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この詩編は、実は、「王のための詩編」です。イスラエルの王は、自分の力によって王になったのでもなく、国民から選ばれて王になったのでもありません。王は神に召され、神によってたてられて王となったのです。だからこそ、王は自分の思いの通りに国を治めてはならないのです。神の御心に適った裁き（正義）を行い、神の恵みを現わす御業をなすことが求められるのです。そのためにも、上記1節の聖句のように、いつも祈る必要があるのです。そして、神はその祈りに答えて、実際に、必要な知恵を与えてくださるのです。
この詩編は「ソロモンの詩」と記されていますので、そのソロモンのことで言えば、彼は、ひとりの赤子を巡って、その子の親権を争っていた二人の女性に対して見事な裁きをしたと、と列王記上3章には記されています。そしてそれをなし得たのは「神の知恵が王の内にあって、正しい裁きを行」(列王記上3:28)ったからである、とも記されているのです。そのように、いつも、神が必要な知恵と裁きとを与えてくださるのです。ですから、その神の御前に遜ることが大切なのです。
それは何も、かつてのイスラエルの王にだけ言えることではありません。わたしたちキリスト者も皆同じです。わたしたちも自分の力や人々の推薦によってキリスト者になったのではありません。主によって召され、聖霊の導きによってイエスこそがキリストであるという信仰を与えられて、キリスト者とされたのです。そしてその信仰生活を健やかに送れるように、神はいつも、御自身と復活の主であるキリストから出る聖霊によって、わたしたちを導いてくださっているのです。その御霊の導きを得て、十字架と復活の主を仰ぎ、その主をこそ主とする信仰生活を、わたしたちは送ってゆくのです。
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