イレズミ/タニザキジュンイチロウ
刺青/©谷崎潤一郎
画:へる

やっぱ尻はこんくらいデカくないとな♪

谷崎といえば、仕事で昔よく配達に行っていた、近所に住んでいるおばあさんを思い出します。
そのおばあさんの家には書庫があるという話を聞き「羨ましいです」と言った私に、
おばあさんは「本が好きなんか?」と尋ねてきました。
私が「はい」と答えると「最近どんな本を読んだ?」と聞かれたので「谷崎が面白かったです」と答えたところ、
「あんなエロ作家の書くもんなんか読んだらアカン!」とたいそう怒られてしまいました。
お歳を召した方が『エロ』という言葉を使われるのを初めて聞いたので、大変新鮮に感じました。
ところで、この絵ですが、間違い探し状態になってしまいました。
小説の最後の一節を引用してあるのですが、この時女は刺青の発色を良くするために入った風呂上がりで、
化粧などしていないはずです。目尻に入れた紅は私のアレンジです(髪も濡れてないし)。
それから一番重要な『刺青』ですが、これは小説には「巨大な女郎蜘蛛の形象を具えて〜」とあります。
が、ここに描かれているのは明らかに女郎蜘蛛ではありません。
資料がなかったので、仕方なくタランチュラかなんかそのあたりの南国産巨大蜘蛛を描いてしまいました(苦笑
でも、光線の感じは朝日っぽさが出せたのではないかと自分では思っています。
光線といえば、普段描き慣れているのと真逆に光を当てたので、むちゃむちゃ苦労しました。
手癖ってあるんだなあと深く実感。
それから、刺青に隠れて見えませんが、肩胛骨が色っぽく描けたのも、自分なりに満足しています。

2001 5 14