あなたを生かす聖書の言葉

2024年1月14日(投稿)

今週の聖句    詩編9

「わたしは心を尽くして主に感謝をささげ/驚くべき御業をすべて語り伝えよう。/いと高き神よ、わたしは喜び、誇り/御名をほめ歌おう。」

(詩編9:2〜3) 

「驚くべき御業をすべて語り伝えよう」とあります。しかし、わたしたちは神の御業も御心もすべて、存じあげている訳ではありません。逆です。「神は…すべてをご存じ…です」(Tヨハネ320)とあるように、神こそが、わたしたちの思いも行いも、またすべての事柄も出来事も、余すことなくご存じなのです。大切なことは、わたしたちがそのことを認めることです。わたしたちの弱さ、小ささを受け入れることです。

この詩編は最後の20,21節で「人間」という言葉を使っています。これは「脆弱な人」という意味合いであると言われています。この人間と言われている人々は、この詩人を責め、苦難を与えている者たち(異邦の民、66,18)のことですが、その者たちは、自分を大きく見せようとして、この詩人を非難したり、攻撃したりするのかもしれません。しかし、その人たちは、実は脆弱な人に過ぎないのです。それを隠すために、この詩人に対して攻撃的になって見せているだけなのでしょう。わたしたちに必要なことは、自分の脆弱さ、小ささを認めることです。神こそが、すべてをご存じであることを認めるのです。そして、その神の御手の内に自分も居ることを知るのです。そのとき、口から出てくるのは賛美です。自分が「御業をすべて語り伝え」ることができるという自負ではなく、「いと高き神よ、わたしは喜び、誇り/御名をほめ歌おう」という賛美であるのです。

「主は…とこしえの御座に着いておられる。/御自ら世界を正しく治め/国々の民を公平に裁かれる」(89)のです。不幸や苦難しかないと思うかもしれません。しかし、すべてをご存じの主が御座に着き、主権を行使してくださっているのです。その主に信頼すればこそ、主をほめ歌うのです。

京都大宮教会 牧師 渡邉宣一

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