幻想パーティー

それは、一つのつぶやきから始まった。

 うるおいがない。」

ボソリ、と言ったのは熊や風来坊といった、失礼なあだ名をつけられるヴィクトールだ。

その一言に、他のメンバーの動きが止まり、彼に視線が集中する。

フウッ

と、解放軍リーダー、オウカ・マクドールがため息をつき、きびすを返した。

「さて、行こうか。」

ガシッ

「ちょっと、待て。」

オウカの一言に動き出そうとした流れが、ヴィクトールがオウカの肩に乗せた手と一言により再び止まる。

「何だい?」

仕方なさそうに、僅かに眉間にしわを寄せ、オウカは聞いた。

「仲間が元気がなさそうな時は“どうした?”の一言ぐらい、かけてやるのが、

 リーダーの思いやりだろ。」

「・・・・・・・・。」

その言葉に、しばらくの沈黙後、オウカは爽やかな笑顔を向けた。

「どうかしたの?ヴィクトール、元気がないみたいだけど?」

「うわあ、胡散臭い。」

ヒュン ドガッ

リーダーに申し分ない、Lvのオウカの棍棒がヴィクトールの頭を直撃していた。

「ああ。」

黙ってみていたフリックが思わず、声を上げる。

「で、取りあえず、聞いておくが、さっきから何なんだ。」

地面に沈んだままのヴィクトールに、ため息をつきたりていない顔でオウカが声をかけた。

「そう、それだ!」

ガバッと、先ほどのダメージから復活し、ヴィクトールが口を開く。

「何で、このメンバーに女がいないんだ!」

ヒュン ドガッ

再び、熊は撃沈された。

「オウカ、それ以上やると、馬鹿になるんじゃないのか?」

見かねたフリックが声をかける。

「今、充分、馬鹿な発言をした、これ以上、馬鹿になりようがない。」

眉間にしわを寄せ、そこに手を当てながらオウカは答えた。

「いってえ〜、二回は流石にきついぜ。」

「二回くらって、もっていれば十分だろ。」

フリックに引っ張られながらヴィクトールが立ち上がる。

「でも、見ろ!この味けないどころか、ある意味、異様な集団を!」

現在のメンバー

前衛・ヴィクトール/フリック/クロミミ

後衛・オウカ/ヤム・クー/クライヴ

「何が不満だ?」

全部!

オウカの一言にヴィクトールが即答した。

「どう考えても、後方支援いないだろ!」

オウカはソウルイーター以外の紋章は着けられない。

ヤムとクライヴの魔力も高いとは言えない。

前衛の三人も攻撃主体でフリック以外は魔力は低い。

「だから、フリックに着けようとしたら、嫌がるんだよ。」

「当たり前だ!俺のアイデンティティーに関わる。

“青雷”のフリックが“癒し”のフリックになってどうする。

「もろいアイデンティティーだな。」

「そんなことより、だ!」

「そんなことで良いのか?」

ヴィクトールの台詞に、オウカの方が思わず言ったが、ヴィクトールは話を進めた。

「後方支援=回復系=癒し系!癒しはやはり女性キャラだろ!」

「それは、一つ間違えば男女差別の台詞になるぞ。」

「男しかいないこの状況下、女も参戦させないと、それ自体が差別だ。」

「差別観を語るのは、やめておいたほうがいいですよ、厄介ですから。」

二人の会話にヤムが忠告する。

「つまり、ここに女性陣がいないのが、不満なのか?」

「そう言うことだ。せめて紋章使いは必要だろ、回復者として、

 それに風呂に入ってもドキドキ感がない。」

グッと拳を握りしめて、ヴィクトールが言った。

「建て前と本音を同時に語るな、ドキドキ感味わう前に、地獄巡りだと思うが。」

城の女性陣を思い浮かべながらオウカは返す。

「しかし、俺も回復援護型はやはり必要だと思うが。」

風呂はともかく、フリックも気になっていた部分ではあるので、声をかける。

「う〜ん。」

確かに、気にしていた部分でもあるので、オウカも少し考えた

「・・・・・じゃあ、へリオンさんでも。」

へリオン、御年70歳。

「潤いどころか、枯れる!

ヒュン、ドカッ

「言葉遣いは注意しろ。」

目上、尊敬する者には、礼儀をわきまえているオウカの攻撃がヒットする。

「じゃあ、ヴィクトールかフリックの変わりに、バレリアさんを。」

「何で俺!?」

関係のない自分の名前を言われ、フリックが慌てた。

「俺もか!?」

「だって、お前、攻撃避けられるどころか反撃食らって、HP多いのに一番減りが

 早いし。」

バレリアは短距離攻撃型だし。

「クロミミは!?」

「俺に言わせれば、むさい男が風呂にはいるより、何倍も癒しだ。」

「ああ。」

きっぱり言い切ったオウカにヤムが微妙に納得したような声を出す。

「後方支援、回復型は?」

「仕方ない、クライヴの変わりにキルキスでも・・・ごめんねクライヴ。」

「・・・・いや。」

別に、どうでもいいことだったので、クライヴはあまり気にしていないといった様子だ。

「そこでクレオぐらい言えないのか?」

「わざわざ、城まで泳いでくる根性のあるエルフだ、クリティカルは1000値代だぞ。」

「いや、そうじゃなくて。」

女性キャラを入れる話が、逸れた。

「じゃあ、クロミミは風呂にはいるときだけ入れたらどうだ。」

フリックが提案する。

クロミミは攻撃力・防御力・魔力ともに特筆すべきところは特にない、スピードも遅めだ。

「・・・・・仕方ない。」

ため息をついて呟くオウカにヴィクトールとフリックがホッとするが。

「じゃあ、前衛、バレリア・グレンシール・アレンで。

「総変え!?」

「んで、紋章後方支援はキルキスで。」

それじゃあチーム編成のために一旦戻るか、とまたたきの鏡をかかげようとしている

オウカをフリックとヴィクトールが止めているのを、クロミミとクライヴは外されても特に気にすることなく、

ヤムも別に深く気にとめることもなく、青い空を眺めていた。

 

後書き

先に弁解させて頂きます、私はビクトールもフリックも好きですよ(真剣)

ほぼ実話と言っても良いです。

本当は前衛:バレリア・クロミミ・ロニー・ベル

    後衛:オウカ・ヤム・クー・キルキスでいこうとしたのに

ラストで、フリックとビクトールがきてしまったので、仕方なくクロミミと、ベルは諦めました。

それでもヤムを連れて行ったのは趣味だよなあ。

ビクトールが馬鹿で、フリックが不幸で申し訳ありません。

 

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