ただ今逃走中
お母さん、お元気ですか?
貴方の事だから、立派な思念体になっていることでしょう。
貴方の息子は立派に東京受胎を生き残りました。
ただ、悪魔にされた上に上着を盗られ、
上半身裸と全身タトゥーで、かつての東京を走り回る羽目になりました。
一歩間違えば犯罪者の様な気がします。
周りが悪魔だらけで助かります。
しかし、今後ろから銃刀法違反の外人から追いかけられていると、
無駄に運が良いのも問題ですね。
お母さん、トウキョウは怖いところです。
「俺がいったい何をしたー!!」
したあ したあ たあ たあ
「うるせえぞ。」
スイッチのある小さな部屋で叫んだ頼光の声が辺りに響き渡るのを、
耳を塞いだ仲魔はエコーが消えるまで黙り、
消えると同時にセイテンタイセがボソリと言った。
ここはカルパと呼ばれる本来の世界とは別の空間。
怪しい老人と淑女に言われ、一方的な魔人と戦ってはメノラーを手に入れつつ潜ってはいるのだが、
その第三階層でしたくもない再会をしてしまった。
赤いロングコートをなびかせ、白と黒の二丁拳銃、大振りの剣を背負い、
初対面からマントラ軍本営(旧サンシャイン60)から落ちる(飛び降りる)という非常識な事をしでかした男、
魔人の中でもかなり目立つ存在であるデビルハンターのダンテ。
そして、その何から何までド派手な彼と、現在鬼ごっこ中である。
「何なんだ、あの白髪頭!格好つけてもやっていることはシザー○ンやタ○ラントと同じじゃねえか」
ランチャーで撃ち殺してえ!などと物騒な事を叫ぶ頼光に、仲魔の三人が口を開いた。
「白髪じゃなくて銀髪です。」どうでも言い訂正をする幻魔クー・フーリン
「シザー○ンて何だ?」素直なツッコミをする破壊神セイテンタイセイ
「少し静かにされよ主殿。」ウンザリ気味に諫める魔神アマテラス
とはいえ、三人とて主人が怒るのも理解できる。
最初から非常識なことをしでかしまくりの“あの男”の事、まともな鬼ごっこであるはずがない。
後ろから寸分違わず打ち込まれる銃弾(「危ねえだろ!」の一言で終わらした主も主だが)。
捕まれば、一方的に攻撃し逃走、下手すれば瀕死。
そして入り口に戻され、最後にはスイッチまで戻される始末。
楽しんでいるのは鬼か悪魔か、向こうだけ。
いい加減飽きて欲しいと願わずにはいられないのだ。
「シザー○ンていうのはな、こう、あいつの剣ぐらいデカイ鋏をシャキン、シャキンといわせながら、
これまたしつこく、しつこく追いかけてくるんだよ。」
「そっちの方が嫌だな。」
想像してゲェとなるセイテンタイセイにウンウン頷く頼光。
「我には大して変わらないと思うがな、それよりもいい加減、天使に会うのはウンザリだ。」
捕まるたびに標的にされるアマテラスが面白くなさそうな口ぶりで言った。
無表情な彼の顔がより不機嫌さを表している。
「分かっている、俺だってこんな心臓に悪い鬼はたくさんだ。まだ坑道の鬼共が可愛い。
アイテムだってタダじゃないんだ、しかもよりにもよってアイテム内では高価な道反玉を消費しているんだぞ。」
「その割には、しっかり20個以上は確保してますね。」
クー・フーリンは心配するのはそこなのかと思いながら、アイテム袋から魔石をとりだしながら言った。
「だってリカーム持ちがいねえし、ここまで来て引き返したくないし、何故か金があったし。」
「前まで仲魔のLv上げに重点していたからな。」
「カブキチョウの帝王にならなかったのが不思議です。」
ここに潜る前、Lv上げと称してカブキチョウ捕虜所内を徘徊していたのを思い出す。
一時期は、此処にいる悪魔を全部狩ってしまうのではないかと思えるぐらいの時間を費やし、
捕虜所のナーガに複雑な目で見られていたのは、遠い記憶として仕舞っておくことした。おかげで気が付けば資金面は豊富だ。
「とにかくだ、この階の地図も大体分かったし、今度こそ逃げ切ってみせるぜ!」
トールの魔法発動時のようなポーズをとりながら頼光は高らかに言った。
「口だけにならんでおくれ、今度は天使にあったら張り手をしそうなのでな。」
サラリと言ったアマテラスの言葉に頼光の方がガクリと落ちる。
「出鼻くじくような事言うなよ、アマテラス。」
「それは、すまぬ。」
そう言ったアマテラスの顔は微笑を浮かべており、謝罪が本気でない事を表していた。
「ま、こんなゲームさっさと終わらせるからさ、天使よりも、直接の原因をはり倒しなよ。」
そう言った本人が、一番に殴りそうな少々凶暴な笑みを浮かべている。
「そうできるよう、よろしく頼もう。」
「おう。」
「俺も存分にやらせてもらうぜ大将!」
「私も、ここで費やしたもの全てを払って頂く覚悟でやらせて頂きます。」
セイテンタイセイとクー・フーリンが自分たちの武器をしっかり握りしめて言った。
「よっしゃ行くぜ!」
気分も盛り上がり、スイッチの部屋を出る。
「…やっぱり、いるな。」
向かい合う形で、向こう側にある部屋の入り口で仁王立ちしている男に、思わず呟いた。
「派手なんだか地味なんだか。」
そう言いながら、頼光は数歩足を進めると、向こうもゆっくりと足を向ける。
ジワジワと追いつめるような歩調に怒りを覚えるが、今は自分を落ち着かせるほうが大事だ。
性格はともかく腕は超一流、隙を見せたら即アウト。
物陰から伺い赤い色を探しているうちに、辺りの空気がザワザワと騒ぎ出す。
通路の影から男が現れるのと同時に、頼光達は走り出した。
鬼ごっこは、もう暫く続く。
後書き
何に謝罪すべきだろうか?オチがない事?ダンテへの暴言?笑いが甘い事?
何にしても中途半端だったかなあ、ダンテと絡めた方が、ギャグは出たかもしれない。
しかし、あのダンテが近づくに連れて大きくなっていく、ダンテのテーマソングは何なんだろう、緊張感は出るけど。
とりあえず、思った事を彼らに代弁して貰いました、アマテラス様、思いがけず良い性格になってくれたなあ。
ああ、後書きも中途半端だ(汗)。