あなたを生かす聖書の言葉

2024年4月7日(投稿)

今週の聖句    詩編16

「あなたはわたしの魂を陰府に渡すことなく/あなたの慈しみに生きる者に墓穴を見させず/命の道を教えてくださいます。」

(詩編16:10〜11) 

「主はわたしに与えられた分」(5)の中で、「分」と訳されている字は、普通は「嗣業」と訳される字です。「嗣業」とは「本来は賜物を意味し…相続財産、特に相続地を指す」(聖書巻末の「用語解説」による)言葉です。そのことから言えば、この5節は「主はわたしが相続すべき地」ということであり、更には「わたしが相続したものは主ご自身」ということであります。

かつて、イスラエル十二部族がカナンに入ったとき、それぞれの部族は然るべき土地を相続しました。それは「測り縄は麗しい地を示し、わたしは輝かしい嗣業を受けました」(6節)とあるように、御心に適ったことでした。しかし、その十二部族の中で、土地を嗣業として得なかった部族がいました。それはレビ部族です。「同胞の中で彼には嗣業の土地がない。主が言われたとおり、主が彼の嗣業である」(申命記18:2)とあるとおりです。この最後の文章は、「主はわたしに与えられた分」という言葉を三人称単数に言い換えただけで、内容としては同じことを言っています。

レビ部族は祭司の部族です。そして、わたしたちキリスト者も祭司であります。マルチン・ルターが、わたしたちキリスト者のことを「万人祭司」と言ったとおりです。わたしたちも主を嗣業として受け継いでいる者たちなのです。主を嗣業として受け継いでいるということは、主と一つであるということです。主が絶えず右いましてわたしたちを守ってくださっており(8節参照)、更には陰府にも落ちることも墓穴に留まることもなく、主が復活者として歩まれたように、わたしたちも復活の命を得る道を歩む者とされているのです。そのことを覚えればこそ、「あなたはわたしの主。あなたのほかにわたしの幸いはありません」(2)と言って、主を称えていくのです(7)

京都大宮教会 牧師 渡邊宣一

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