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立っているのは二人の人物。

一人は三つ編みにした銀髪と白い軍服に似た服を着ている。

もう一人は黒い軍服に似た服に、少々間の抜けた猫のお面を着けていた。

 

「君のせいだぞ。」

目の前にどっさりと積まれた書類一式と、ガランとした部屋を目の前に銀髪の持ち主、

ルシアが呟いた。

 

「少し、反省しています。」

 

表情の読めないお面の変わりに、がっくりと肩を落としてイェクスが答える。

 

Master達の性格を考えて行動しないから、こういうことになるんだ。」

 

「そうは言いますけど、まさかここまで来るとは思わなかったんですよ。

 普通、誰が考えますか?こんなまっさらの仕事場所をまさか与えられるなんて。」

 

新しい仕事場を与えられたのはついさっき。

しかも、場所と大まかな内容は聞かされても、中身の方は自分たちでしていくように

言い渡され、この部屋に放り込まれた状態だ。

つまり、場所とやることは貰ったが、何から始めるかは、自分たちで考えてやるように、

とのことらしい。

 

「あの人達が、いままで普通な事をしてくれたことがあったか?」

 

Master Nはまだ・・・。」

 

21だ。それに、あの方は求めれば助言はしてくれるが、R達に意見することはない。」

 

「おっしゃるとおりです。」

 

叔父が彼に関わりに行くことはあっても、彼が自ら、自分の叔父に関わるようなことはしないのは、承知している。

 

「まあ、ぼやいても仕方がない、動き出さないことには、どうしようもないのは事実だ。」

 

自分だって、自分の師を止められなかったのだ、これ以上八つ当たりにイェクスを責めても仕方ないだろう。

 

「そうですね、まずこの書類に目を通して分けて、整理していかないと。

急ぎの仕事がまじってたいら大変ですから。」

 

あの人達ならやりかねない。

 

「人員を集めないとな。せめて特性に合わせて五人ぐらいか。」

 

「最初はそんなもんでしょ、とりあえず、人間界に在住の方々のリストが

 ここにあるし、コツコツ当たっていきましょう。」

 

「しかし、こんな人間界のビル街で、我々のような人物がコソコソやっていたのでは怪しまれないだろうか。」

 

今、この二人だけでも十分に妖しいと思う。

 

「カモフラージュを考えましょう、せめて看板たてるぐらいの・・・。」

 

自分だって好きこのんで、こんな、ふざけたお面を着けているわけではないのだが、

それを説明するわけでもなく、適当にあしらっておかなければならないので、面倒だ、

叔父の言う開き直りを、どれくらいしていかなければならないのだろうか。

 

「我々が出来そうな、人間界の民間の企業とは何だ?」

 

「・・・何でしょうか。」

 

カモフラージュのための仕事を考えるべきなのか、それとも上から請けた仕事を

進めていくことが先なのか、途方に暮れる。

 

「落ち着こう、とりあえず落ち着こう。」

 

実は、結構混乱しているのではないかと、思い至り、ルシアが呟く。

 

「・・・まずは、人間界になじむことから始めませんか?」

 

イェクスが提案した。

 

「どうするつもりだ?」

 

「ですから、仕事をするにしても、知識が必要です。だから、人間界の勉強をしましょう。」

 

住居も提供されているから、生活することには、適当に自分の身の回りの状況さえ作れば問題ないと思われる。

 

「学生になれと言うことか?」

 

「そう言うことです、考えてみれば、人間界にいながら、あまり馴染めていな状態です、

 ここまで隣接した状態になると、今のままでは目立つと思いますし、学生生活から

 始めてみましょう。」

 

イェクスの言葉に、ルシアが眉間にしわを寄せ顎を引き、少し考え込んでから、

顔を上げた。

 

「では、それで書類を作ることにしよう。まずは生活費の申請と、今後の予定の報告だな。」

 

紙とペンを取り出し、メモをしていく。

 

「書類整理と、学校の手続きもしていかないといけませんね。」

 

「どこの学校にするつもりだ?」

 

Master達のような無茶な考えはしないだろうが、一応確認をとる。

 

「大昔に叔父達が通った学園はどうですか?」

 

「変革前のことだろ?もう残っていないんじゃないのか?」

 

「建物も生きている人物もいないでしょうが、

同じ場所に同じ名前で建った学園ならあります。」

 

「まあ、まずは資料でも見て判断しよう。」

 

「そうですね。」

 

この部屋に看板がかかるのは、もう少し先の話となり、結局開業したのは、

民間賞金稼ぎ組織だったので、警察機関などに目をつけられるようになったため、

怪しいと言ってしまえばそれまでだが、異質には見えなかったので、良しとしていた。

 

「ところで君はそれで学校にも行くつもりかね?」

 

「・・・仕方ないでしょ。」

 

最初から普通の生活には躓いていたようだ。