聖なる獣
「この世に、真の正義なんてないわ。
だけど自分の正しいと思うものを信じることは出来る。
あなたは、あなたの信じる正義を見つけなさい。」
イシス様はそう言って、私にマスターをつけた。
甲斐 刹那
世界の運命を握るメシアの一人。
欲望と快楽をむさぼり
世界を堕落させる
それが魔界だと聞いた。
それが敵だと聞いた。
倒すことが正義だと考えた。
力なき者は倒される、それが掟のように戦い破れた後、スフィンクスという珍しい存在
のためイシス様の貢ぎものとされ出されたのは果たして幸運なのか屈辱なのか。
だが、イシス様は優しく接してくれた。
魔界というところへの考えがどこかで歪み始めた。
イシス様は私の考えに否定も肯定もしなかった、ただ教えただけ。
何を信じればいいのか私は分からなかった。
そんな私を見て、ある日イシス様は言った。
「あなたに素敵なマスターをつけてあげる、きっとあなたも気に入るわよ。」
そして誰かに電話をする。
電話の相手は暫くして現れた
イシス様のいつでも良いという台詞から、思っていたより早く。
デビルと人間のハーフ・デビルチルドレン、世界の運命を握る一人。
常にメシアのパートナーとして存在する地獄の番犬ケルベロスを連れた、
銀色の幼いメシア。
「イシス、何か用か?」
魔界の一部であれ治めるイシス様に対し、そんな態度で彼は尋ねる。
「このスフィンクスをあなたにあげるわ。大事に育ててあげてね。」
その時、初めて彼と視線があった。
戸惑いながらも何かを決心し、先へ進もうとする輝きが、そこにある。
彼は戸惑っている私に笑みを浮かべ膝をつき手をさしのべた。
「俺は甲斐 刹那だ。よろしくな。」
「私はスフィンクス、コンゴトモヨロシク。」
抱き上げられ刹那は見上げるように私を見る。
「名前は・・・そうだな・・・。」
考える間、刹那はジッと私を見た、何かが私の中で疼く。
「ファ、ラオ・・・ファラオが良いな。」
「ファラオ。」
刹那の言った言葉を反復すると、刹那が笑った。
「素敵な名ね、王の総称よ。」
様子を見守っていたイシス様がそう言った。
「ナガヒサのスフィンクス達より、強くなるさ。」
どこからくる確信なのか刹那はそう言って私をおろした。
私は彼の仲魔となった。
悔しいことはある。
同じスフィンクスでも、向こうのランクが上の場合、どうしてもつらい。
刹那のパートナーであるクールの方が圧倒的に有利だ。
届かない力がもどかしい。
それでも確実に強くなる。
エンブレムの力を借りて、徐々にランクは上がっていく。
だけど、クールに追いつくことは出来ない。彼は確実に強くなる。
自分のパートナーを護るために。
決して私は刹那の何かになることは出来ない。
クールのようなパートナーとしての絆も、ルシファーのような血の絆も私にはない。
私は、彼らのように刹那に近づくことは出来ない。
だから強くなる。
強くなり、彼の側にいられるように。
彼を守れるように。
私の信じるものは、あなたです―――――――――――――――――――刹那。
「私はネオスフィンクス、コンゴトモヨロシク。」
時間を超え、新たな時代であなたを護ろう。
「ああ、よろしくな、ファラオ。」
そして、あなたの魂を永遠に護ろう・my master。
それが私の正義なのだから。
後書き
倉庫から引き出してきた作品。何故にスフィンクスなのか自分でも謎。
アニメでスフィンクスが出たし、元々好きなデビルだったからだとは思います。
永久が連れていたのでスフィンクスは天界関係なのではないか、となると、
敵とはいかないまでもデビルチルドレンに連れられるのはどう感じるのか、と考えて
書いたのではないか、と振り返って思います。
何分、過去の物なので、書いた理由は曖昧。