あなたを生かす聖書の言葉

2024年12月1日(投稿)

今週の聖句    詩編40

「わたしの神、主よ/あなたは多くの不思議な業を成し遂げられます。/…わたしたちに対する数知れない御計らいを/わたしは語り伝えていきます。」

(詩編40:6) 

「主よ、走り寄ってわたしを救ってください」(14)と、この詩人は訴えます。当時、高貴な人が走るということは、その威厳、尊厳を損なうことであったと言われていました。ですから、神にそのことを願うこと自体が、不遜なことでした。この詩人はそのように願わずにおれないほどの、緊急かつ危険な事態の中に居たのです。「心挫けています」(13)ので「急いで…助けてください」(13)、「速やかに来てください」(18)と嘆願するほかなかったのです。

18節の「主よ…わたしのためにお計らいください」は、原文は過去形であったと言われています(実際、口語訳聖書は「主はわたしを顧みられた」と過去形で訳しています)。走り寄ってわたしを救ってくださいという不遜な願いであるにも拘らず、神はこの人を御計らいくださったのです。上記聖句6節に「わたしたちに対する数知れない御計らいを/わたしは語り伝えていきます」語らずにおれないほど、神はこの人を顧みてくださったのです。その顧みの豊かさは、7節の「耳を開いてくださいました」という言葉からも分かります。これは、奴隷が主人の慈愛の故に終生仕えることを申し出て受け入れられたとき、今で言うピアスをつけて貰ったことを言っている言葉だと言われています。そのような願い出をするほど、豊かな顧み、御計らいを賜わったのです。

主なる神は、わたしたちを罪から救い出し、神の子らとしてくださるために「走り寄って」(ルカ15:20)くださる神です。御座に座し給うままではなく、御子イエス・キリストにおいてわたしたちの所に降って来られて(走り寄って)十字架に掛かり、罪の赦しを与えてくださっているのです。わたしたちも、その主なる神の特別なる御計らいを、語り伝え続けるのです。

京都大宮教会 牧師 渡邊宣一

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