へ戻す。

4、最後は蒲鉾形に


 一連の作業の最後に、畝(うね)を蒲鉾形に整える。これを怠ると、畝の上部の平面に水が溜まり、実ったイチゴが水没して腐る。(1)肥料を覆った土を鍬で水平に均すように軽く圧しながら前進、(2)次に両肩を各々鍬で軽く斜面を作るように圧しながら前進すると簡単に整形できる。

図3:中を割る。即ち、畝(うね)中央に溝を掘る。
押しのけられた土がイチゴの根本へ入り込むよう
なら丁度良い掘りかげん。
図4:肥料を置く。予め配合しておいた
化学肥料・有機肥料を先に撒きその上
に牛糞堆肥を撒く。

 図4:覆土し、肩と縁(へり)を整えて終了。
 (1)先に谷に削り落して砕いておいた畝(うね)の肩・縁(へり)の土を鍬で掬いあげ、畝中央の肥料を土で覆う。
 (2) 残りの土を鍬で畝の肩へ上げ、さらに残りの土を鍬で縁(へり、側面)へ上げて鍬で圧する。
 (3)畝中央の肥料覆土を鍬で軽く水平に圧すると、土が両側のイチゴの方へ押し出され、イチゴ根元が上方から埋め戻される。
(4)肩の土を鍬をやや傾けて軽く圧する。蒲鉾形を意識して斜めに圧すると、土が押出されてイチゴの根本が下方から埋め戻される。

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090303a マルチ
イチゴのマルチ掛け('09年03月03日)
(c)2009, ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan (田園科学室)
図1:マルチ終了後のイチゴ。撮影は実施1週後('09・03・10)。

図2:マルチ掛けの手順。

1、マルチ

 マルチはマルチングの略です。「敷き藁」など作物の根本や地表部を覆う物、または覆うこと。

2、被覆資材と役割

 現在イチゴに用いられている被覆資材は、黒や銀色の極薄のポリエチレンフィルム。露地イチゴで多用されるのは黒マルチ。その役割は、保温、抑草、害虫回避、実の汚れ防止等。

3、実施時期

 イチゴの芽が動き始める前、田園科学室(神戸)付近では2月下旬にこの作業を行うのが普通。早過ぎは厳禁。根の発達が悪く(浅根に)なり、降霜期間中に主要な花房が出て、花が霜害で著しく傷むため、満足な収穫が得られない。

4、無効な蕾・花

 なお、この時点で芽の周辺に付いている短柄の花は以後も柄が十分に伸長することはなく、また霜害や花粉媒介昆虫の不在など様々な理由で利用価値のある実にはならない。

 これを古い葉とともに取り除くと病害の発生を防ぐのに役立つ。しかし、不慣れな人がこの作業を行うと、後日に伸びてくるはずの立派な花房(かぼう、カンザシと呼ぶ)を一緒に除いたり損傷を与えて収穫が激減する例も少なくない。

 最後まで放置した場合、霜で花の芯が黒変、変形果が実る。新葉が展開し、望んでいた花房がはっきりしたら、その時点で古い葉と冬の実を除くと良い。これが一番無難。

5、マルチ掛けの手順


 マルチ掛けの手順は図1〜3を参考に以下のように行う。

 (1)追肥の際に行った畝(うね)の蒲鉾形整形を再度行う。以前より丁寧に、仕上げを行う意識で中耕と除草を行った後、図2(1)〜図2(3) の要領で黒マルチを掛け、畝を覆う。

 (2)即ち、畝の断面を見るとΩ形になるように、適量の土を使って、マルチで畝を覆う。裾の埋め方の形状が不完全だと風に飛ばされ、裾の土が多すぎると後日剥がす時に苦労する。

 (3)マルチで覆われ隠れたイチゴを、ナイフでマルチを破り、指で引き出します。表面を手のひらで撫でてイチゴの位置を探り当て、カッターナイフか使い捨てカミソリで小さく十字形に切目を入れ、そこから指を入れて引き出す(図2(4))。

 (4)このとき、枯れた葉、病気の葉を取り除き、集めて焼却。

6、葉の引き出し方

 黒マルチを優しく手のひらで撫でるとイチゴの位置がわかる。

 芽や葉を傷つけないように、指先でマルチを少しつまみ上げて、そこに小さな十字形の切れ目を付ける。芽を損傷せず、葉柄を切断せず、土でナイフの刃を損なわずに行うこと。

 切ってできた小さな隙間に人差し指を差し入れ、指先でイチゴの根本を撫でるように1周、指に掛った葉を強引に引き出す(図3)。

 楽に引き出そうと考えて大きな穴を空けないこと。マルチは良く伸びるので、穴は小さくても葉を出すことは可能。大きすぎる穴は、マルチの効果(抑草や保温の効果)を減少させる。

図3:黒マルチを切り、イチゴの葉を引き出す。

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090503a 開花・結実
イチゴの開花・結実('09年05月03日)
(c)2009, ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan (田園科学室)
図1:イチゴの開花・結実。
品種は宝交早生、中苗・小苗の場合、2009年5月3日、神戸市西区。


この項
工事中です
 

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080520a 収穫
イチゴの収穫('08年05月20日)
(c)2008, ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan (田園科学室)

図1:いちご(宝交早生)。
2008年5月20日、田園科学室(神戸市西区)。


1、収穫量

 植付(定植)時の苗が大苗の方が小苗より収穫量(重量)は多い。また早植え(10月中旬)の方が遅植え(11月上旬)より収穫量(重量)は多い。

 しかし、最も収穫量(重量)が多い大苗の早植えの場合、小さな実が多くなり、必ずしも得策でない。中苗の早植えが推奨されている。

 しかし、田園科学室では、中苗・小苗の遅植えを行っている。

 10月はイモ掘りの来客があって多忙を極めるので、繁忙期の植付作業は苦しい。遅植えにすれば、(1)除草を1回省略できる、(2)大苗は手入れが遅れると病害が多発する。これらの理由で、遅植えの習慣が定着した。

 なお、目標収量は10アール当たり1.8トンかそれ以上に設定される。10アール(=10,000u)には約6,600本定植されるので、1株に約273g。

2、収穫用の容器

 浅く、安定の良い篭やザルに摘むのが良い。大量に積み上げると自重で潰れる。

 最近、外国から安価な竹細工製品が輸入されるせいか、近隣に実用的な篭作りをする職人さんが見当たらなくなった。安価な外国製品では実用に堪えず。重宝してきた良質の篭の補充ができなくなって、寂しく悲しい。

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