あなたを生かす聖書の言葉

2023年11月12日(投稿)

今週の聖句    詩編2

「主はわたしに告げられた。/「お前はわたしの子、/今日、わたしはお前を生んだ。」」

(詩編2:7) 

詩編2編は「王の詩編」と言われています。イスラエルが王制を取る前は、外国の諸民族が責めて来たとき獅子と呼ばれる人たちが立てられて、外敵に対抗しました。しかし、その都度その都度、戦隊を整えるということは面倒でもあり、集りにもむらがあったのでしょう。ほどなくして王制を求める声が大きくなっていきました。勿論、それに反対する意見も強かったのです。イスラエルは神が統治してくださっている、王制を取ると、神ではなく人間が支配者になってしまいかねないということが、主な理由でした。主なる神は、遂には王制を取ることをお認めになり、その内のある王のときに歌われたのが、この詩編だと考えられます。

わたしたちキリスト者にとって大切なことは、上記7節の言葉は、主イエス・キリストがバプテスマを受けて水から上って来たとき、天から声によって語り掛けられた言葉でもあるという点です。マルコ111には「『あなたはわたしの愛する子、わたし心に適う者』という声が、天から聞こえた」とあります。この「あなたはわたしの愛する子」というのが、この詩編2:7の言葉であるのです。そのことから、教会は、イエス様こそが真の王であると信じて来たのです。しかし、その王は軍事力でもって支配する王ではありません。今のマルコの後半の「わたしの心に適う者」という言葉は、元はイザヤ42:1の言葉です。それは主の僕の歌です。主の僕は、わたしたちの罪の苦難を代わって受けてくださって、わたしたちに罪の赦しを与えてくださるのです。イエス様はその僕のようにわたしたちの罪を自ら負って、十字架に掛かり罪の贖いをなしてくださる王なのです。その王の十字架の死によって御前に立つを得ている事を覚え、わたしたちは「畏れ敬って、主に仕え」(2:11)るのです。

京都大宮教会 牧師 渡邉宣一

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