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「ねえ、ゲームプログラマーて、実際どんなことしてんのよ?」

 

久しぶり合った姉がの質問に、チラリと視線を向けただけで、目の前に出された焼き鳥を食べながら、

夏樹は「別に。」とだけ答えた。

 

「何、私に言っても無駄だて思ってるわけ?」

 

「いや、説明が面倒なだけ。」

 

「あ、そう。」

 

何となく質問しただけだったのか、それ以上はしつこく聞くことなく酒を飲む。

 

「儲かる?」

 

「ま、アルバイトとしてなら、そこそこ。」

 

「就職するの?」

 

串をさらに起き、しばし考えた後、夏樹は言った。

 

「分からない。」

 

嫌いじゃないけど、物足りない。

 

「じゃあさ、私の仕事、手伝わない?」

 

「漫画家の何を手伝えと。」

 

親に言われたとおり、エリートの大学に行って、エリートの職場について、

けれど、密かに投稿し続けていた漫画が認められてから、

あっさり仕事を辞めて、親の言葉を聞き流し、家を出た彼女に、視線を投げかける。

 

「ゲームを作って欲しいの、私の描いた世界の。」

 

メンバーも少しずつ、ツテを当たっているところだと彼女は言った。

 

「俺、自分のことで精一杯なんだけど。」

 

「お給料はちゃんと出すわよ。」

 

「出してもらわなきゃ、生活できない。」

 

そこまで言って、ネギ焼きを注文する。

 

「で、どんなゲーム?」

 

「ファンタジーシュミレーションRPG

 

「描いてる漫画、現代学園恋愛漫画じゃなかったけ?」

 

「違うジャンルにも挑戦してみたいのよ。」

 

そう言って、彼女はコップに残っていた酒を飲み干し、追加を頼む。

 

「設定とか出来てんの?」

 

「見てみる?今、あるけど。」

 

そう言って、鞄の中から分厚い紙の束を差し出してきた。

 

「最初っから見せるつもりだっただろ。」

 

呆れながら受け取り、軽くパラパラと見る。

 

「持って帰って良いわよ、後で返してくれれば。」

 

仕方なく、夏樹は持っていた鞄にしまった。

 

「あと、これ。」

 

そう言って封筒を出してきた。

 

「・・・何これ。」

 

中身を確認してから、夏樹は尋ねる。

 

「父さんから、私とあんたの分だって。」

 

「別にいらないのに。」

 

「良いじゃない、受け取って起きなさいよ、不器用ながらばれないように一杯一杯で

やってんだから。」

 

あって困るもんでもないし、と付け加えられ、夏樹はそれも鞄の中にしまった。

 

「まあ、ありがとうとでも言っといてくれ。」

 

「自分で言いなさいよ、私だって暇じゃないんだから。」

 

「こっちの方が、会う機会がもっとない。」

 

家を出て以来、全く会っていない。

 

「あんたって、父さんに似て不器用よね。」

 

「親父より器用だ。」

 

だから家を出た。

 

「そうね、いきなり消息不明になったと思ったら、一週間後にひょっこり

 お爺さん達の所にいて、母さんの性格を悪く言えば表現で並べ立てて、

 “あんたの居る所には居たくない”て、お爺さん所に世話になってねえ、

 お爺さん達も良い迷惑よね。」

 

「反省はしている。」

 

だから、今までの生活費として、幾らか送っている。

向こうは、要らないと言ってはいるので、とりあえず、自分が何かあったときの保管と称しているので、半分程意味がないが。

 

「私が思っていたこと、先に言われちゃったから、なんか悔しかったわ、

 あの台詞、私が最初に言いたかったのに。」

 

飼い犬に手をかまれたような表情を見てやりたかったのに、と、つけ足す姉に、呆れた視線を送る。

 

「俺は元々反抗しまくっていた犬が結局逃げただけ、可愛がっていた犬にかまれるよりか、

 納得はいくんじゃねえの。」

 

「そうかしら。」

 

取り留めもない会話をしながら、時間は進み、店を出た。

 

「それじゃ、一応考えておいてね、期待してるから。」

 

駅に向かい、別れ際に姉が言う。

 

「人の期待を裏切るのが俺なんだけど。」

 

「それもそうね。じゃ、また連絡するわ。」

 

「ああ、またな。」

 

「あと、それから・・・・。」

 

歩こうとするのを引き止めるように大きな声で姉が声をかけた。

 

「?」

 

「これ、父さんの携帯の電話とメール番号、一応送っておくからね。」

 

返事の変わりに、手を挙げる。

 

 

やすいアパートの二階に借りた一室を開ける。

隣の部屋からは、大学生が宴会をしているのか、にぎやかな声が聞こえたていた。

窓際にあるパソコンのスイッチを入れ、作りかけのデーターを打ち込んでいく。

 

「・・・・・。」

 

手を置き、一度窓の外をのぞき見た。

金色の三日月が輝いているのが見て取れる、

それ以外の月の色は、あまりこの世界にはない。

暫く思考を巡らし、再びパソコンの前に座る。

 

「悪運がどこまで続くかだな。」

 

そう言って、自分で作り出したアイコンを叩く。

メールアドレスを、専用の覧に打ち込み、その下の空白部分に“届いたら返信頼む N”と打ち込み、決定ボタンを叩いた。

動きは、予想以上に早かった。

先ほど、打ち込んだ文の下に別の文が現れる。

 

“勝手にパソコン内に介入するなよ D

 

ディルスの返答にわずかに満足し、再びキーボードを叩く。

 

N“仕方ないだろ、そっちでパソコンを持っている奴はお前以外知らないんだ”

D“三年間消息不明でよく言うよ”

 

打ち出された言葉に、僅かに間が出来た。

 

N“三年経っていたのか”

D“日数が分からないほど、地中にでも潜ってたのか、いい気なもんだ”

N“いや、時間が流れる場所に戻っただけだ”

 

今度は向こうに間があった。

 

D“体の年、とったのか?”

N“ああ、六年ほどな”

D“うわあ、見てみたいな、老けたお前”

N“黙れ”

D“んで、いきなりどうしたよ”

N“そっちで変わったことはないか”

DRが中級天使になったんだと”

N“どうでもいいな”

D“変わったことは今は特にないよ、変わるのはこれからだ”

N“どういう意味だ?”

D“警告、お前の時と地位代償とした内容だ、それでも良いなら話すけど”

N“時は分かるが、地位とはどういう意味だ”

D“そのまんま、人間界で人間としての扱いは出来なくなるてことさ”

N“俺は人間だ、それ以外の何者にもなれないだろ”

D“この場合、人間は人間でも、お前は異界人だな”

N“お前達の世界での人間扱いは出来ないと言うことか”

D“そういうこと、お前は俺らと同じ、流れを見る側になる、関わりたくないなら、これで

さよならだ”

 

再び、キーボードから僅かに手が離れる。

右手の拳を何度かグーパーと繰り返し握った。

こちらに戻ってきたとき、腕も目も傷も元に戻っていた、おそらく向こうへ行けば、

また義手と義眼がついてくるだろう。しかし、そんなことはたいした問題ではない。

一息ついてキーボードを再び打つ

 

N“関わりたくないなら、こんな面倒なこと一々するか”

D“だよな、悪趣味だよな、お前。”

N“かもな”

D“変革だよ、世界の終末、てやつだ”

N“それと、俺と、何の関係がある”

D“ここ最近、空間が妙に不安定なんだよ、時空神をそろそろ交代させようか、て提案が

  出ている”

N“・・・あのヨボヨボの爺さんのことか”

D“やっぱ知っていたか。大方、お前をそっちに戻したのもそいつだろ”

N“ああ”

D“お前も原因に関係してくるんだけどね。お前が偶然か必然か、こっちに来たって事は

僅かながら空間の歪みは生じていたんだが、あの爺、それを隠していてな、歪みは段々

酷くなってきて、最近目立ち始めている、変革が起こる前に、新しい対策を見つけな

いといけない、時空に対しての知識と、異界人が来たときの対処法をうまく考えられ

る奴がな”

N“時空の乱れを避けて、返せばいいだろ”

D“それを見極めるのが難しいんだろうが。お前の時みたいに無理矢理返して、時空の歪み

をこれ以上広げるわけにはいかないからな、修復するのに時間がかかるし”

N“それで”

D“で、経験済みの異界人のお前が時空神にどうかと”

N“お前とR、どっちが言った”

D“両方、二人いたほうが説得力はあるだろ”

N“嫌がらせか”

D“検討中だけどね、お前がいなから、決定しようもないし、時空神は魔界、天界とも介入

はあまりできないからな。”

N“あの時空神は偉いのか”

D“いや、全然、ただ、どちらもあまり介入できないし“神”なんて言葉がついているから

  偉いと勘違いはしているかもしれないけど”

N“選択権はないのは分かるが、それで俺は何をすればいい”

D“もう一度、こっちに来てもらい、判定してもらうさ、決定権は俺にはない。”

N“何時”

D“こっちの世界で一年後て、ところかな”

N“分かった”

D“本当に良いのか、もう戻れないぞ”

N“執着はない”

D“そういやな、お前が居なくなってから、あの獣人が凹んでたぞ、こっち来たら

あってやれば”

N“覚えていたらな”

D“冷たい奴、、ま、あれからだいぶんたっているから、向こう、もお前に執着無くなった

かもしれないかもな”

N“かもな”

D“何にせよ、準備がつき次第連絡するから、方法教えてくれ”

 

夏樹は、簡単な説明を打ち込んだ。

 

N“それじゃ、俺は仕事があるから、そろそろ勘弁してくれ”

D“分かった、じゃあな”

N“See You

 

夏樹は一息ついた、カップに残っていたコーヒーは既に冷め切っている。

もう一度入れ直し、口に含んだ。

パソコンに視線を向けたとき、その横に置かれた携帯にも目が入った。

 

「・・・・・・・・。」

 

メール画面を呼び出す

“金、ありがとう。”

続けて打ち込んだメッセージが、しばらく考えて消すことにした。

 

「(会って、何を話すつもりだか)」

 

自分の打ち込んでいたメッセージに、そう考えて携帯を放り出す。

鞄から姉から受け取った封筒を取り出し、目を通していく。

「(誰か紹介してみるか)」

向こうでの一年を、こちらで計算しながら、今後の予定をたてていくことにした。