あなたを生かす聖書の言葉

2023年11月19日(投稿)

今週の聖句    詩編3

「救いは主のもとにあります。」

(詩編3:9) 

この詩編が、ダビデがアブサロム(ダビデの三男)の追及を逃れた時に歌ったもの(1)だとしたら、「主よ、わたしを苦しめる者は/どこまで増えるのでしょうか」(2)とか、「すべての敵の顎を打ち/神に逆らう者の歯を砕いてください」(8)というダビデの願いは、少々自分勝手すぎると思わずにおれません。

ダビデがアブサロムの所から逃れることになったのには、彼自身にも責任があります。アブサロムは、アムノン(ダビデの長男、アブサロムとは異母兄弟)が自分の妹タマルを凌辱したことを怒り、根に持って二年後にアムノンを殺し逃亡します。父ダビデはアブサロムを捕らえようとはしません。しばらくして、家臣の進言もあって逃亡先から彼を連れ戻しますが、その時も大したお咎めもなかったのです。それで調子に乗ったのでしょう。アブサロムは父ダビデに反旗を翻し自分が王位に就こうとしました。その折、アブサロムに追われたダビデがこの詩編を歌ったと言われているのです(サムエル記下15:30参照)。ダビデが主の御心に基づいてアブサロムを罰していれば、彼も頭に乗ることはなかったでしょう。ダビデが御心ではなく自分の心情に基づいて行動したため、事は国家転覆の危機にまで進みました。尚、アブサロムはこの争いの最中に死にます。国家転覆は免れても家庭崩壊は免れ得なかったのです。

しかし、イスラエルは神の民です。どのような中にあっても主はその民を守ってくださいます。4節は、口語訳では「あなたはわたしを囲む盾」となっています。神の民であるわたしたちは、「いかに多く民に包囲されても」(7)、主なる神の盾で取り囲まれているのです。ご自身の許に救いを持ち給う主(9)が、わたしたちを包囲し給うのです。ですから、どんな時にも主を見上げ、御言葉に聞き、主の御心にこそ従うのです。「祝福が…ありますように」(9)と願うのは、その聴従をなさせたまえという祈りでもあるのです。

京都大宮教会 牧師 渡邉宣一

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