あなたを生かす聖書の言葉

2023年10月15日(投稿)

今週の聖句    ヨブ記40

「お前はわたしが定めたことを否定し/自分を無罪とするために/わたしを有罪とさえするのか。」

(ヨブ記40:8) 

ヨブに対する神の二回目の託宣です。ヨブは、自分は罪を犯していないのに神は自分に苦難を与える、それは神が間違っているからだと主張してきたのです。しかし、本当にそう言えるのか、と神は問うているのです。「自分を無罪にするために、わたし()を有罪」にできるほどの義が、ヨブよ、お前にはあるのか、それほど神の義に勝っているのか、と神は上記聖句で厳しく問うのです。

主なる神は、ここで、ベヘモットとレビヤタンに言及します。口語訳聖書は前者を「カバ」、後者を「ワニ」と訳していましたが、それらは動物園にいるカバやワニとは違います。それらはいずれも空想上の生物です。イザヤ30:6ではベヘモットのことが「ネゲブの獣」と言われていて、具体的には当時の最強国エジプトのことを指しています。また同じイザヤ27:1ではレビヤタンが海の怪物、竜と言われており、サタンを象徴するものとして使われています。そのようにいろいろな言われ方をしていますが、要するに創造者なる神に敵対する混沌(カオス)、虚無(ニヒル)の象徴であります。そして、それらは「この地上に、彼を支配する者はいない。/彼はおののきを知らぬものとして造られている」(41:25)とあるように、誰も太刀打ちできない存在なのです。

しかし、神はそれらを御自分の傑作(40:19)と言い、小鳥のようにもてあそぶ(29)とも言って、それらをさえも御手の内に置き給うことを明らかにしているのです。それなら、混沌、虚無の象徴と言えるベヘモットやレビヤタンを御手の内に置き得る神が、ヨブを取り巻いているカオスのような苦難を支配していないはずはないのです。どれほどひどい苦難の中にあったとしても、ヨブはなお義なる神の御支配の内に置かれているのです。そのような神にある事実を、人の目に見える現実に逆らってでも見るよう、神は促しているのです。

京都大宮教会 牧師 渡邉宣一

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