古泉の乳首に情熱を持て余したどうしようもない女4人による乳首弄り本。
光サイドは夏の暑い日にうっかり氷プレイってみました。

 

 

 

夏と氷と外れる思惑/Preview

 

 

 

 なにしろ、暑い日だった。

 そりゃそうだ。時期は七月中旬、あと少しで夏休みに突入する頃合だ。一年で最も暑い季節。だらだらと勝手に流れてくる汗を拭う気にもなれん。まだ幸いなのが、こうしてSOS団の連中で下校している今の時間が、陽が暮れてきた夕方ということだろうか。これが真昼間だったら、外を出歩く気にもならん。

 そんな茹だるような猛暑にもかかわらず、団長殿は相変わらずのハイテンションで朝比奈さんを引きずり回して困らせ、当然のように汗ひとつかいていない長門にちょっかいを出したりと、楽しそうに動き回っている。ただ下校してるだけだってのに、あそこまで騒げるのは一種の才能かもしれんな。目下、最初に巻き込まれる最大の被害者である朝比奈さんには気の毒なところではあるが………。

 暑苦しいネクタイを取り去って、シャツのボタンも二つほど開けている俺とは対照的に、きっちりと制服を着込んだ男が、三人娘を微笑ましく見守りながら歩いている。言うまでもない、古泉である。こいつは長門と同様に、後ろから見る限りでは暑そうにも見えなければ汗もかいていなさそうだ。おまえは宇宙人並のスペックを搭載してるのか? 実は俺と同じ人間じゃなかったのかよ。と、疑いたくなるほど、その顔は涼しげなもんだった。

 ………なんだ。暑がってるのは俺だけか。

 そこで、俺の視線に気づいた古泉が首を回してこっちを見た。

「なんだかお辛そうですね。気分が悪いのですか?」

「悪いに決まってる。おまえら、よくこの暑さで平気だな」

「暑いのは確かですが、それを愚痴っていても改善は見込めませんよ。心頭滅却すれば火もまた涼し、です」

「あー、もういい。おまえのツラを見てるだけで暑苦しい」

「ひどい言い草ですね」

 古泉は少しばかり困った顔で笑って、首を傾げた。こういう仕草をするときのこいつは、その表情の通りにちょっとだけ困っている場合が多い。問題はないけど、その言われ方は引っかかるな、といった具合だ。この程度は茶飯事なのであまり気にしない。

 そこで、この暑さにも負けずハイスピードで先頭を切っていたハルヒがいきなり動きを止めた。

「ねえ、ちょっと」

 小脇に抱えた朝比奈さんの頭ごと背後を振り返る。朝比奈さんはちょっぴり涙目でされるがままだ。おい、あんまり困らせるなよ。

「今日はさすがにあっついわね。コンビニでアイスでも買わない?」

 ハルヒにとってもやはりこの気温は堪えるものらしい。見れば、道沿いにぽつりとローソンが立っていた。客入りはとても期待できそうにない場所と店構えだが、店内は意外と賑わっている。どうしようもない猛暑に一時の避難所を求めた学生たちの溜まり場になっているようだ。

「買いたいなら買ってこいよ」

「あんたは? 暑くないの」

「暑いに決まってるだろ。だが金がない。どうしようもない自然の摂理だな」

「あんたの空しい財布事情に自然界を当て嵌めるんじゃないわよ。………もう、しょうがないわね」

 ようやく朝比奈さんから離れたハルヒは、通学鞄から財布を取り出した。朝比奈さんはほっとして髪や襟元を直している。その仕草に癒されていると、ハルヒがびしりと指を突きつけてきた。

「今日だけ、特別よ! あたしがみんなのアイスを奢ってあげるわ。寛大な団長に感謝しなさい」

 な、なんだって?

 などと、大仰に驚きたくなるくらいには意外な発言だった。あのハルヒが―――金欠だと知っていて、毎度毎度俺に容赦なく喫茶代を払わせる鬼の団長が、みんなのアイスを奢るときたもんだ。