守護霊達の事情(1)
朝、太陽が昇り始めた頃、時間を知らせる目覚まし時計に不承不承ながらたたき起こされ、
朝食を食いながらテレビのニュースを見る。
“今日の降水確率は0%、気持ちいい青空が広がるでしょう”
天気予報のキャスターの言葉を聞き流しながら洗面所に行く。
どこにでもありそうな光景だ。
だが、リアルという言葉がそれに当てはまるかどうかははっきり言って断定出来ない。
リアル=実際に存在する様、現実的、実在的。
リアリティー=現実、実在、実在性。
その現実的なことをどこで確認するべきなのだろうか。
第一、 現実と言ってもどこが現実でどこが非現実なのかは、はっきりとしていないように
思える。目に見えないから、ふれることが出来ないから、それは非現実である、と言うが、
なら見える者には見えるが見えない者には見えない者、はどうなるのだろうか?
妄想、幻覚、見えない者はそう言った類で呼ぶだろう。
俺はそう考えながら洗面台の真ん前にある鏡をのぞき込んだ。
どこか寝ぼけたままの俺の顔、その後ろにあるのは果たして現実的か非現実か。
「何を呆けている、早く支度をしないと遅れるぞ。」
特定の人間にしか聞こえない声が聞こえてくると、これは俺にはリアルな世界となる。
たとえそれが、透けて向こう側の風景が見えようが、地面に足が着いていなかろうが、
世間一般で霊と呼ばれる存在であろうが、そこに実在する以上、否定のしようがない。
触れることは出来なくとも、視覚と聴覚は十分それらの情報を提供してくれる。
幽霊という存在を。
俺は仕方なく水を出し顔を洗い、服を着替えた。
鏡を見れば相も変わらずそいつは背後にいる。
「いちいち背後にいるな、気が散るだろ。」
俺がそう言うと、相手はとくに表情を変えることなく答えた。
「仕方あるまい、俺はお前の守護霊なのだから。」
「そうよ、せっかく守護霊してもらっているんだから文句言わないの。」
聞き覚えのある第三者の声に俺は更に気が重くなった。
「由利か。」
鏡越しに見えた妹の顔を確認し俺はため息をつく。
「そんなに文句言うなら、私と替わってくれればいいのに。」
替われるもんなら替わってやりたいよ。
「それは無理というものだ、由利にもいずれ決まった守護霊が就く。」
「私は晴明が良い。」
「・・・・・・行って来ま〜す。」
二人の会話を遮るように俺は家を出た。今日も一日平和であれ、俺の人生。