クリスマスのふたり(『祈り』三上&優)
by P.蘭◎ さま

クリスマスプレゼントいただいちゃいました。
なんだかシアワセそうなふたりだな〜
でもね、本編お読みいただいた方はご存知でしょうが
このふたりはラブラブなクリスマスを過ごしたことがないんですよね。
(ほら、年表で確認してみてごらんなさい?笑)
そこのところ,P.蘭◎さまもご確認なさったとか(笑)
それでも妄想ふくらませてラブラブ絵を描いてくださいました!
「こりゃ〜イラストにぴったりくるSSを書かなあかんなぁ」と
管理人もラブラブ話を書こうと頑張ったのですが
あぁやっぱりこのふたりは難しい!!!

なので、素敵イラストでたっぷりふたりのラブラブにあてられてしまった方は
火照り冷ましにズズズイっとスクロールしてみてください。
ちょっと切ない優視点のショートストーリー。
本編の21話と22話の間のお話です。


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眠れない夜。

ベッドの中で何度も寝返りを打った。
まだおさまらない心臓の音が、ドックンドックンと身体中に響きわたり、睡魔をはるか彼方へと追いやってしまう。
ドアの向こう、廊下の先にいるはずのあの人へと、意識が向いてしまう。
そしてまた大きくなる鼓動・・・ずっとその繰り返しだ。
布団にくるまって自分の身体を抱きしめれば、思い出されるのは力強い抱擁。
そして・・・・・・ほんの一瞬だけ触れた、寒さで少しかさついたくちびる。
指先で自分のくちびるを辿ってみて目を閉じる。
あの時、先輩の顔がどんどん大きくなって、視界に入りきらなくなった瞬間・・・・・・
「うっわ〜〜〜〜」
ふたたび寝返りを打った。
本当に・・・キスしたんだ・・・・・・大好きな先輩と・・・・・・








出会ってから1年。プラス一緒に暮らし始めて8ヶ月。
楽しいことばかりだったわけじゃない。
時々思い出したように先輩の口から漏れる「はるか」という名前を聞くたびに、身体の奥底がズキンと痛んだ。
今は亡きぼくの姉―――そして先輩の彼女だった人。
もし彼女が生きていれば、先輩とぼくがこんなことになるはずはなかったのだ。
だけどもう彼女はこの世からいなくなってしまって、先輩とぼくがここにいる。
残されたもの同士が、一緒に暮らしている・・・・・・








膨らんで爆発寸前だった風船がシュルルンと萎んでいくように、ぼくの満たされ浮かれた気持ちも萎んでゆきそうになる。
もしかして・・・・・・と思い当たることがないわけでもない。
さっきまでとは逆の、ネガティブな気持ちを振り払うように寝返りをうった。
扉の向こう、すでに眠っているであろう人に、確かめたくなる。







どうしてキス・・・したの・・・・・・?







今すぐ飛び起きて部屋を飛び出し、暖かかった胸にもう一度飛び込みたくなる。
だけどそんな勇気はこれっぽっちもなくて。





だから・・・いいよね?
クリスマスイブの夜くらい、夢のように幸せな気持ちを抱いて眠っても。
真意はいつかきっと明かされる。
あのキスの意味も、あの抱擁の意味も。
だから眠ろう。
夢のようなひとときを胸に抱いて。
そして夢の世界で笑い、祈るんだ。
いつかきっと、溢れんばかりの幸福でいっぱいのクリスマスを過ごせるように。