あなたを生かす聖書の言葉

2024年10月13日(投稿)

今週の聖句    詩編34

「味わい、見よ、主の恵み深さを。/いかに幸いなことか、御もとに身を寄せる人は。」

(詩編34:9) 

日本基督教団式文の聖餐式の部分を読んでみると、上記聖句の「味わい、見よ、主の恵み深さを」という言葉は、配餐直前に語られる聖句の一つに入っています。そのことは、主の恵み深さを、具体的に知ることができるのは、何よりも聖餐に与ることにおいてである、ということでありましょう。御言葉の説教に基づいて執行される聖餐のパンと杯に与ることによって、わたしたちは主のものとされており、主イエス・キリストと一つなるものとされているということ、即ち、わたしたちの「命は、キリストと共に神の内に隠されている」(コロサイ3:3)という恵みの事実を知ることができるのです。そして、これにまさる幸いはありません。

この詩人は、勿論、聖餐に与ることはできていませんが、様々な経験を通して、主が「脅かす者から常に救い出してくださった」(5)ことを知って、12節以下で、後進の者に「主は…苦難から常に助け出される・・・救ってくださる」(1819)と勧めています。この「助け出される・・・救ってくださる」という字は、ひったくるようにして助け出し、救い出すというニュアンスの字であると言っている人がいます。その言葉が示すように、 十重二十重 ( とえはたえ ) に罪の力に囲まれているわたしたちを助け出すために、神は独り子をお遣わしになり、更には十字架におつけになって、罪の支配からわたしたちを贖い出してくださったのです。「全能者が人間の場所を奪取し、それによって堕落と懐敗の領域を改めて聖所化した」(熊野義孝『教義学』)のです。その事実への信頼をもって聖餐に与るとき、神の内に永遠の命を持っているという最上の幸いの内に、自分が居ることを知り得ます。「味わい、見よ、主の恵み深きを」という言葉に促されて、神が御子を賜うほど愛し給う恵みの事実に、改めて感謝したいものです。

京都大宮教会 牧師 渡邊宣一

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