愛のprisoner
ダークパレス最深部。玉座には魔王『ルシファー』が君臨する。
見る者を震撼させる威圧とその圧倒的魔力。
漆黒の羽を纏う堕天の王。
ついに復活を果たした右腕、『アゼル』と『べリアル』。両雄が頭を下げて最強の魔王に跪く。
未来の父親もルシファーに捕えられ、どうするデビルチルドレン!!!(昔のアニメの予告風に)
「ルシファー様、この者等私めが始末いたしましょうか」
二人に立ち塞がるベリアルが、ルシファーの命令を待ち、アゼルも同時に臨戦体制を取る。
低く響く声に空気が震える。まさに、一触即発状態にあった。
ルシファーは、薄く口を歪めて、ゆっくりと首を動かし『下がれ』と命じる。
「構わん、お前達は退け。デビルチルドレンをこちらに」
「御意」
アゼルとべリアルが言葉通りに、道を開ける。
「―――よく来たな、デビルチルドレン刹那、そして未来。お前の父は我が手中にある。
どうする?魔の血を受け継ぐ我が子供たちよ」
「お父さんを返して!!!」
未来の悲痛な叫びが木霊する。その悲しみを媒介に、魔王の力を増幅させることを知っていても。
幼き少女にはあまりにも酷な、運命だった。
「ルシファー、お前が未来の父親を!一体どうする気だ!?」
「フッ、関係はない……これより死に逝くお前達には、な」
どこまでも、低い魔王の声。際限のない深い闇のように。
人々に畏怖を植え付け、逆らう者には、死。
その身に纏う空気が血を欲し混沌に酔う凶悪性を物語っていた。
「関係はある、絶対にお前の思い通りにはさせないッ!!!」
「ほう、いい度胸だ」
「刹那ぁ!」
「……刹那」
クールは、ふっと微笑を漏らす。この頼もしい主君に命を掛けた自分は間違いではなかった、と。
あの日、忌々しい封印を解き放ったあの出来事でさえ運命を感じる。
本当に刹那は強く―――大きくなった。
「ルシファー、お前はあんなヒゲ親父が好みか!?
俺を差し置いて二人っきりになって何をするつもりだ!」
「刹那ぁ(涙)」
「……刹那(呆)」
「何を言っているかよく解らんが、何だ?この桁外れに感じる負の感情は……」
目に見えるほどの魔力増強。アニメのラストでありがちな最悪の情況を招いてしまった。
その場に立ち尽くす相棒には、はっきりとその正体から、発生源、はたまた対処法まで解りきっていた。
「(……完全に嫉妬だな)」
「ククク、お前が誰を好きだろうが、俺が支配者だ。そんな不貞の従僕には、チョコボール○井
(@某有名AV男優)も裸足で逃げ出すような、すっげぇヤツをくれてやる!!!」
未来が痛む頭を押さえる。
「刹那、何を言ってるの?ルシファーは敵でしょう!?」
「俺の邪魔をする奴が敵だ。お前の親父もな!(ビシィ!)」
「ええ!?(焦)」
「………?と、とにかく、負の感情が満ちていく……。
私のこの力があれば全世界を手中に治めることなど造作も無い」
クールが最悪の事態に気が付いて声を荒げる。
「せ〜つ〜な〜!!!お前の嫉妬心で、最初より凄い力になっちまったじゃねぇか!!!」
「来た時よりも美しく(?)、頼もしいじゃねぇか?」
「敵が頼もしくてどうする!GB版は一旦忘れろ!!!」
「お前達、私の邪魔立てをするなら死んでもらおうか」
ゆっくりとルシファーが玉座から歩を進める。
その一挙手一足動に全員の視線が集まる。
魔王の力を増した圧倒的魔力が確かにビリビリと肌を焦がすように伝わる。
刹那の眼前で整った睫毛の先から視線を落として値踏みをするかのように見詰めた。
「…………」
反応の薄さに口許を微かに弛めてその細く尖った顎を掴んで顔を上向かせる。
地獄の番犬と畏怖されるクールでさえも異形な雰囲気に飲み込まれてぴくりとも動けずにいた。
「覚悟はいいか?」
「ルシファー、ちょっとおいたが過ぎるんじゃないか?」
「なに……!?」
いとも軽々と、ルシファーが床に押し倒される。
獲物を捕えた肉食獣のように逃げられないよう腕と脚を拘束する。
感心するほどの手際のよさである。感心している場合ではないのだが。
「……この淫売が、誰にでも開く卑しいお前の身体をじっくりと躾てやる」
『俺専用』にな、と耳元に注ぎ込むように落とした。
「……っ!!!(汗)」
「刹那、ちゃんと避妊しろよ。明るい家族計画だぞ」
もう慣れているクールは、止めようともしない。止められるなら、止めている。
この男の嫉妬は非常に性質が悪い。自分も巻き込まれないようにするのが精一杯だ。
どんどん剥かれていくルシファーを横目に、クールはアゼルとベリアルに挨拶を済ましておく。
「ふざけるな・・・・・刹那!私は最強の力を得た・・・・こんな事をして、ただで済ますと思うな」
「お前のとってもイイトコロ(@西川貴則)は、俺が全部知ってる。
ここも、そこも、ここも、(以下中略)皆、俺が仕込んだんだからな」
「何!?…ちょ…待て……、あ…ッ」
体中に軽く噛み付く刹那に身を捩って、頬を上気させる魔王ルシファー。
好き勝手絶頂に、色情加害症患者は魔王の身体を玩ぶ。
「な…ぜだ・……私は…ッ…地上無二の…力を……」
「アニメだろうがやっぱり可愛いな〜v
俺の邪魔をする奴は神でも何でも皆殺しだ。お前は俺のモンだ。」
すっかり息が上がって、呂律の回らないルシファーに軽く口付けて、刹那は耳元で囁いた。
クールが相変わらずの相棒の傲岸不遜ぶりに思い切り呆れて溜息を吐く。
「(いけしゃあしゃあとまぁ)」
「(刹那×ルシファー、いいかも(親父は?))」
まぁ、そこにいた一様の思いは、色々とあらぬ方向に進んでいたが
(未来とか、未来とか、あと未来とか)
少なくともラストバトルを濡れ場にかえたこいつらの前ではそう大した問題でもなかった。
「も…やめ……おかしく…な…る…」
プチッ。
「そんな可愛いことを言うともう止めらんないぜ?
めちゃくちゃに壊してやるよ」
「元より止める気なんて更々ないだろうがな」
あくまで安全圏からクールは突っ込む。
ルシファーは暴れていた腕をはたと止めた。
もやもやと曖昧な記憶になにかがシンクロする感覚。
「何か、私は…よくこう言う目にあった覚えがあるんだが……?」
「気のせいだろ?多分。そんなことより、続きを犯ろうぜ」
「嫌ああああああぁぁーーー!!!」
パチ。
視界が白い。
見覚えのある天井。
見慣れたシャンゼリアは先ほどの異質な空間ではありえなかった。
まだ覚醒しきっていないぼんやりとした頭で状況を総合しても、
「……夢か……」
まだ心臓がドクドクと早鐘を打っている。
着ていたシャツは冷や汗で濡れて肌に張り付いてしまっている。
隣で、安穏を告げる平和な寝息が聞こえる。
数時間前までこの大人びているとはいえ幼さを残した銀髪の美しい救世主が
仮にも親である自分を力尽くで押し倒して貪っていたとは当事者でなければ己であっても信じまい。
憂いを含んだ溜め息をついて起き上がろうとするとその腕を引かれ
ベッドの中に引き戻されてしまった。
「おい、刹那…」
「お前が朝から色っぽい顔をするからまた欲しくなった」
ルシファーの身体に跨って圧し掛かっている刹那が気落ちした端整な顔を覗き込む。
夢も現もこの情況を打破できる方法などあるはずも無い。
「私の未来はどっちなんだ…?」
「少なくともそいつのいない方向だろう」
クールが的確に指摘を下し去っていった扉の方向から悲痛な叫び声が上がっていた。
合掌。