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20世紀の遺跡U

踏み込み温床について

      ★まず、温床ってなあに?

 種をまいて発芽させるには、水と温度が必要です。温度は、種類によって違いますが、トマトで25℃から30℃位で発芽します。春先に苗を植えようとすれば,冬に種をまき苗を育てることになります。雪の降るような日は、ビニールハウスの中でも5℃以下になります。そこで暖かいベッドを作ってあげます。これが温床です。通常、電熱線を使い暖めます。

      ★では、踏み込みってなあに? 

 温床を暖めるのに、電熱線を使わずにワラの発酵熱を利用する方法です。温床を作るのにたくさんのワラが必要な上、かなりの労力を要します。これも全国的にお目にかからなくなった、まさに20世紀の遺跡といったところでしょうか。しかし、やめるには惜しい良い点がありますので、当農園ではこの方法を採用しています。

 踏み込み温床を作っている様子です。    写真をクリック!

 ワラに水を十分含ませ、小さく切っていき、米ぬかと混ぜ合わせ、足で踏んでいきます。ワラが発酵し、自然と発熱します。水とぬかの量により、温度を調整するのですが、間違うと70℃位まで上がってしまいます。25℃から30℃に合わせるのはカンが頼りです。ほら、バッチリ30℃になりました。

      ★電熱で暖めるのとどこが違うの?

 1、電熱の場合、例えば28℃に設定すれば夜も昼も28℃に保ち続けることが出来ます。しかし、踏み込みの場合、外が寒くなったからといって、気を利かせて温度を上げたりしてくれません。気温によって、徐々に暑くなったり寒くなったりするわけです。逆にこれが良いのです。ここ兵庫県豊岡市は、「弁当忘れても傘忘れるな」という言葉があるほど天気に恵まれない場所です。特に冬場の日照は弱く、雪の日も多いです。そんなお日様の当たらないような日に水と温度だけ与えるとどうなるか。ご想像通り、ひょろひょろと伸びたもやし苗が育ってしまいます。こんな苗は、お日様がちょっと照りつけただけでしおれてしまいます。しおれたからと水をやれば、またひょろひょろと伸びます。踏み込みで育てた苗は、良い天気の日には、お日様の光と適度な温度によって葉っぱを広げて成長し、雪の日には、葉っぱを閉じてじっと耐えています。こうしてがっしりとした色の濃いそして寒さにもある程度耐える強い苗が育つのです。
 2、踏み込み温床は、ある程度の日数がたつと温度が低くなってしまいます。そこでもう一度米ぬかを混ぜ合わせて2回目の発酵を促します。これを「切り返し」といいます。切り返しによって温度はまた30℃に戻ります。この切り返しを何度か繰り返します。実はこの作業は堆肥を発酵させる手順と同じなのです。つまり、踏み込み温床は、温床として活躍する一方で、同時に堆肥も作り出しているわけです。やがて育苗期間は終わり、温床は苗をすべて送り出し、発酵したワラだけが残ります。夏が過ぎ、秋も深まったころ、このワラは、土のように形を変え、見事な堆肥になっているのです。当農園では、これを土と混ぜ合わせたものを、苗土として使っています。畑に定植するまでの間、ほかの肥料は一切使わず、この堆肥の養分だけで苗はしっかり育ちます。驚くべき堆肥の力です。

切り返しをし、やがて堆肥となる様子です。     写真をクリック!

イナキで干すからワラが取れる。→ワラがあるから踏み込み温床が出来る。→踏み込み温床のおかげで良い堆肥ができる。→この堆肥があるから良い野菜が育つ。

     これが当農園が20世紀の遺跡にこだわり続ける理由です。

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