|
この詩人に敵対して、この詩人をさいなみ、悪を行う者は、自分たちのしていることについて、「見抜かれることはない」(6)、「我らの謀は巧妙で完全だ」(7)と豪語しています。というのも、彼らのしていることは、匿名性の陰湿な誹謗中傷であったからです。
4∼5節にはこうあります。「彼らは舌を鋭い剣として/毒を含む言葉を矢としてつがえ/隠れた所から無垢な人を射ようと構え/突然射かけて、恐れもしません」。「舌」とか「毒を含む言葉」ということで分かるように、この人たちは、武力や暴力でもって攻撃するのではなく、言葉による攻撃をしかけてくるのです。上記のように誹謗中傷の類です。しかも、皆に分かるような仕方で攻撃するのではなく、「隠れた所から」「突然射かけて」(5)来るのです。匿名性を持った攻撃です。今で言えば、SNSで名前も名乗らずに、罵詈雑言を語り、相手を完膚なきまでに叩きのめす行為に似ているでしょう。聖書学者によっては、これは、呪術の類で、呪いの呪文などを口にしているのではないかという人もいますが、そうかもしれません。
しかし、わたしたちは忘れてはなりません。「神は彼らに矢を射かけ/突然、彼らは討たれるでしょう。/自分の舌がつまずきのもとになり、見る人は皆、頭を振って侮るでしょう」（8∼9）とあるように、然るべき時が来たら、神から相応の報いを受けることになるということを。人には見えてなくても、神は一切をご覧になっているのです。すべては、神の光によって照らし出されることになるのです。必要なことは、その主なる神を覚えて、主を仰ぎ見、主の言葉に聞くことです。「心のまっすぐな人は皆、主によって誇ります」(11)とあるように、主に心をまっすぐに向ける者こそ、幸いを得るのです。
|