あなたを生かす聖書の言葉

2025年5月25日(投稿)

今週の聖句    詩編63

「今、わたしは聖所であなたを仰ぎ望み/あなたの力と栄えを見ています。」

(詩編63:3) 

この詩編の1節の説明書きが正しければ、この人は、今、敵に追われて「ユダの荒れ野に」いるのです。ならば、上記3節の言葉は、今、見ている光景ではなくて、聖所でのかつての経験を思い起こして、その時の感動、喜びに打ち震えながら語った言葉である、と言って良いでしょう。この詩人はすぐ前の2節で、「わたしの魂はあなたを渇き求めます。/わたしのからだは…水のない地のように渇き果てています」と語っています。魂とからだとは、要するに全存在ということですが、自分の全部をもって主なる神御自身を渇望しているのです。聖所での主との出会いがどれほどの喜びと力を賜うかを知っているからこそ、そのことを繰り返し味わうためにも、主を慕い求めるのです。

そのことは、今この人が見ているのは荒れ野であり何も無い荒涼世界ですが、その中でも「あなたの慈しみは命にもまさる恵み。/わたしの唇はあなたをほめたたえます。/・・・わたしの魂は満ち足りました…わたしの唇は喜びの歌を歌い/わたしの口は賛美の声を挙げます」(46)と歌うことできているということ、更には「床に就くときにも御名を唱え/…祈りを口ずさんで夜を過ごします」(7)と言うことができるということからも、明らかです。聖所で仰ぎ望んだ主が力と栄えをもって臨み給うておられることを信じているからこそ、そのように賛美と祈りの生活が、どこにあってもできるのです。

「いかなる境遇に置かれるようになっても、神は神であり、神の子は神の子である」と語っている人がいます。わたしたちが置かれている状況が変わっても、神はわたしたちの神として臨んでくださり、わたしたちは神の子とされ続けるのです。その恵みの事実の不変であることを信じればこそ、わたしたちも、ますます主を慕い求め続ける生活を送るのです。

京都大宮教会 牧師 渡邊宣一

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