守護霊達の事情(5)

 

 

数ヶ月後―

 

「伊月君!今日こそ僕の部活に入ってもらうよ〜!!!」

 

「五月蠅いぞ、ブラスバンド部長・大川 孝則!!」

 

ドアをガラリと大げさに入ってきた奴に俺は言った。

 

「説明くさい台詞感謝する、だが、今日こそ伊月君を渡してもらおう。」

 

「渡してもらおうも何も、伊月は俺と組んでんだよ、帰れ!今作曲中だ!!」

 

伊月の音楽才能は博雅の影響か、本人の才能か、恵まれている。

それもあるが、妙に気が合って俺と伊月は芦山と三人でバンドを組んでいる、

今度の文化祭で有志として参加するのが今の目標だが、伊月の音楽才能に目を付けたのは俺だけじゃなく、

今入ってきたブラスバンドの大川だ。こいつもかなりしつこい。

最初は伊月がやんわりと断っているのを見ていたが、

あきらめを知らないこいつに最近は俺が追い返している状態だ。

もうひとつおまけ、こいつ自身には見えていないが大川 孝則にも守護霊がいる。

晴明と同じどちらかといえば整いすぎた美形の類で、俺たちとは明らかに違う西洋の顔立ちに、黒い服をまとう。

名前はアレイスター・クロウリー。20世紀最大と称される英国の魔術師と言われた存在だ。

性格は・・・・・まあ、晴明と同じ血が通っていると言われても納得してしまいそうな奴だと考えればいい、

どうでも良いが、術者と言う奴はこんなんばっかか!?

 

「やあ、晴明、今日も相変わらず美しいね。」

 

どうでも良いが、このクロウリー、晴明に毎回ちょっかいをかけてくる。

 

「今、俺は博雅の笛を聞いているんだ、邪魔しないでもらいたい。」

 

あらか様に不機嫌な顔でクロウリーの言葉を跳ね返すように晴明が言った。

その横には、さっきまで笛を鳴らしていた博雅がどうしたものかと傍観している。

 

「それよりも呪術についての話をしたいのだが、君の意見に実に興味がある。」

 

「いずれな、今はそのような気分ではない。」

 

「この間もそう言っていたよ、いつになったらそう言う気分になってくれるのかな?」

 

延々とそんな会話を空中で交わしている間、俺も大川と似たような雰囲気で会話していた。

 

「君のような個人的趣味の域でやるのと、志を持った者達が集まった中で彼の才能を活かすのなら、

  どっちが彼のためになるか分かるだろ。」

 

「個人的趣味で悪かったな、一応同好会として現在検討中なだよ。

  第一、伊月は何度も断ってんだろ、いい加減にしやがれストーカーやろう!」

 

「「またやっているのか、お前(お主)らは。」」

 

二重に(伊月と大川には一つ)聞こえた声に見てみれば、ドアの前で呆れたように立つ

芦山と道満の姿がある。最近、この行動がパターンとして形成されつつあった。

 

「また来たのか大川君、君も懲りないねえ、

  だけど亜矢部の言うとおり伊月は自分の意志でこっちを選んでいるんだ、

  無理矢理入部させようとするのはどうかと思うが。」

 

「無理矢理とは穏やかじゃない、僕は勧誘しているだけさ。」

 

「なら、こんかいはあきらめて帰ってもらいたい。

第一、   君たちも文化祭の準備で忙しい筈だし、私達も同じだ、今は練習に励んだ方がいいんじゃないかな。」

 

「・・・・・・・仕方ない、そうさせてもらうが、僕はあきらめないからね!!」

 

お前は気付いているのだろうか、構内の一部では変態と称されていることを・・・。

(ちなみに、俺たちがひろめてたりするけど。)

 

「ほれ、守護主が帰るのだからお主も去れ、お主がいるだけで話がややこしくなるからな。」

 

そういって手を振って追い出すように道満はクロウリーに言った。

 

「やれやれ、では晴明、またお会いしましょう。そうですね、次は博雅さんがいない時に二人だけで・・・それでは。」

 

俺に向けられた言葉ではないが、一瞬鳥肌が立つ台詞をはきながら(それを言って違和感がないのがすごいぜ)

クロウリーも去っていった。

 

「なんていうか、あの人が来るとその場もだけど、空気そのものが騒がしくなるな。」

 

雰囲気だけしか感知できない博人がそう言った・・・まったくもってその通りだけど。

 

「それよりも、さっさと始めよう、昨日みたいに遅くまで残れないし。」

 

「そうだな。」

 

芦山の台詞に俺たちは同意して作業を再開した。

 

「まったく、異国の者の考えることは理解できん。」

 

「何もあそこまで言わなくても良いのではないか?呪の話なら俺にも何度もしてくれたではないか。」

 

「ならお前は、俺がお前を置いて、あの男と長々としゃべり続けても良いというのか?」

 

「・・・いや、それは・・・。」

 

口ごもる博雅に晴明はどこか意地悪な笑みを浮かべる(それが似合うのが逆に嫌だろ)。

 

「俺といるのは嫌か?博雅。」

 

「・・・意地が悪いぞ、晴明。」

 

博雅の答えに晴明は笑った。

 

「お前は良い漢だ。」

 

・・・・・っつ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。

「あんたらそれ以上いちゃつくなら、別のところに行ってくれ!!」

 

もう、守護霊の仕事しなくていいから、俺の後ろでイチャつくな、馬鹿ップル!!

 

「だ、そうだ博雅。せっかくの守護主のご厚意だ、行くとしよう。」

 

「こ、こら晴明、またお前は守護主の仕事を・・・。」

 

とっとと行こうとする晴明に腕をひっぱられながら博雅が抗議する、

が所詮は馬の耳に念仏、道満や芦山も止める気もないし、とっとと消えてしまった。

 

「平和だな。」

 

ボソリと今までの様子を眺めていた芦山が呟いた。

守護霊達の事情に振り回される俺の平和はいつ来るのだろうか・・・・・・。

 

END

 

 

後書き

 

晴夜「これはいつからオリジナルになった?」

博人「一応パロディなんだけど・・・。」

由利江「どこがだ。」

晴夜「設定からして無理あるんだよなあ、第一、この無駄な長さ。計画性0だぜ。」

博人「原作を舞台に書くと、いろいろと設定が難しくなるんだよ。」

由利江「平安時代によりいっそう強くなるな。」

晴夜「今回の話の設定にも色々無理があるだろ、現代にしても所詮は変わらねえような

   気がするぜ。

大人しく夢枕獏様と純然たる陰陽師ファンに土下座した方がベストだ。」

由利江「書かなかった方がmoreベスト。」

博人「単語、おかしくないか?」

晴夜「まあ、いい。それより最初にやっぱいろんな注釈つけたのが間違いだと思う。」

博人「人物紹介だけなら良いんだけど、その紹介の中にはわかりにくい単語もあるから、

   それの説明とかな。」

晴夜「陰陽師なんて単語、少し前じゃこんなに知れ渡ってなかったもんなあ。」

博人「作者が説明もとめられたほどだからな、今でも本来の陰陽師の意味を

分かっていない状況が正しい。」

由利江「あと、蘆屋道満の存在だな。」

晴夜「問題だろ、小説・漫画、両方に出ていない筈だぜ、第一書き手がまだ一冊しか

読んでいないこの状態で、これを書くのが間違っている。」

博人「蘆屋道満が出ていたのは、ドラマだったからなあ。」

由利江「記憶が記憶だから、かなりの間違いが組み込まれているはずだ。」

晴夜「最後に出てきたクロウリーにも問題あり。」

由利江「出ても来ない奴をだすんじゃない。やはりパロディーじゃないな。」

晴夜「オリジナル性95%

博人「5%だけのパロディー!?」

晴夜「あれだろ、外国人で晴明みたいな奴がいないかと探したらしい。」

博人「結構、これがいないんですよね。悪魔払い師・エクソシストで最初は調べた

   んですけど、映画名が殆どで。」

由利江「怪物とかなら有名どころがおおいんだがな。」

晴夜「怪物が守護霊つーのもどうだよ、フランケンシュタインがうしろにいるのか?」

博人「守護霊になるのか?」

由利江「で、オカルト項目で調べて出てきたのがクロウリーだ。」

晴夜「万歳、インターネットの世界。」

博人「こんなのばかり調べていると、逆に頭がおかしくなりそうだったらしいですけど。」

晴夜「偏見はよせ、あまり活かせないくせに資料収集しまくって、歴史上の人物こんな事

   に使って良いのかよ。」

由利江「全員、実在していた人物だからな、ある意味とんでもないことだ。」

博人「容姿は全員、引用と想像だけど。」

晴夜「そりゃあなあ、一応肖像画とかは見たけど・・・苦しいだけだぞ、平安時代の絵で

   考えろつっても。」

由利江「クロウリーもそうだしなあ・・・。」

博人「俺が悪かった、やめようこの話は。」

由利江「なら、少し戻ってクロウリーの話でもしておこう。」

博人「クロウリーも実在した人物だよな?」

由利江「記録によると1875-1947に存在し、自ら黙示録の「獣666」を名乗り、

麻薬や性などの領域に於ける魔術研究に生涯を費やす。とある。」

晴夜「あと、登山家で詩人ともあるけど・・・よく分からねえな。」

博人「何はともあれ、書き終わったわけだ。」

由利江「結局は何が何だか分からなかったような気もするが。」

晴夜「もういいよ、あの守護霊達に巻き込まれなかったら。」

 

 

 

gallery-top