掘割浚い、解説と実例1
(c)2006-8, ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan. (田園科学室)

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掘割浚(さら)い、解説と実例1('06年05月25日)
(c)2006, ABA, Lab. Sci. Rural Life, Kobe, Japan

1、掘割とは
 掘割とは用水路のこと。
 瀬戸内式気候の当地では灌漑用水としてため池はとても大切です。現在でも村の中に10以上(*2009年現在8つ)のため池があります。
 異なる谷にある池を連結している用水路が村で言う「掘割」の典型です。一般に掘割の名は用・排水路の意味で広く使われ時には運河を指す事もあるようですが、この村では農業用の用水路に限って使われています。排水路を掘割とよぶことはほとんどありません。
2、掘割浚い(用水路清掃)
 池と池を連結する掘割は、ある池が満水でも別の池が空っぽになるような非効率的な事態になることを避け、必要な池に適宜貯水するために設けられた、古くからの農業インフラです。
 この堀割は林の中をほぼ等高線に沿って緩い傾斜で次のへ繋がっています。したがって、落ち葉の堆積が著しく、ところどころ雨水に流された砂や泥がが流入・堆積します。これらを年1回田植の直前の5月中・下旬に浚うのが堀割浚いです。
3、掘割浚い昨今
 昔は、上記以外にも森林の雨水を受けとめて池に導くための掘割、谷川から池へ水を導く掘割など、多様な掘割がありましたが、現在それらは大きなダムからの給水管と川からの揚水管(ともに地下配管)に置き換えられ、無用になってしまいました。
 ため池から各田畑への用水も、全て埋設パイプライン変更され、それに伴って、掘割浚いの範囲も大幅に縮小されています。
4、今でも大作業
 掘割浚いの範囲が大幅に縮小されたとはいえ、その作業量は相当なものです。草刈機1台が仮に300刈り進むとして30台で延べ9,000m進計算です。実際はそれを超えているのでは?と思います。手なれた者が約2時間、休みなく刈り続け、浚い続けるのですから。

掘割浚えのようす

図1:掘割浚い、用水路の清掃。写真のような狭いものもありますが、幅2m・深さ1.5mほどの大きなものもあります。。村では年1回5月に農家総出で掘割を浚(さら)います。即ち、除草し泥や落葉を除きます。

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